薬事・食品衛生審議会資料

 

平成13年02月01日

 

 

食品規格設定に係る毒性部会・残留農薬部会合同部会報告について - 別添:フルアジホップ

 
フルアジホップ
     
    1.品目名: フルアジホップ (Fluazifop)

    2.用途: 除草剤  2-(アリルオキシフェノキシ)プロピオン酸系

    3.構造式及び物性

    分子式  : C15H20F3NO4
    分子量  : 388.4
    水溶解度: 1mg/L(pH6.5)
    分配係数: log Pow4.5
    蒸気圧  : 0.055mPa(20℃)
    (Pesticide Manual第10版より)

    4.吸収・分布・代謝・排泄
    (1)動物
     ラットを用いた経口(1mg/kg)ラセミ体投与による試験において,投与48時間後の尿,糞,胆汁中への排泄率には性差が認められ,それぞれ雄で15%15%84%,雌で88%8%1%である。投与48時間後の組織内濃度は,雄では脂肪,腎,肝で高く,それぞれ,0.320.260.20μg eq./g,雌では脂肪で高く0.07μg eq./gである。雌では投与48時間内にほぼ定量的に尿中に排泄される。雄では,排泄が緩徐で約10日間を要する。雌雄ともに尿,糞中の主要代謝物は,フルアジホップ酸で,脂肪中では,タウリンとの抱合体として認められる。本薬は,投与後速やかに加水分解を受け,血中ではフルアジホップ酸として存在する。
     従って,毒性の面からはフルアジホップとフルアジホップ酸とは同等であると考えることができる。

    (2)植物
     ラセミ体の大豆を用いた代謝試験において,葉面処理50日後の残留放射能は,種実で0.01mgeq./kgである。種実中における主要残留物はフルアジホップ酸及びその抱合体である。主要な代謝反応は,エステルの加水分解及びそれに続く抱合体の形成である。
     R体及びS体のレタスを用いた代謝試験において,葉面処理27日後の残留放射能は,処理量の4347%である。主要代謝物は,未変化体,フルアジホップ酸及びその抱合体並びに2-(4-ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸及びその抱合体である。主要な代謝反応は,エステルの加水分解及びそれに続く抱合体の形成である。また,代謝反応においては,立体配座は保持される。
     R体及びS体のワタを用いた代謝試験において,葉面処理27日後の残留放射能は,処理量の4264%である。主要代謝物は,未変化体,フルアジホップ酸及びその抱合体である。主要な代謝反応は,エステルの加水分解及びそれに続く抱合体の形成である。また,代謝反応においては,立体配置は保持される。

    (3)その他
     上記を含め,別添1に示した試験成績が提出されている。

    5.安全性
    (1)単回投与試験
     急性経口LD50は,ラセミ体では,マウスで1,6001,900mg/kg,ラットで2,9103,030mg/kg,R体ではラットで2,4513,680mg/kgと考えられ,ラセミ体とR体とでは差は認められない。

    (2)反復投与/発がん性試験
     ラセミ体(酸)のICI Alder1y Parkマウスを用いた混餌(0.10.31.03.0mg/kg)投与による81週間の発がん性試験において,3.0mg/kg投与群の雄に肝細砲の好塩基性消失を伴う腫大が認められる。発がん性は認められない。本試験の無毒性量は1.01mg/kg/dayと考えられる。
     ラセミ体(酸)のSDラットを用いた混餌(0.10.31.03.0mg/kg)投与による105週間の反復投与/発がん性併合試験において,3.0mg/kg投与群の雄に加齢性腎症の発生頻度の増加傾向が認められる。発がん性は認められない。本試験における無毒性量は1.00mg/kg/dayと考えられる。
     ラセミ体のイヌを用いた強制経口(525125mg/kg)投与による55週間の反復投与試験において,125mg/kg投与群の雌雄にリンパ節の赤血球増加症及び貧食,黄疸等を伴う切迫屠殺例が認められる他,体重増加抑制,水晶体の空胞形成,PCV,RBC,Hb及びPlatの減少,ALP,ALT,BSPの増加,グルコースの低下,雄に赤血球沈降率,MCVの増加,副腎皮質の脂肪空砲形成,胸腺の退縮及び白内障,25mg/kg以上投与群の雌雄に骨髄の分葉好中球の減少,好中球性後骨髄球数及び細胞密度の増加が認められる。本試験の無毒性量は5mg/kg/dayと考えられる。

    (3)繁殖試験
     ラセミ体のWistarラットを用いた混餌(1080250ppm)投与による3世代繁殖試験において,親動物では,250ppm投与群のF0,F1及びF2の雌雄に体重増加抑制が認められる。児動物では,80ppm以上投与群のF2及びF3に体重増加抑制が認められる。本試験の無毒性量は10ppm(0.70mg/kg/day)と考えられる。

    (4)催奇形性試験
     ラセミ体のSDラットを用いた強制経口(1050200mg/kg)投与による催奇形性試験において,親動物では,200mg/kg投与群で体重増加抑制,肝比重量の増加が認められる。胎児動物では,200mg/kg投与群で体重増加抑制,横隔膜ヘルニアの発生頻度の増加傾向が認められる。別途実施したラセミ体のSDラットを用いた強制経口(1510200mg/kg)投与による催奇形性追加試験において,胎児動物では,200mg/kg投与群で横隔膜ヘルニアの発生頻度の増加,5mg/kg以上投与群で低体重,水尿管症が認められる。 従って,ラットに対する無毒性量は,母動物で50mg/kg/day,胎児動物で1mg/kg/dayと考えられる。
     ラセミ体のニュージーランドホワイトウサギを用いた強制経口(103090mg/kg/day)投与による催奇形性試験において,母動物では,本薬投与に関連する所見は認められない。胎児動物では,90mg/kg投与群で化骨遅延を伴う矮小胎児の増加傾向が認められる。本試験の無毒性量は母動物で90mg/kg/day,胎児動物で30mg/kg/dayと考えられる。催奇形性は認められない。

    (5)変異原性試験
     R体の細菌を用いた復帰突然変異試験,Rec-assay,チャイニーズハムスター培養細胞(CHL)を用いた染色体異常試験及びマウス骨髄細胞を用いた小核試験の結果は,いずれも陰性と考えられる。
     ラセミ体の細菌を用いた復帰突然変異試験,Rec-assay,ラット骨髄細胞を用いた染色体異常試験,マウス骨髄細胞を用いた小核試験,マウスを用いた優性致死試験,ハムスター新生児腎線維芽細胞(BHK21/C13)を用いた細胞形質転換試験の結果はいずれも陰性と考えられる。遺伝毒性は認められない。

    (6)その他
     上記を含め,別添1に示した試験成績が提出されている。

    6.ADIの設定
     以上の結果を踏まえ,次のように評価する。

    無毒性量 1.00mg/kg/day
    動物種  ラット
    投与量/投与経路  1.00mg/kg/混餌
    試験期間  105週間
    試験の種類  反復投与/発がん性併合試験
    安全係数 100
    ADI 0.010mg/kg/day

    7.基準値案
     別添2の基準値案のとおりである。
     各農産物について基準値案の上限まで又は作物残留試験成績等のデータから推定される量の本農薬が残留していると仮定した場合,国民栄養調査結果に基づき試算される1日当たり摂取する農薬の量(推定一日摂取量)のADIに対する比率は78.1%以下である。

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