報道発表資料

 

平成12年12月14日

生活衛生局食品化学課

 

 

既存添加物の安全性評価に関する調査研究(平成11年度調査)

 

既存添加物の安全性評価に関する調査研究
(平成12年12月14日  厚生省生活衛生局食品化学課 発表)


 厚生省は、「既存添加物の安全性評価に関する調査研究」の平成11年度調査結果を発表した。
 


発表本文

平成11年度食品添加物安全性評価等試験検査費

食品添加物安全性評価費

 
  
 
調査研究報告書

既存添加物の安全性評価に関する調査研究

主任研究者
 黒川 雄二 国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター長
研究協力者
 祖父尼 俊雄 前国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター
変異遺伝部長
 林   真 国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター
変異遺伝部長
 廣瀬 明彦 国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター
総合評価研究室主任研究官
 米谷 民雄 国立医薬品食品衛生研究所食品添加物部第二室長
 山田 隆 国立医薬品食品衛生研究所食品添加物部長




研究要旨

 平成8年度厚生科学研究報告書「既存天然添加物の安全性評価に関する調査研究」(主任研究者 林 裕造)(以下、「林班報告書」という。)においては、国際的な評価結果、欧米での許認可状況、安全性試験成績結果等から、既存添加物の基本的な安全性について検討した結果、489品目のうち139品目については、今後安全性試験の実施も含めその安全性について検討することが必要であると報告されている。
 今回は、林班報告書において、更に検討する必要があるとされた139品目のうち、新たに安全性試験成績が収集できた品目について検討を行った。平成10年度に検討した品目はカロブ色素、力ンゾウ油性抽出物、酵素処理イソクエルシトリン、タマリンド色素、氷核菌細胞質液、ファフィア色素、ペカンナッツ色素、モウソウチク抽出物、レバンの9品目、平成11年度に検討した品目はイタコン酸、オレンジ色素、キチン、しらこたん白抽出物、ヘマトコッカス藻色素の5品目であり、本報告書では上記の14品目についての検討結果をまとめて収載している。
 検討した14品目については、28日間以上の反復投与試験及び変異原性試験の成績を入手することができた。試験成績より物質としての基本的な安全性を評価することができ、現時点で直ちにヒトへの健康影響を示唆するような試験結果は認められず、新たな安全性試験を早急に実施する必要はないものと考えられた。

A.研究目的

 平成7年5月の食品衛生法改正により、食品添加物の指定制の範囲が従来の化学的合成品から天然香料等を除くすべての添加物に拡大された。本改正に伴い従来から販売・製造・使用等がなされてきた化学的合成品以外の添加物(天然香料等を除く。以下「天然添加物」という。)については、経過措置として、その範囲を既存添加物名簿として確定した上で、引き続き、販売・製造・輸入等を認めることとされた。
 しかしながら、これら既存添加物名簿に掲げられた天然添加物については、従来から指定されている添加物と異なり、各品目毎に安全性のチェックがなされているものではなく、国会等において、その安全性の確認が求められているところである。
 平成8年度には厚生科学研究により、既存添加物489品目について、国際的な評価結果、欧米での許認可状況、安全性試験成績結果等から、既存添加物の基本的な安全性について検討され林班報告書として公表された。この報告書では、「489品目のうち、159品目については既に国際的な評価がなされており基本的な安全性は確認されている。さらに41品目については入手した試験成績の評価により、また150品目についてはその基原、製法、本質からみて、いずれも現段階において安全性の検討を早急に行う必要はないものと考えられた。」と報告されており、残る139品目についてさらに検討が必要であるとされている。
 本調査は、林斑報告書で、安全性について検討することが必要とされている139品目を対象として、国内外の試験成績を収集し、その試験成績の評価を行うことにより、天然添加物の基本的な安全性を検討することを目的とした。

B.研究方法

 林班報告書において安全性の確認を必要とされた既存添加物139品目のうち、28日間以上の反復投与試験成績及び変異原性試験成績の双方の資料を入手し得た品目について、品目毎に安全性試験成績の評価を行った。また、林班報告書の調査時点以降でFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(以下、「JECFA」という。)、諸外国等において新たに評価された品目についても調査した。

