薬事・食品衛生審議会資料

 

平成13年01月16日

 

 

食品規格設定に係る毒性部会・残留農薬部会合同部会報告について - 別添:アゾキシストロビン

 
アゾキシストロビン

    1. 商品名  アゾキシストロビン (Azoxystrobin)

    2. 用途  殺菌剤 (メトキシアクリレート系)

    3. 構造式及び物性



    分子式  :C22H17N3O5
    分子量  :403.4
    水溶解度:0.006g/L(20℃)
    分配係数:log Pow=2.5(20℃)
    蒸気圧  :1.1×10-7mPa(25℃)
    (Pesticide Manual第11版より)

    4. 吸収・分布・代謝・排泄
    (1) 動物
     ラットを用いた経口(1mg/kg)投与による試験において,血中濃度は緩やかなピークを示し,Tmaxは約4時間,Cmaxは0.1~0.24μg eq./g,T1/2は14~21時間と考えられる。Tmax時の組織内濃度は,肝,腎で高く,0.416~0.782,0.271~0.436μg eq./gである。吸収率は60%以上で,投与168時間後までに尿中に10~18%,糞中に73~83%排他される。また,100mg/kg投与による試験で胆汁排他が57~72%認められる。
     主要な代謝反応は,メチルエステルの加水分解及びこれに続くグルクロン酸抱合体の生成並びにシアノフェニル基のグルタチオン抱合からメルカプツール酸の生成である。

    (2) 植物
     イネを用いた代謝試験において,茎葉散布処理75~95日後の残留放射能は玄米中で0.321~0.401mg/kg,粒剤散布処理96~98日後の残留放射能は玄米中で0.527~0.743mg/kgである。玄米中の主要残留物はグルコース,フラクトース,マルトース及び未変化体である。
     小麦を用いた代謝試験において,茎葉散布処理61~62日後の残留放射能は穀粒中で0.075~0.077mg/kgである。穀粒中での主要残留物はグルコース及び未変化体である。

     ブドウを用いた代謝試験において,茎葉散布処理21日後の残留放射能は果実中で0.382~1.43mg/kgである。果実中の主要残留物は,未変化体である。
     らっかせいを用いた代謝試験において,茎葉散布処理10日後の残留放射能は,らっかせい粒中0.242~0.651mg/kgである。らっかせい粒中の主要残留物は,脂肪酸(オレイン酸及びリノレイン酸)である。

    (3) その他
     上記を含め,別添1に示した試験成績が提出されている。

    5. 安全性
    (1) 単回投与試験
     急性経口LD50は,マウス,ラツトともに5,000mg/kg超と考えられる。

    (2) 反復投与/発がん性試験
     Alpkマウスを用いた混餌(50,300,2,000ppm)投与による104週間の発がん性試験において,2,000ppm投与群の雌雄で体重増加抑制,肝の比重量の増加,十二指腸膨満,雄で腎重量の低下,精巣上体の精子減少,雌で空腸膨満,甲状腺の単核細胞浸潤の増加が認められる。発がん性は認められない。本試験における無毒性量は300ppm(87.5mg/kg/day)と考えられる。
     Wistarラツトを用いた混餌(60,800,雄;1,500→760ppm,雌;1,500ppm)投与による104週間の反復投与/発がん性併合試験において,1,500ppm投与群で体重増加抑制,副腎及び腎重量の低下,腸管膜リンパ節洞部血液充満,1,500→750ppm投与群で体重増加抑制,副腎及び腎重量の低下,胆管拡張,胆管炎,胆管壁肥厚,尿細管色素沈着が認められる。発がん性は認められない。本試験における無毒性量は300ppm(18.2mg/kg/day)と考えられる。
     ビーグル犬を用いた強制経口(3,25,200mg/kg)投与による52週間の反復投与試験において,200mg/kg投与群の雌雄でコレステロール値,トリグリセリド,ALPの上昇,雄でMCHの低下,肝重量の増加が認められる。本試験における無毒性量は,25mg/kg/dayと考えられる。

