薬事・食品衛生審議会資料

 

平成13年01月22日

 

 

食品規格設定に係る毒性部会・残留農薬部会合同部会報告について - (別添1)アゾキシストロビン:代謝分解試験一覧表、毒性試験一覧表

 
(別添1) アゾキシストロビン

    〈代謝分解試験一覧表〉
    資料No. 試験の種類 供試動植物等 試験項目・試験方法等 試験機関
    (報告年)
    M1 動物における
    吸収・分布・排泄
    ラット 14C-ピリミジン環標識アゾキシストロビンを1mg/kgの用量で単回経口投与し、尿、糞、ケージ洗浄液、臓器中の放射能を測定。 CTL
    (1993)
    M2 動物における
    吸収・分布・排泄
    ラット 14C-ピリミジン環標識アゾキシストロビンを100mg/kgの用量で単回経口投与し、尿、糞、ケージ洗浄液、臓器中の放射能を測定。 CTL
    (1993)
    M3 動物における
    吸収・分布・排泄
    ラット 放射能非標識アゾキシストロビンを1mg/kgの用量で14日間毎日経口投与した後、14C-ピリミジン環標識アゾキシストロビンを1mg/kgの用量で単回経口投与し、尿、糞、ケージ洗浄液、臓器中の放射能を測定。 CTL
    (1993)
    M4 オートラジオグラフィー ラット シアノフェニル、ピリミジン、あるいはフェニルアクリレート環を14Cで標識したアゾキシストロビンを1mg/kgの用量で単回経口投与し、オートラジオグラフから放射能の分布を測定。 CTL
    (1993)
    M5 動物における
    組織内分布
    ラット 14C-ピリミジン環標識アゾキシストロビンを1mg/kgの用量で単回経口投与し、臓器中の放射能を測定。 CTL
    (1993)
    14C-ピリミジン環標識アゾキシストロビンを100mg/kgの用量で単回経口投与し、臓器中の放射能を測定。
    M6 動物における
    生体内運命
    胆管カニューレを挿入したラット
      その他、別の試験(M1,M2,M3)で採取された尿および糞を使用
      シアノフェニル、ピリミジン、あるいはフェニルアクリレート環を14Cで標識したアゾキシストロビンを100mg/kgの用量で単回経口投与し、尿、糞、および胆汁中の放射能を測定し、代謝物を同定。 CTL
      (1994)
      M7 動物における
      生体内運命
      (代謝物の同定)
      胆管カニューレを挿入したラット
        胆管カニューレを挿入していないラット
        シアノフェニル環を14Cで標識したアゾキシストロビンを100mg/kgの用量で単回経口投与し、尿、糞、および胆汁中の代謝物を同定。 JHRS
        (1995)
        M8 植物における代謝 シアノフェニル、ピリミジン、あるいはフェニルアクリレート環を14Cで標識したアゾキシストロビンをフルアブル剤および粒剤として製剤化し、茎葉散布(出穂直後)で0.355-0.553kg ai/ha、粒剤散布(移植後11-13日目で0.842-0.971kg ai/haおよび47-49日目で0.892-0.946kg ai/haの処理量で散布)、収穫後、部位別に放射能を測定し、代謝物を同定。 JHRS
        (1995)
        M9 植物における代謝 小麦 シアノフェニル、ピリミジン、あるいはフェニルアクリレート環を14Cで標識したアゾキシストロビンをフルアブル剤として製剤化し、幹伸長期および出穂期に総量として1kg ai/haを散布。収穫後、部位別に放射能を測定し、代謝物を同定。 JHRS
        (1994)
        M10 植物における代謝 ブドウ シアノフェニル、ピリミジン、あるいはフェニルアクリレート環を14Cで標識したアゾキシストロビンをフルアブル剤として製剤化し、4回に分けて2.5kg ai/haとなるように散布。収穫後、代謝物を同定し、放射能を測定。 JHRS
        (1994)
        M11 植物における代謝 落花生 シアノフェニル、ピリミジン、あるいはフェニルアクリレート環を14Cで標識したアゾキシストロビンをフルアブル剤として調製し、植付け後53、93および144日目に散布。総散布料は2.02-2.04kg ai/ha。収穫後、代謝物を同定し、放射能を測定。 JHRS
        (1995)
        M12 土壌における分解(ビーカー試験) 砂壌土砂質埴土 シアノフェニル、ピリミジン、あるいはフェニルアクリレート環を14Cで標識したアゾキシストロビンを土壌処理し、約0.6mg/kgの濃度で好気的および嫌気的条件下、20℃でインキュベーション。継時的に放射能を測定し、代謝物を同定。 JHRS
        (1995)
        M13 土壌における分解(裸地圃試験) 米国カリフォルニア州ビザリアの圃場(砂質壌土) シアノフェニル、ピリミジン、あるいはフェニルアクリレート環を14Cで標識したアゾキシストロビンをフルアブル剤として調製し、500-600g/haの用量で散布。散布後、継時的に土壌を採取し、代謝物を同定し、放射能を測定。 JHRS
        (1995)
        M14 水中光分解 滅菌純水(pH7) シアノフェニル、ピリミジン、あるいはフェニルアクリレート環を14Cで標識したアゾキシストロビン溶液(約3μg/ml)に30日間の米国フロリダ州夏季日照量を照射。照射中、継時的に放射能を測定し、代謝物を同定。 JHRS
        (1994)
        M15 水中光分解 自然水 放射能非標識アゾキシストロビン0.5μg/ml)溶液にキセノンアークバーナーを用いて米国フロリダ州夏季日照量30日間分を照射。継時的に放射能を測定し、代謝物を同定。 JHRS
        (1995)
        M16 加水分解 超純水 シアノフェニル環標識アゾキシストロビンのアセトニトリル溶液を2.5あるいは2.6μg/mlの濃度になるようにpH5、pH7およびpH9の水に加え、25℃で31日間50℃で12日間インキュベート。継時的に放射能を測定し、代謝物を同定。 JHRS
        1994)

