通知

 

衛化第119号

平成9年09月12日

都道府県

政令市衛生主管部(局)長

特別区

殿

生活衛生局食品化学課

 

 

パン中の臭素酸カリウム分析法について

 


 標記については、平成元年11月28目衛化第67号通知により、「食品中の食品添加物分析法」を送付し、その中で試験法を示したところであるが、今般、その後の科学技術の進歩に対応すべく、別紙のとおり当該試験法を作成したので送付する。

(別紙)

臭素酸カリウム
Potassium Bromate
KBrO3:167.00

1.試験法の概要

 パン中の臭素酸カリウムは,臭素酸イオンを液体クロマトグラフィーにより分離後,ポストカラム法で発色し,臭素酸として定量する。必要があれば分子量比を乗じて臭素酸カリウムの量として求める。

2.試験法(液体クロマトグラフィー)
〈l)検体の採取と試料の調整

 一般試料採取法を準用する。


(2)試料溶液の調製

 パンを粉砕してその10.0gを量り,水50mlを加え,マグネチックスターラーで室温で30分間撹絆する。約5分問静置し、上清を5℃で、約10,000xgで30分間遠心沈殿する。上清をろ紙(No.5A)でろ過する。ろ液10mlを,ディスポーザブルフィルター,固相抽出カートリッジカラム、銀カートリッジカラムをこの順番で直列に接続したものに負荷する。初流液約2mlを捨て、その後の流出液約3mlを限外ろ過カートリッジカラムに負荷し、流出液を陽イオン交換カートリッジカラムに負荷する。流出液約1mlを捨て、その後の流出液を液体クロマトグラフィ用試験溶液とする。


(3)検量線用標準液の調製

 臭素酸カリウム129.5mgを正確に量り、水を加えて溶かし、正確に100mlとし、臭素酸標準原液とする。臭素酸標準原液を水で希釈し、1~100ng/mlの溶液を作成し、検量線用標準溶液とする。


(4)測定法

①測定条件 ポストカラム反応装置を備えた可視分光検出器付高速液体クロマトグラフを用い、次の条件によって測定する。

充てん剤:化学結合型オクタデシルシラン

カラム

1):内径4.0~6.0mm、長さ25cm

移動相

2:水700mlにメタノール100ml、酢酸2.0g、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)19gを加えて混和し、TBAHでpHを6.3~6.5に調整し、さらに水で正確に1000mlとする。

移動相の流速:1ml/分

カラム温度:40℃

反応試薬の流速:0.3ml/分

反応温度:60℃

反応カラムの長さ:3~4m

測定波長:450nm②検量線の作成 検量線用標準液200μlずつを正確に量り、それぞれを高速液体クロマトグラフに注入し、ピーク高さから検量線を作成する。

③定量

3)液体クロマトグラフィー用試験溶液200μlを正確に量り、高速液体クロマトグラフに注入し,得られたピーク高さと検量線から試験溶液中の臭素酸濃度(ng/ml)を求め,次式によって試料中の臭素酸含量(mg/kg)を計算する。

             C

臭素酸含量(mg/kg)= ───

            200

 C:試験溶液中の臭素酸濃度(ng/ml)


試薬・試液等

1.ディスポーザブルフィルター:孔径0.45μm、直径25mm、水系
2.固相抽出カートリッジカラム:オクタデシルシラン型。10ml用。使用前にメタノール10ml、次いで水10mlで洗浄する。
3.銀カートリッジカラム4):2.0~2.5meq/カートリッジ程度の交換容量のもの。
4.限外ろ過カートリッジカラム:分画分子量30,000 2~3ml用。
5.陽イオン交換カートリッジカラム:容量3ml用、500mg、イオン交換容量0.18meq/g程度のもの。
6.水:水道水を超純粋製造装置で処理したもの。
7.ろ紙:No.5A
8.臭素酸カリウム:試薬特級
9.メタノール:HPLC用
10.ο-ジアニシジン・二塩酸塩:市販品を用いる。
11.硝酸:精密分析用、70%
12.酢酸:試薬特級
13.テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH):40%溶液
14.臭化カリウム:試薬特級
15.ポストカラム用反応試薬:水700mlに硝酸60ml、臭化カリウム10.0gを加えて溶かし、さらに、ο-ジアニシジン・二塩酸塩500mgをメタノール200mlで溶かした液を加え5)、水で正確に1000mlとする。

〔注〕
1)カラムは、ガードカラムを装着して使用する。測定終了後、TBAHを除去するため20%メタノールで洗浄する。
2)移動相の脱気を十分に行わないと、べ一スラインが安定しない。
3)本法による定量下限は10μg/kgである。
4)負荷する溶液の量が多すぎてC1イオンが試験溶液に混入すると、発色を妨害するので注意する。
5)ο-ジアニシジンが完全に溶けていないと、液が着色することがあるので、以下のようにすると良い。ο-ジアニシジン・二塩酸塩500mgを20mlのスクリューキャップ付きバイアル瓶に入れ、メタノール約15mlを加えて溶かし、上澄液を臭化カリウム・硝酸溶液に合わせる。バイアル瓶中に残ったο-ジアニシジンは、さらにメタノールを加え、ガラス棒で砕いて溶かす。ο-ジアニシジンが完全に溶けるまで、この操作を繰り返す。


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