薬事・食品衛生審議会資料

 

平成10年05月19日

 

 

食品添加物の指定、使用基準の改正に関する食品衛生調査会、毒性部会及び添加物部会合同部会報告について - 別添2 亜硫酸ナトリウム等の使用基準改正について

 

別添2
       亜硫酸ナトリウム等の使用基準改正について

食品添加物 亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、ピロ亜硫酸カリウム及びピロ亜硫酸ナトリウム
○改正の概要
 現行の使用基準では上記の亜硫酸塩類をディジョンマスタードに対して使用する場合、ディジョンマスタードはその他の食品に分類され、二酸化硫黄として、その1kgにつき0.030g以上残存しないように使用しなければならないこととされているが、これを改正し、ディジョンマスタードを新たに対象食品として追加し、使用基準を二酸化硫黄としてその1kgにつき0.50g以上残存して使用してはならないとするものである。
 
○使用基準(案)(下線部分が改正事項。)
 亜硫酸ナトリウムは、ごま、豆類及び野菜に使用してはならない。ごま、豆類及び野菜以外の食品に使用する場合は、食品中に二酸化硫黄として、乾燥果実(干しぶどうを除く。)にあってはその1kgにつき2.0g以上、乾燥マッシュポテト、ゼラチン及びディジョンマスタードにあってはその1kgにつき0.50g以上、かんぴょうにあってはその1kgにつき5.0g以上、糖蜜及びキャンデットチェリー(除核したさくらんぼを砂糖漬にしたもの又はこれに砂糖の結晶を付けたもの若しくはこれをシロップ漬にしたものをいう。以下この目において同じ。)にあってはその1kgにつき0.30g以上、果実酒(果実酒の製造に用いる酒精分1容量パーセント以上を含有する果実搾汁及びこれを濃縮したものを除く。)及び雑酒にあってはその1kgにつき0.35g以上、5倍以上に希釈して飲用に供する天然果汁にあってはその1kgにつき0.15g以上、甘納豆及び煮豆にあってはその1kgにつき0.10g以上、えび及び冷凍生かににあってはそのむき身の1kgにつき0.10g以上、コンニャク粉にあってはその1kgにつき0.90以上、糖化用タピオカでんぷんにあってはその1kgにつき0.25g以上、水あめにあってはその1kgにつき0.20g以上、その他の食品(キャンデットチェリーの製造に用いるさくらんぼ、ビールの製造に用いるホップ並びに果実酒の製造に用いる果汁、酒精分1容量パーセント以上を含有する果実搾汁及びこれを濃縮したものを除く。)にあってはその1kgにつき0.030g(第2添加物の部F使用基準 添加物一般の表の亜硫酸塩等の項に掲げる場合であって、かつ、同表の第3欄に掲げる食品(コンニャク粉を除く。)1kg中に同表の第1欄に掲げる添加物が、二酸化硫黄として、0.030g以上残存する場合は、その残存量)以上残存しないように使用しなければならない。
(注)次亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、ピロ亜硫酸カリウム及びピロ亜硫酸ナトリウムについても同様である。
 
1.亜硫酸塩類の安全性に関する知見
 本品は、FAO/WHO合同食品添加物専門家委員会(JECFA)において評価され、一日摂取許容量(ADI)が二酸化硫黄として0-0.7mg/kg体重・日と設定されている。また、亜硫酸塩類の安全性に関する文献検索から安全性を疑わせる新たな知見は得られていない。
 
2.亜硫酸塩類の一日摂取量
ディジョンマスタードからの亜硫酸塩類の摂取について、亜硫酸塩類が使用基準(案)の上限まで使用されたと仮定した場合の理論最大摂取量及びそのADIに対する比は次のとおり試算される。
対象食品使用基準(案)酸化硫黄としての理論最大摂取量対ADI比
ディジョンマスタード 0.50g/kg 0.016mg/人・日 0.046%
なお、食品からの二酸化硫黄の摂取については、添加物のみでなく食品に由来するものもあるが、その摂取量は21mg/人・日、対ADI比は60.0%と報告されている。
 
3.要請のあった食品に対する有効性に関する知見
 ディジョンマスタードに対して亜硫酸塩類を添加し、色彩及び光度を指標としたマスタードの劣化試験において、500ppmの亜硫酸塩類を添加した場合、30ppmを添加した場合に比べ高い酸化防止効果が示された。
 
4.その他
(1)諸外国の状況
対象食品CODEX米国EU使用基準(案)
ディジョンマスタード GMP 0.50g/kg 0.50g/kg
(注)GMP:Good Manufacturing Practice(適正に製造することとされ一定の基準値は設けられていない。)

食品添加物 炭酸カルシウム
○改正の概要
現行の使用基準では、炭酸カルシウムの使用量はチューインガムに対してカルシウムとして2%以下でなければならないとされているが、これを改正し、炭酸カルシウムの使用量をチューインガムに対してカルシウムとして10%以下でなければならないとするものである。

○使用基準(案)(下線部分が改正事項)
炭酸カルシウムは、食品の製造又は加工上必要不可欠な場合及び栄養の目的で使用する場合以外は食品に使用してはならない。
 炭酸カルシウムの使用量は、カルシウムとして、チューインガムにあっては10%以下、その他の食品にあっては1.0%以下でなければならない。ただし、特別用途表示の許可又は承認を受けた場合は、この限りでない。

1.炭酸カルシウムの安全性に関する知見 本品は、FAO/WHO合同食品添加物専門家委員会(JECFA)において評価され、一日摂取許容量(ADI)の設定が毒性学上必要ないとされている。また、炭酸カルシウムの安全性に関する文献検索から安全性を疑わせる新たな知見は得られていない。

2.炭酸カルシウムの一日摂取量 チューインガムからの炭酸カルシウムの摂取について、現行の使用基準の上限である2%使用されたと仮定した場合、カルシウムとしての理論最大摂取量は0.02mg、使用基準(案)の上限10%では3.5mgと試算される。その増加量は3.48mgと試算される。
 なお、平成6年の国民栄養調査結果によると国民1人1日当たりのカルシウム摂取量は545mgとされている。

3.要請のあった食品に対する有効性に関する知見
1)義歯に対する付着性の低減
義歯用素材としてレジン及びパラジウム合金を使用した引っ張り試験において、炭酸カルシウム添加量の増加に伴い付着性は減少した。
2)床材に対する付着性の低減
Pタイル及びセラミックタイルを使用した引っ張り試験において、炭酸カルシウム添加量の増加に伴い付着性は減少した。
3)官能評価
義歯保有者を対象にカルシウムとしての添加量2,4,8,10,12,14,16%のチューインガムを用いて噛み心地及び非付着性を調査したところ、噛み心地については14及び16%を除き差は認められなかったが、噛み心地及び非付着性を考慮するとした総合的な評価によると添加量10%のチューインガムが品質が良いとする者が最も多かった。

4.諸外国の状況
対象食品CODEX米国EU使用基準(案)
チューインガム GMP GMP カルシウムとして10%以下
(注)GMP:Good Manufacturing Practice(適正に製造することとされ一定の基準値は設けられていない。)
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