通知

 

食安基発第1128001号

平成17年11月28日

都道府県

保健所設置市

特別区

衛生主管部(局)長 殿

医薬食品局食品安全部基準審査課

 

 

「食品中の食品添加物分析法」の改正について

 



 標記分析法については、「食品中の食品添加物分析法について」(平成12年3月30日付け衛化第15号厚生省生活衛生局食品化学課長通知)の別添「第2版 食品中の食品添加物分析法」により定めているところであるが、ナタマイシンの添加物指定に伴い、「食品中の食品添加物分析法」を下記のとおり改正したので通知する。
 なお、貴職におかれても、御活用の上、貴管内関係者に対する周知徹底方よろしくお願いする。
 


 ナタマイシンが、本日、添加物として指定されたことに伴い、別添のナタマイシンの分析法を加えたこと。



別添

ナタマイシン
Natamycin
別名 ピマリシン

C33H47 NO13:665.75


1.試験法の概要
 チーズ中のナタマイシンは,メタノールで抽出し,高速液体クロマトグラフィーにより定量する.

2.試験法(液体クロマトグラフィー)1),2)

(1) 検体の採取と試料の調製

一般試料採取法を準用する3).なお,チーズ4)から検体を採取する際には,次の諸点にも留意すること.

1 ロットの中から1容器又は1包装のチーズを採取する際には,そのチーズの重量に対する表皮(リンド)の面積の割合が,ロット中のチーズの中で平均的なものを選定すること.
2 ロットの中から選定したチーズから,その一部を採取する際には,チーズ全体の重量に対する採取した重量の割合と,チーズ全体に含まれる表皮の面積に対する採取した部分に含まれる表皮の面積の割合が,大きく異ならないようにすること.
3 粉砕又は細切し均一とする前に,パラフィン等,明らかな非可食部を除くこと.


(2) 試料液の調製
試料約10gを精密に量り,100mlのホモジナイザーカップ又は200mlの共栓付三角フラスコに入れ,メタノール50mlを加え,10,000rpmで5分間ホモジナイズ又は振とう器で90分間振とうした後,水25 mlを加えて混和し,-20℃の冷凍庫で1時間冷却する.冷却後,抽出液をろ紙でろ過し,ろ液の最初の5 mlを捨てる.残ったろ液を0.45μmのメンブランフィルターでろ過したものを,試料液とする.

(3) 検量線用標準液の調製
 ナタマイシン標準品0.010gを正確に量り,メタノールを加えて溶かし正確に20mlとし,保存用標準原液とする5)(この液1mlは,ナタマイシン500μgを含む).保存用標準原液1.0mlにメタノール・水混液(2:1)を加えて50 mlとし,検量線用標準原液とする(この液1mlは,ナタマイシン10μgを含む).検量線用標準原液0,0.2,1,2,5及び10mlをそれぞれ正確に量り,メタノール・水混液(2:1)を加えてそれぞれ正確に20mlとし,検量線用標準液とする(これらの液1mlは,それぞれナタマイシン0,0.1,0.5,1.0,2.5及び5.0μgを含む).

(4) 測定法

① 測定条件

紫外部吸収検出器付液体クロマトグラフを用い,次の条件によって測定する.

カラム充てん剤:オクタデシルシリル化シリカゲル6)
カラム管:内径4.6mm,長さ150mm
カラム温度:40℃
移動相:メタノール・水・酢酸混液(50:50:5)
流速:1.0ml/分
測定波長:304 nm
② 検量線7)
検量線用標準液それぞれ20μlずつを正確に量り,液体クロマトグラフに注入し,得られたピーク面積からナタマイシンの検量線を作成する.
③ 定量
試料液20μlを正確に量り,液体クロマトグラフに注入し,得られたピーク面積と検量線から試料液中のナタマイシン濃度(μg/ml)を求め,次式によって検体中のナタマイシン含量(g/kg)を計算する.


C:試料液中のナタマイシン濃度(μg/ml)
W:試料の採取量(g)


試薬・試液等
1.メタノール:[高速液体クロマトグラフ用]
2.酢酸:[特級]
3.ろ紙:5種A(直径185 mm)
4.メンブランフィルター:孔径0.45μm,直径25mm 溶媒系
5.水:超純水(逆浸透膜処理装置による精製,イオン交換樹脂による脱塩及びメンブランフィルターによるろ過等により,比抵抗値17ΜΩ・cm以上まで精製した水)

[注]
1)  本法は,チーズ中のナタマイシンの分析に適用できる.
2)  本法によるナタマイシンの定量下限は,0.001g/kgである.
3)  ナタマイシンは光により分解するので,操作中に直射日光あるいはUV照射が当たらないよう注意すること.
4)  ナタマイシンはチーズの熟成過程における表面処理剤として用いられた場合,通常,チーズの内部に浸透せず,表面に残存する.
5)  保存用標準原液は,遮光して冷蔵保存すれば少なくとも1週間は安定である.
6)  YMC-Pack ODS-AM-302(㈱ワイエムシィ),Inertsil ODS-3V(ジーエルサイエンス㈱),Mightysil RP-18 GP 150-4.6(関東化学㈱)等のオクタデシルシリル化シリカゲルが充てんされている分析カラムが使用できる.カラムによりソルビン酸,デヒドロ酢酸等の保存料がナタマイシンのピークと重なる場合があるので,あらかじめ重ならないことを確認すること.
7)  共存成分によりピーク高さが影響されるので,定量はピーク面積で行う.





公益財団法人 日本食品化学研究振興財団 事務局

本部 大阪府豊中市三和町1丁目1番11号

TEL(06)6333-5680 FAX(06)6333-5491

お問い合わせはこちらへ

東京分室 東京都中央区日本橋本町4丁目6番3号 SEGビルアネックス2階

English Top