    (3)繁殖試験
     Wistarラツトを用いた混餌(60,300,1,500ppm)投与による2世代繁殖試験において,親動物に関しては,1,500ppm投与群のF0及びF1の雌雄で体重増加抑制,肝重量増加(但し,F1の雄は肝比重量の増加のみ),雄で総胆管の拡張,炎症,胆管の上皮過形成,肝の増殖性胆管炎が認められる。児動物に関しては,1,600ppm投与群のF1及びF2で体重増加抑制,肝比重量増加,F1及びF2の雄で精巣比重量の増加等が認められる。本試験の無毒性量は,300ppm(31.7mg/kg/day)と考えられる。

    (4) 催奇形性試験
     Wistarラツトを用いた強制経口(25,100,300mg/kg)投与による催奇形性試験において,母動物では100mg/kg以上投与群で体重増加抑制,下痢,下腹部の尿による汚れ等が認められる(300mg/kg投与群は,死亡が4例になったため,投与を中止。)。胎児動物では100mg/kg投与群で骨化遅延が認められる。本試験の無毒性量は母動物,胎児動物ともに25mg/kg/dayと考えられる。催奇形性は認められない。
     ニュージーランドホワイトウサギを用いた強制経口(7.5,20,50mg/kg)投与による催奇形性試験において,母動物において20mg/kg以上投与群で体重増加抑制が認められる。胎児動物において50mg/kg/day群で開眼,ロ蓋裂,胸骨分節融合が認められる。本試験においては,コーンオイル2mlを溶媒として投与をしたため,母動物では,対照群を含め下痢,生殖器の汚れが認められ,母動物が衰弱し,毒性が強く発現したものと考えられる。
     コーンオイル1mlを溶媒として,追加実施されたニュージーランドホワイトウサギを用いた強制経口(50,150,500mg/kg)投与による催奇形性試験において,母動物において50mg/kg以上投与群で体重増加抑制が認められる。胎児動物においては,本薬投与による影響は認められない。催奇形性は認められない。
     更に追加実施されたニュージーランドホワイト妊娠ウサギを用いた強制経口(25,40,150mg/kg)投与による反復投与試験において,150mg/kg投与群で摂餌量減少,体重増加抑制が認められる。これらの試験結果を併せ,ウサギの催奇形性試験における無毒性量は,母動物で40mg/kg/day,胎児動物で500mg/kg/dayと考えられる。

    (5) 変異原性試験
     細菌を用いた復帰突然変異試験,Rec-assay,マウス骨髄細胞を用いた小核試験,ラツト肝細胞を用いた不定期 DNA合成試験の結果は,いずれも陰性と考えられる。
     マウスリンパ腫細胞を用いた突然変異試験,ヒトリンバ球初代培養細胞を用いた染色体異常試験はいずれも優性と考えられるが,用量依存性,再現性及び出現頻度などから見て,その変異活性は弱いと考えられる。さらに,マウスを用いた小核試験,ラツトを用いた不定期 DNA合成試験の結果が陰性であったことから,生体にとって特段の問題となるような遺伝毒性はないものと考えられる。

    (6) その他
     上記を含め,別添1に示した試験成績が提出されている。

    6. ADIの設定
     以上の結果を踏まえ 次のように評価する。

    無毒性量 18.2mg/kg/day
    動物種 ラット
    投与量/投与経路 300ppm (18.2mg/kg)/混餌
    試験期間 2年間
    試験の種類 反復投与/発がん性併合試験
    安全係数 100
    ADI 0.18mg/kg/day

    7. 基準値案
     別添2の基準値案のとおりである。
     各農産物について基準値案の上限まで本農薬が残留していると仮定した楊合,国民栄養調査結果に基づき試算される1日当たり摂取する農薬の量注)(理論最大摂取量)のADIに対する比率は25.0%以下である。

    注)国民平均並びに乳幼児(1~6yo),高齢者(65yo以上)及び妊産婦について試算したもの。

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