薬事・食品衛生審議会資料

 

平成10年05月19日

 

 

食品添加物の指定、使用基準の改正に関する食品衛生調査会、毒性部会及び添加物部会合同部会報告について - 別紙3  キシリトール成分規格追加に係る一般試験法「赤外吸収スペクトル測定法」の改正

 

別紙3

キシリトール成分規格追加に係る一般試験法「赤外吸収スペクトル測定法」の改正

赤外吸収スペクトル測定法

 赤外吸収スペクトル測定法は、赤外吸収スペクトルが物質の化学構造によって一定である性質を利用し、波数4,000~400cm-1赤外線が試料を通過するときに吸収される量を各波数について測定することにより、試料を確認又は定量する方法である。赤外吸収スペクトルは、横軸に波数を、縦軸に透過パーセント又は吸光度をとったグラフで示す。

装置及び操作法
 分散形赤外分光光度計又はフーリエ変換形外分光光度計を用いる。
 赤外分光光度計の使用に際しては、附属の取扱い説明書に従って調整する。吸光度の直線性は、透過パーセント20~80%の間で±1%以内、透過パーセントの再現性は、2回繰り返し測定して±0.5%以内、波数の再現性は、波数3,000cm-1付近で±5cm-1以内、1,000 cm-1付近で±1cm-1以内とする。また、ポリスチレン膜(厚さ約0.03mm)を測定したとき、次の図のような波数の吸収位置を示すスペクトルが得られるように調整しておく。
(図 略)

試料の調製
 最も強い吸収帯の透過パーセントが20~80%の範囲になるように、次のいずれかの方法により試料を調製する。窓板は、塩化ナトリウム、臭化カリウム又は臭化ヨウ化タリウムを使用する。

(1)臭化カリウム錠剤法は、固体試料1~2mg及び乾燥した赤外吸収スペクトル測定用臭化カリウム100~200mgをめのう製乳鉢に入れ、湿気を吸わないように手早く、粒度を小さくして完全に混合した後、成形器に入れ、5mmHg以下の減圧下で錠剤面に対して5,000~10,000kgf/cm2の圧を5~8分間かけて成形し、測定する。

(2)溶液法 固体又は液体試料を別に規定する溶媒に溶かし、液体用固定セルに注入して測定する。補償光路側には同じ溶媒を置く。固定セルの厚さは、通例、0.1mm又は0.5mmとする。

(3)ペースト法 固体試料を細かく砕き、流動パラフィンと乳鉢中でよく練り合わせ、空気が入らないように注意しながら、2枚の窓板の間に挟んで測定する。

(4)液膜法 液体試料1~2滴を2枚の窓板の間に挟み、窓板の間にできた液層を測定する。液層を厚くする必要がある場合は、アルミニウム箔などを2枚の窓板の間に挟み、その中に液体試料がたまるようにする。

(5)薄膜法 試料を別に規定する溶媒に溶かし、1枚の窓板に塗り、熱風を当てて溶媒を取り去った後、この窓板に付着した薄膜を測定する。ただし、試料が厚さ約0.02mm以下のフィルム状のものである場合は、そのまま測定する。

(6)気体試料測定法 排気した5~10cmの長さの光路をもつ気体セルに、試料を別に規定する圧で入れて測定する。必要に応じて1m以上の光路をもつ長光路セルを用いることもある。

(注)下線は、改正部分を示す。



確認方法
 試料による吸収スペクトルと確認しようとする物質の参照スペクトル又は標準品の吸収スペクトルを比較し、両者のスペクトルが同一波数のところに同様の強度の吸収を与えるとき、互いの同一性が確認される。

(1)標準品による確認 試料の吸収スペクトルと標準品の吸収スペクトルを比較し、両者のスペクトルが同一波数のところに同様の強度の吸収を与えるとき、試料と標準品の同一性が確認される。なお、固体状態で測定された試料の吸収スペクトルが、標準品の吸収スペクトルと異なるときは、試料と標準品を成分規格・保存基準各条において規定する同一の条件で処理した後、再測定する。(2)参照スペクトルによる確認 試料の吸収スペクトルと確認しようとする物質の参照スペクトルを比較し、両者のスペクトルが同一波数のところに同様の強度の吸収を与えるとき、試料と確認しようとする物質の同一性が確認される。なお、固体状態で測定された試料の吸収スペクトルが、参照スペクトルと異なるときは、試料を成分規格・保存基準各条において規定する同一の条件で処理した後、再測定する。

 二つのスペクトルを比較するとき、通例、試料スペクトルと参照スペクトルが測定される装置は異なったものであり、それらの分解能には差がある。装置の分解能の差に基づく波数の変動は4,000~2,000cm-1

の波数領域で最大となる。ただし、フーリエ変換形赤外分光光度計の分解能は波数によらず一定であるため、その波数精度は全波数領域において不変である。

参照スペクトル

 成分規格・保存基準各条において赤外吸収スペクトル測定法による確認試験が規定される各品目につき、通例、波数4,000~400cm-1

における参照スペクトルが、参照赤外吸収スペクトルに掲載されている。

*参照赤外吸収スペクトル
 ここに掲げる参照スペクトルは、フーリエ変換形赤外分光光度計を用い、別に記載するもののほか、臭化カリウム錠剤法により試料錠(直径13mm)を調製し、装置の分解能を2cm-1として空気を対照(錠剤ホルダー装着)に50回繰り返し測定して得たスペクトルで横軸に波数(cm-1)、縦軸に透過パーセントを取り図示したものである。

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