C.研究結果

①安全性試験成績の収集、評価
 安全性の確認を必要とされた既存添加物139品目のうち、少なくとも28日間以上の反復投与試験成績及び変異原性試験成績の双方が補っているものは14品目であった。
 これらの品目について、個々に試験成績結果の評価を行うことにより、安全性について検討した。その結果、これら14品目については、現時点において、直ちにヒトへの健康影響を示唆するような試験結果は認められなかった。概要は別添1のとおりである。

②JECFAにおける安全性評価状況(表1)
 既存添加物名簿に収載されている489品目についてJECFAにおける評価結果を整理すると、一日摂取許容量(以下「ADI」という。)が設定されたものが14品目、ADIの設定が毒性学上必要ないとされたもの(AD1 is not specified又はAD1 is not limited)が47品目、ADIが暫定的に設定されているものが5品目、ADIは設定されていないが現行の使用は毒性学的に問題ないと判断されたもの{GMP(食品の製造に適正に使用される限り問題ない)又はacceptable(現行の使用条件下で許容される)}が12品目となり、合計78品目の評価が行われている。

③米国あるいはEUにおける許認可状況(表1)
 米国で添加物として流通が認められているもの又はGRAS物質(Generally recognized as Safe)とされているものが137品目、EUで添加物として流通が認められているものが55品目である。

 林班報告書、本調査結果、JECFA、米国及びEUにおける評価状況を踏まえて、既存添加物489品目における現在の安全性評価をまとめると、表2のとおりである。

D.考察

 安全性の確認を必要とされた既存添加物 139 品目を対象に、安全性試験成績の収集を行い、少なくとも 28 日間以上の反復投与試験成績及び変異原性試験成績の双方が入手できた 14 品目について、試験成績を評価したところ概要は別添 1 に示すとおりであり、いずれの品目についても、現時点において、直ちにヒトへの健康影響を示唆するような試験結果は認められなかった。従って、評価を行った 14 品目については、新たな安全性試験を早急に実施する必要はないものと考えられた。
 国際機関等における評価に関しては、林班報告書以降、 JECFA においては、α-アセトラクタートデカルボキシラーゼ、カードラン、カラメルⅡ、トレハロースの 4 品目が新たに評価され、 ADI が設定若しくは設定することは必要ないとされた ( 表 1) 。これらの品目のうちカードランとカラメルⅡは米国及び/若しくは EU において使用が既に認められていたものであり、他の 2 品目は基原・製法・本質から見て安全性の検討を急ぐ必要はないと林斑報告書では述べられている。また EU では、新たにインベルターゼ、β-シクロデキストリン、マイクロクリスタリンワックスの 3 品目が評価された ( 表 2) 。この内、マイクロクリスタリンワツクスとβ-シクロデキストリンは JECFA において既に評価された品目であり、インベルターゼは酵素であるところから安全性の検討を急ぐ必要はないものと林班報告書で記されている。従って、国際機関等において評価された物質のうち、林班報告書で優先的に安全性の検討が必要とされた 139 品目に該当するものはなかった。
 以上の結果、林班報告書に記載の 139 品目から、本調査により評価した 14 品目を除いた残り 125 品目については、今後安全性試験の実施を含めさらに情報を収集することが必要であると考えられる ( 表 3) 。
 なお、表 3 に記載されている品目のうち、平成 11 年度の調査 ( 日本食品添加物協会 ) で流通していないと考えられるものについても参考のために表 3 中に記載した。

E. 結論

 本調査により、基本的な安全性が確認されていると考えられた新たなものは、試験成績の収集による 14 品目であった。これらの品目についてはいずれも現段階において安全性の検討を早急に行う必要はないものと考えられた。


表1(PDFファイル 62KB):表1.pdf

表2(PDFファイル 33KB):表2.pdf

表3(PDFファイル  9KB):表3.pdf


別添1の14品目

イタコン酸 タマリンド色素
オレンジ色素 氷核菌細胞質液
カロブ色素 ファフィア色素
カンゾウ油性抽出物 ペカンナッツ色素
キチン ヘマトコッカス藻色素
酵素処理イソクエルシトリン モウソウチク抽出物
しらこたん白抽出物 レバン

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