        放射性標識位置:アゾキシストロビンは、シアノフェニル環、ビリミジン環およびフェニルアクリレート環で構成されており、これらの3箇所は化学的に比較的安定であることが知られている。したがって、初期に行ったオートラジオグラフィー試験(資料No.M4)では、それそれの環状構造中の炭素を放射性標識したアゾキシストロビンを使用した。得られた成績は、標識位置が違っていても分布および排泄のプロフィールに大きな違いがないこを示しており、従って、その後に行った吸収・排泄・分布を調べる試験(資料No.M1、M2、M3およびM5)では,ピリミジン環を放射性標識したアゾキシストロビンのみを使用した。 なお、生成された代謝物の同定を含む生体内運命試験(資料No.M6)では、シアノフェニル環、ピリミジン環およびフェニルアクリレート環をそれぞれ別個に放射線標識したアゾキシストロビンを用い、代謝物13を含む5つの代謝物を同定するために行った試験(資料No.7)では、シアノフェニル環標識アゾキシストロビンを使用した。

        動物代謝試験における投与量:OECDのガイドラインに準拠して、毒性に関するパラメーターに変化が現れない量として1mg/kgを、変化が現れる量として100mg/kgを選定した。


        〈毒性試験一覧表〉
        資料No.
        試験の種類・期間
        供試動物
        投与方法
        試験機関報告年
        1
        (GLP)
        急性毒性 14日間観察 ラット 経口 CTL*
        (1991)
        2
        (GLP)
        急性毒性 14日間観察 マウス 経口 CTL*
        (1991)
        3
        (GLP)
        急性毒性 14日間観察 ラット 経皮 CTL*
        (1991)
        4
        (GLP)
        亜急性毒性 90日間 イヌ 経口 CTL
        (1993)
        5
        (GLP)
        亜急性毒性 90日間 ラット 飼料混入 CTL*
        (1992)
        6
        (GLP)
        亜急性毒性 90日間 ラット 飼料混入 CTL
        (1994)
        7
        (GLP)
        慢性毒性 52週間 イヌ 経口 CTL
        (1994)
        8
        (GLP)
        慢性毒性/発癌性併合 104週間 ラット 飼料混入 CTL
        (1995)
        9
        (GLP)
        発癌性 104週間 マウス 飼料混入 CTL
        (1995)
        10
        (GLP)
        2世代繁殖 ラット 飼料混入 CTL
        (1994)
        11
        (GLP)
        催奇形性 ラット 経口 CTL
        (1994)
        12
        (GLP)
        催奇形性(1) ウサギ 経口 CTL
        (1994)
        13
        (GLP)
        催奇形性(2) ウサギ 経口 CTL
        (1995)
        14
        (GLP)
        母動物特性 ウサギ 経口 CTL
        (1997)
        15
        (GLP)
        変異原性
        復帰変異
        サルモネラ菌:
        TA100,
        TA98,
        TA1535,
        TA1537
        in vitro CTL*
        (1992)
        16
        (GLP)
        変異原性
        突然変異
        マウス リンパ腫細胞 in vitro CTL
        (1993)
        17
        (GLP)
        変異原性
        細胞遺伝学
        ヒト リンパ腫 in vitro CTL*
        (1992)
        18
        (GLP)
        変異原性
        小核試験
        マウス in vivo CTL*
        (1992)
        19
        (GLP)
        変異原性DNA
        修復試験
        枯草菌 B. subtilis   in vitro 残研
        (1995)
        20
        (GLP)
        変異原性
        不定期DNA合成誘発
        ラット肝細胞 in vivo CTL*
        (1992)

        資料No.
        試験の種類・期間
        供試動物
        投与方法
        試験機関報告年
        21
        生体の機能に及ぼす影響 中枢神経系 一般症状 マウス in vivo イナリサーチ
        睡眠 マウス in vivo
        痙攣 マウス in vivo
        マウス iin vivo
        運動 マウス in vivo
        筋弛緩 マウス in vivo
        自律神経系 摘出回腸 モルモット in vitro
        呼吸循環器系 呼吸、心拍数、血圧、心電図、血流量 イヌ in vivo
        消化器系 消化管運動 マウス in vivo
        骨格筋 収縮 ラット in vivo
        血液 血液凝固 ラット in vivo
        22
        (GLP)
        Z異性体急性毒性 
        14日間観察
        マウス 経口 CTL
        (1995)
        23
        (GLP)
        Z異性体
        復帰変異
        サルモネラ菌:
        TA100,TA98,TA1537 
        大腸菌:WP2P WP2uvrA
        in vitro CTL
        (1995)

        CTL :Central Toxicology Laboratory, Zeneca (英国)
        CTL*:Central Toxicology Laboratory, ICI (英国)
        残研 :農薬の毒性試験の適性実施に関する基準に準拠して実施された試験
        イナリサーチ:(株)イナリサーチ
        Z異性体:アゾキシストロビンの原体混在物、植物代謝物、土壌表面光分解物および水中光分解物

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