薬事・食品衛生審議会資料

 

食調第67号

平成9年10月22日

食品衛生調査会

委員長寺田雅昭

殿

食品衛生調査会

 

 

後代交配種の取扱いについて (別添2)

 

別添2
 安全性が確認された組換え品種と従来品種とを、伝統的な育種の手法を用いて掛け合わせた品種(以下「後代交配種」という。)の安全性評価については、現在の組換えDNA技術応用食品・食品添加物の安全性評価指針(以下「安全性評価指針」という。)」に記載がなく、具体的な評価のあり方について未定となっている状況である。
 後代交配種の安全性評価のあり方については、国際的には、1996年10月のWH0/FA0の合同レポート(「Biotechno1ogy and food safety」)等において、従来品種と同等の安全性が確保された組換え品種の後代交配種については、遺伝子組換え技術に特有な評価方法による安全性評価は必要ないとの見解が示されているものの、我が国においてはこの問題について十分な議論がなされてきたとは言えない状況にある。
 今般、バイオテクノロジー特別部会において、安全性評価の確認がされた品種と従来の品種との掛け合わせによって作出された後代交配種の安全性評価が個別に必要かどうか、バイオテクノロジー応用食品等の安全性評価に関する研究班の報告も参考にして、後代交配種の安全性評価のあり方について下記のとおり意見を取りまとめた。

1.後代交配種の安全性について
 厚生省により安全性が確認された組換え品種の後代交配種のうち、次の①~③のすべての項目を満たすものについては、その安全性に問題はないものと考えられる。

①組換えDNA操作により新たに獲得された性質が変化していないこと

 安全性評価指針においては、導入した遺伝子とその産物について毒性やアレルギー性等を評価しているが、導入した遺伝子に基づく形質が変化していない場合には、在来種との交配においてタンパク質としての構造が大きく変化する等の事象が起こっている可能性は極めて小さく、毒性やアレルギー性等の新たな問題が生じる可能性はほとんどないと考えられる。


②亜種(変種)間での交配が行われていないこと

 導入遺伝子が酵素として発現する場合、安全性評価指針においては酵素の基質特異性を検討し、宿主たる植物体中に既に存在する物質がこの酵素の基質となって他の毒性のある物質に変化する可能性を検討している。後代交配種について、交配に用いる従来品種と組換え品種とが亜種(変種)間の関係にある場合には、交配に用いる従来品種の成分が組換え品種のそれと大きく異なることもあり、基質特異性について再度検討が必要であるが、亜種(変種)間での交配が行われていない場合にはその必要はないと考えられる。


③摂取量、食用部位、加工法等の変更がないこと

 安全性評価指針においては、摂取量、食用とする部位、加工法等についても検討している。したがって、安全性評価がなされた組換え品種と後代交配種との間に、これらの評価項目における実質的な相違がない場合、その安全性の確保に支障が生じることはないと考えられる。


2.安全性評価の確認について
 1.の①~③の各条件を一つでも満たさない後代交配種を製造又は輸入しようとする者等は、個別に厚生省に対しその安全性評価の確認を求めることが望ましい。

3.その他
 組換え品種の後代交配種についても、これまでに十分な食経験がなく、遺伝子組換え食品の安全性の一層の確保を図る観点から、後代交配種の安全性評価についも厚生省による調査・研究を引き続き進めていくことが望ましい。


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