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平成14年08月02日

 

 

フタル酸エステル類を原材料として用いたポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂に関する使用規制Q&A

 

1.告示の適用について

Q1.告示が適用されるまでの間、フタル酸エステル類を原材料として用いたポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂製の器具及び容器包装並びにおもちゃは、製造・販売あるいは営業上使用してもいいのか。


A.告示の施行は、1年の猶予期間の後、平成15年8月1日としておりますが、それまでの間においても油脂又は脂肪性食品を含む食品の器具又は容器包装並びにおもちゃにフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(以下「DEHP」という。)等を原材料として用いたポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂を原材料として用いた製品の製造、販売等については、できるだけ差し控えるようお願いします。 

Q2.「油脂又は脂肪性食品を含有する食品」には、どのような食品が該当するのか。


A.「油脂及び脂肪性食品」の定義については、「食品、添加物等の規格基準の一部改正について」(昭和48年環食化第541号)の記の第2の2に定義されているように「食品中又は食品表面の油脂含量がおおむね20%以上で、乾燥した固形食品以外の食品」であり、例えば、牛脂、植物油、ハム、ベーコン、牛肉、豚肉、チョコレート、ポテトチップス、てんぷら、油揚げ、さつま揚げ、コロッケ、トンカツ、マヨネーズ、ドレッシング、チーズ、バターなどが含まれます。
  また、「油脂又は脂肪性を含有する食品」としては、上記の食品だけでなく、それらを用いた食品、例えば油脂で炒めたり、焼いたり、揚げたり、炒めてから煮た食品、及び脂肪性食品を材料としている食品がすべて含まれます。具体的には、ハンバーグ、ぎょうざ、からあげ、肉団子、カレー、ビーフシチュー、肉じゃが、野菜炒め、きんぴらごぼう、油や油揚げを含む煮物、ポテトサラダ、ドーナツ、ケーキ、クッキー、かりんとう、あげせんべいなどが挙げられます。
 

Q3.「油脂又は脂肪性食品を含有する食品に接触するポリ塩化ビニルを主成分とする器具又は容器包装」には、どのようなものが該当するのか。  


A.「油脂又は脂肪性食品を含有する食品に接触する器具又は容器包装」とは、器具又は容器包装が接触する食品の部分に油脂又は脂肪性食品が存在することを意味するので、例えば、弁当の一部に油いためが含まれていてそれが手袋や容器包装に接触する場合も該当します。
 

Q4.「油脂又は脂肪性食品を含有する食品に接触する器具又は容器包装」の範囲の中に、通常は直接接触していない場合も含まれるのか。


A.通常は油脂又は脂肪性食品を含有する食品に接触していない器具又は容器包装であっても、例えば、調理済みの食品のカバーのように、輸送中や商品を取り扱う最中に接触する可能性が高い器具又は容器包装や、食品と直接接触する包装が紙等で油脂分を透過する場合の外装も今回の規制対象の範囲に該当します。
 

Q5.油脂又は脂肪性食品に使用しない器具・容器包装には、DEHPを原材料として用いたポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂を使用できるのか。DEH  Pを原材料として用いた塩化ビニル製の手袋は使用可能となるのか。


A.油脂又は脂肪性食品を含む食品以外の食品に用途が限定されていれば、DEHPを原材料として用いたポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂製の器具又は容器包装を使用することは差し支えありませんが、用途が限定されていない場合、例えば、DEHPを原材料として用いた塩化ビニル製手袋の食品への使用については、今回の規制の対象となります。
  なお、DEHPを可塑剤として含有する塩化ビニル製手袋については、「塩化ビニル製手袋の食品への使用について」(平成12年6月14日付け衛化第31号)に従い、引き続きこの原材料の使用を避けることとされていることに御留意願います。
 

Q6.おもちゃには、フタル酸エステル類を含有するポリ塩化ビニルを使用してはいけないのか。


A.DEHPを原材料とするポリ塩化ビニルについては、食品衛生法施行規則第25条に定めるおもちゃ全般に使用することが禁止されます。
  フタル酸ジイソノニル(以下「DINP」という。)を原材料とするポリ塩化ビニルについては、おしゃぶり、歯がため等乳幼児が口にすることをその本質とするおもちゃに使用することが禁止されますが、他のおもちゃには使用しても差し支えありません。
  また、食品衛生法の趣旨として、乳幼児が接触する可能性のあるおもちゃによる衛生上の危害の防止という観点から、乳幼児(6歳未満)が対象とされたものに適用されます。
 

Q7.食品衛生法施行規則第25条第4号に「ボール」とあるが、浮き輪については、これに含まれるのか。


A.「浮き輪」については、使用目的が「ボール」や「風船」と異なること等を踏まえて、適用外となります。
 

Q8.おもちゃの容器包装について、今回改正の規格基準は適用されるのか。


A.食品衛生法第29条に規定するおもちゃに係る規格又は基準は、おもちゃについて定められるものであり、今回の規格基準改正は、おもちゃの容器包装について適用されるものではありません。
 
2.検査について
 

Q9.器具又は容器包装においては、「油脂又は脂肪性食品を含有する食品に用いる器具又は容器包装には、DEHPを含有するポリ塩化ビニルを主成分とする  合成樹脂を原材料として用いてはならない。ただし、DEHPが溶出又は浸出  して食品に混和するおそれのないように加工されている場合はこの限りでない。」となっており、これらの内容を確認するために、材質試験、溶出試験についてそれぞれ判断基準はどのように設定されているか。


A.
(1)材質試験については、以下のとおりです。
・ 「0.1%以下」とは、有効数字上小数第2位での四捨五入となり、その数値で評価を行うこととなります。
・ 材質試験の0.1%の数値については、材質への製造工程からのコンタミネーション等を考慮して、EUにおける玩具の暫定的禁止における材質の限度値(0.1%以下)と同じにしたものであります。なお、今回の法の趣旨は「用いない」ことである点にご注意ください。
(2)溶出試験については、以下のとおりです。
・ 溶出試験は、溶出又は浸出しないことを確認するために行うものであり、1ppmについては、試験操作における試薬、水、機器等からのコンタミネーションを考慮して設定しております。
 

Q10.試験の対象となるのは、どの部位か。


A.
(1)器具及び容器包装については、食品に直接接触する部分がポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂製の器具及び容器包装を対象とします。
(2)おもちゃについては、ポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂製の部分があれば、この部分があることを以てポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂製のおもちゃと見なし、当該合成樹脂の部分について試験の対象とすることとします。ただし、乳幼児が接触するおそれのない部分については、試験を要しません。
 また、ポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂で構成されている部分で、試料が均一でない場合には、平均化して試料を採取して試験を実施することになります。
 

Q11.輸入時の届出の際の留意点を示してほしい。


A. 
・ DEHPやDINPを原材料として用いていないことが確認できないポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂製の器具・容器包装又はおもちゃについては、試験成績書の添付による確認が必要です。
  また、DEHPが溶出するおそれがないことが確認できないポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂製の器具・容器包装についても試験成績書の添付による確認が必要です。
・ DEHPを原材料として用いたポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂製の器具・容器包装を輸入する際には、「油脂又は脂肪性食品を含む食品」に対して使用しないものであることが必要とされるので、その使用対象食品を輸入届出書の備考欄に記載願います。


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