薬事・食品衛生審議会資料

 

平成11年09月22日

 

 

「組換えDNA技術応用食品・食品添加物の安全性評価指針」に適合していることの確認を行うことの可否に関する部会報告書 - 別紙7 PHY23

 
別紙7
PHY23
報 告 書


品 種:なたね(商品名:PHY23)
性 質:除草剤(グルホシネート)
耐性申請者:アグレボジャパン株式会社
開発者:Plant Genetic Systems
 

 PHY23について開発者が行った安全性評価が、「組換えDNA技術応用食品・食品添加物の安全性評価指針」(以下「指針」という。)に適合しているか否かについて検討した。その結果は次の1から3のとおりである。


申請された食品の概要
 PHY23は、除草剤「グルホシネート(商品名:バスタ、農林水産省:農薬登録番号15769号)」の影響を受けずに生育できる性質が付与されている。
 グルホシネートの有効成分であるphosphinothricin(以下「PPT」という。)は、植物の窒素代謝により生成したアンモニアを無毒化する役割をもっている酵素「glutamine synthetase(以下「GS」という。)」の活性を特異的に阻害するため、植物は組織中にアンモニアが蓄積し、枯死する。しかし、PHY23には、PPTをアセチル化して不活化させる酵素「phosphinothricin acetyltransferase(以下「PAT蛋白質」という。)」を発現するbar遺伝子(Streptomyces hygroscopicus由来)が導入されているので、グルホシネートを散布しても枯死せずに生育することができる。
 このため、除草剤は雑草の発芽後に最少量撒けばよいので、使用量・回数の削減ひいては環境の保全に資する。

 PHY23は、雄性不稔遺伝子(花粉を作らせなくする性質をもつ。以下「barnase遺伝子」という。)とbar遺伝子とnptII遺伝子を導入したなたね(以下「MS1」という。)と既存の品種との交配種に、稔性回復遺伝子(雄性不稔性を回復させる性質を持つ。以下「barstar遺伝子」という。)とbar遺伝子とnptII遺伝子を導入したなたね(以下「RF2」という。)と既存の品種との交配種を交配させたハイブリッド種(F1雑種)である。なたねは自家受粉を主とする作物なので、雄性不稔、稔性回復の2つの性質を利用して、ハイブリッド種の簡便な作出を可能にした。
 ハイブリッド種は、雑種強勢により、収量、均一性、環境に対する適応力に優れる。

 また、PHY23には選択マーカー遺伝子として、抗生物質(カナマイシン等)耐性の性質を付与するNPTII蛋白質を発現させるnptII遺伝子(Escherichia coli(以下「E.coli」という。)由来)が導入されている。
 なお、barnase遺伝子とbarstar遺伝子は、プロモーターの発現特異性により、可食部では発現しない。



指針の適用の可否について
 指針は、既存のものと同等とみなし得る生産物を、食品・食品添加物として利用する場合に適応される。そこで、PHY23の安全性評価が指針に適合しているか否かについて検討する前に、まず、本なたねが指針の適用範囲内であるか否かについて、指針の第1章第3(1)~(4)に従って申請資料の検討を行った。
 その結果、申請に際して提出された資料に関する以下の知見からすると、PHY23は、既存のなたねと同等とみなし得るものと考えられ、指針の適用範囲内であると判断した。

 
 
以下省略


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