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平成9年08月28日

 

 

(別紙) 酢酸ビニル樹脂中の酢酸ビニル単量体分析法

 


1 試薬

トルエン:残留農薬試験用として市販のものを用いる。
酢酸ビニル単量体:含量98.0%以上
酢酸ビニル単量体標準液:酢酸ビニル単量体約50mgを正確に量り、トルエンを加えて正確に50mlとする。


2 ガスクロマトグラフィーによる酢酸ビニル単量体の測定条件

ガスクロマトグラフ(FID検出器付属)
カラム:内径0.32mm、長さ30mのケイ酸ガラス製の細管に、ガスクロマトグラフィー用ジメチルポリシロキサンを5μmの厚さでコーティングしたもの。
注入口温度:150℃
検出器温度:200℃
カラム温度:100℃で8分間保持した後、その後毎分20℃で昇温し、250℃に到達後5分間保持する。
試料注入量:1μl
注入方法:スプリット(8:1)
ガス流量:キャリヤーガスとしてヘリウムを用いる。酢酸ビニル単量体が約4分で流出する流速(注1)に調整する。


3 試験溶液の調整

 酢酸ビニル樹脂を薬包紙及びラップフィルムで包み、木槌で叩いて細かく砕き、その約2.5gを正確に量り、トルエンを加えて溶解したのち、性格に25mlとし、試験溶液とする。


4 酢酸ビニル単量体の定量

 試験溶液1μlをガスクロマトグラフに注入する(注2)。別途作成した検量線より、試料中の酢酸ビニル単量体の濃度を求める。


5 検量線の作成

 酢酸ビニル単量体標準液を、約0.2~10μg/mlになるようにトルエンで適宜希釈し、その1μlをガスクロマトグラフに注入する。得られたピーク面積から、検量線を作成する。


6 検出限界:酢酸ビニル単量体5μg/g試料

(注1)流速1.26ml/minの条件下で、酢酸ビニル単量体は4分付近に出現した。

(注2)溶解した酢酸ビニル樹脂を除去しないで直接注入する。溶解した酢酸ビニル樹脂の一部がカラムに付着するのを防ぐため、注入口ライナーはガラスウール(シラン処理済)を詰め替えできるタイプを選択する。


(別添)

日本バイオアッセイ研究センターにおける労働省委託の酢酸ビニルのラット及びマウスを用いた経口投与によるがん原性試験結果の概要(妙)

 試験は、F344/DuCrj(Fischer)ラット(6週令)及びCrj:BDFIマウス(6週令)の、それぞれ雌雄各群50匹の4群、合わせてラット400匹、マウス400匹を用いた。
 酢酸ビニルをラット、マウスともに、10,000ppm、2,000ppm、400ppm、0ppm(対照群)の濃度に希釈調製した飲水を、104週間(2年間)自由摂取で投与した。
 その結果、F344/DuCrj(Fischer)ラットでは、雄に口腔の扁平上皮癌と扁平上皮乳頭腫、雌に口腔と食道の扁平上皮癌の発生が認められ、酢酸ビニルのがん原性が証明された。
 また、Crj:BDFIマウスでは、雌雄の口腔と前胃に扁平上皮癌と扁平上皮乳頭腫、食道と喉頭に扁平上皮癌、雌の食道に扁平上皮乳頭腫が認められ、酢酸ビニルのがん原性が証明された。

表1 腫瘍の発生数(ラット)

濃度

対照群

400ppm

2000ppm

10000ppm

雄(検査動物数)
 口腔 扁平上皮癌
 口腔 扁平上皮乳頭腫

(50)
0
0

(50)
0
0

(50)
0
0

(50)
5
2

雌(検査動物数)
 口腔 扁平上皮癌
 食道 扁平上皮癌

(50)
0
0

(50)
1
0

(50)
1
0

(50)
3
1



表2 腫瘍の発生数(マウス)

濃度

対照群

400ppm

2000ppm

10000ppm

雄(検査動物数)
 口腔 扁平上皮癌
 口腔 扁平上皮乳頭腫
 食道 扁平上皮癌
 前胃 扁平上皮癌
 前胃 扁平上皮乳頭腫
 喉頭 扁平上皮癌

(50)
0
0
0
1
0
0

(50)
0
0
0
0
0
0

(50)
0
0
0
0
0
0

(50)
13
4
7
7
2
2

雌(検査動物数)
 口腔 扁平上皮癌
 口腔 扁平上皮乳頭腫
 食道 扁平上皮癌
 食道 扁平上皮乳頭腫
 前胃 扁平上皮癌
 前胃 扁平上皮乳頭腫
 喉頭 扁平上皮癌

(50)
0
0
0
0
0
0
0

(50)
0
0
0
0
0
0
0

(50)
0
0
0
1
0
0
1

(50)
15
3
1
0
3
1
1


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