第10回研究成果報告書(2004年)

[研究成果報告書 索引]

Abs.No.
研究テーマ
研究者
10-01
    食品添加物の薬物代謝第Ⅱ相酵素への反応性評価に関する研究
水谷 隆治
名古屋市立大学大学院薬学研究科
10-02
    細胞機能を指標とした、日常摂取レベルでの食品添加物の安全性ならびに有用性
山﨑 裕康
神戸学院大学薬学部
10-03
    食品への植物ステロール添加によるコレステロール代謝改善効果の分子レベルでの解析
佐藤 隆一郎
東京大学大学院農学生命科学研究科
10-04  天然食品添加物原料植物のDNAプロファイリングによる鑑別・同定法の開発 水上
名古屋市立大学大学院薬学研究科
10-05
    抗酸化性フラボノイド配糖体食品添加物の生体内代謝物の構造と安全性評価
村上 啓寿
大阪大学薬学研究科
10-06
    食品中等における食品添加物及び分解物の光化学反応による遺伝毒性研究
有元 佐賀惠
岡山大学薬学部
10-07
    遺伝子工学・細胞工学的手法を活用したポリフェノールの機能性・安全性評価
長岡
岐阜大学 農学部
10-08
    没食子酸エステルおよび関連化合物の酸化分解機構の解明
川端
北海道大学大学院農学研究科応用生命科学専攻食品機能化学分野
10-09
    コチニール色素による即時型アレルギー患者における、アレルギー検査の分析およびアレルゲン蛋白質の解析
山川 有子
横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター皮膚科
10-10
    食品添加物と腸内細菌との関わりから見た安全性評価
伊藤 徳夫
大阪大学大学院薬学研究科
10-11  表面プラズモン共鳴法(SPR)を用いた天然食品添加物の生体・食品由来タンパクとの結合能の解析 井之上 浩一
星薬科大学薬品分析化学教室
10-12
    アントシアニン生合成酵素遺伝子の強化による色素生産
山川
東京大学大学院農学生命科学研究科
10-13
    抗酸化性を有する天然食用色素の酸化的変化とその制御研究
増田 俊哉
徳島大学総合科学部
10-14  ヤマブドウ(Vitis coignetiae Pulliat)果皮に含まれるアントシアニンの天然着色料並びに健康食品成分としての有用性・機能性 岡本 五郎
岡山大学農学部
10-15
    沙蒿種子表層を覆う高吸水性多糖の構造と応用
多田 全宏
東京農工大学農学部
10-16
    海藻類からの新規殺菌性褐変防止物質の開発
梶原 忠彦
山口大学農学部
10-17
    成分育種による高機能保持植物作出に関する研究
下村 講一郎
東洋大学 生命科学部
10-18
    卵白リゾチームの甘味発現機構に関する研究
桝田 哲哉
京都大学大学院農学研究科食品生物科学専攻
10-19
    茶カテキン-大豆タンパク質複合体の抽出エキス及び化合物の抗菌活性
西川 和孝
鳴門教育大学学校教育学部生活・健康系
10-20  新規食品添加物であるビオチンの生物有効性についての基礎的研究
 -ビオチン欠乏動物の作成およびその指標について-
渡邊 敏明
兵庫県立大学環境人間学部食環境解析学教室
10-21  天然植物色素に生理機能を付加させ、食品添加物としての有効性と価値を高めることを目的とした酵素的分子設計 (第二報) 石原 浩二
岡山理科大学理学部臨床生命科学科
10-22
    イオン応答性インテリジェント多糖の胃内ゲル化機能を付与した食品添加物の開発
宮崎 正三
北海道医療大学薬学部
10-23
    既存添加物・不溶性鉱物性物質の安全性評価のための基礎的研究
中澤 裕之
星薬科大学
10-24
    既存添加物の安全性評価のための基礎的調査研究
義平 邦利
東亜大学

10-01

食品添加物の薬物代謝第Ⅱ相酵素への反応性評価に関する研究

名古屋市立大学大学院薬学研究科 水谷 隆治

 現在、日本で使用が許可されている食用色素には合成食用色素や種々の天然食用色素がある。これらの食用色素は世界中で使用されているにもかかわらず、それらの毒性についての報告は少なく、特に食用色素の個々の薬物代謝酵素に対する影響はあまり報告されていない。今回合成食用色素であるAmaranthAM, ErythrosineET, Allura Red ACAL, New CoccineNC, Acid RedAR, TartrazineTT, Sunset Yellow FCFSY, Brilliant Blue FCFBB, Indigo CarmineID)、及び天然食用色素であるPurple sweet potato colors, Purple corn colors, Cochineal extract, Monascus colors, Grape juice colors, Elderberry colors, Beet red, Gardenia red, Carthamus yellowなどの薬物代謝酵素、特に薬物代謝第Ⅰ相反応酵素であるCYP2A6Coumarin 7-hydroxylation)と、第Ⅱ相反応酵素であるUGT1A6p-Nitrophenol glucuronidation, 2B7Androsterone glucuronidation)に対する影響について検討した。実験に用いた合成色素9種のうち、UGT1A6UGT2B7に対してはETが強く阻害し、IC50値それぞれ0.09 mM, 0.18 mMで非競合阻害することが明らかとなった。このことからETの触媒する阻害の酵素部位はUGTの分子間で高く保持されているC末端部位、すなわち、UDPGA結合部位であることが示唆される。一方、CYPに阻害を及ぼしていたIDUGTに対してはほとんど影響を及ぼさず、反対にUGTに強い阻害を示していたETCYPに対してあまり大きな影響を及ぼさなかった。これはETIDの阻害がタンパク変性による阻害ではなく、酵素の特異的な部位を阻害する特異的な阻害であることを示している。
 天然色素9種についても検討を行った。ベニコウジ抽出物である赤色色素、Monascus colorUGT1A6, 2B7に対する弱い阻害が見られたが、そのほかの天然色素についてはCYPにも UGTにもあまり影響を及ぼさなかった。これらの阻害濃度は現在私たちが摂取している量と比較して、25000250000倍濃い濃度であったため、実際の生活において、これら食用色素によるCYP2A6UGT1A6, 2B7活性の阻害は起こらないと考えられる。
しかし、このように今回日常で広く用いられている食用色素類の一部に薬物代謝酵素の阻害が見つけられた。今後も化学の進歩に伴い発展していく技術で、現在私たちの周りに存在している様々なものの安全性についても、薬物代謝酵素阻害の視点からも検討されていくことが期待される。


10-02

細胞機能を指標とした、日常摂取レベルでの食品添加物の安全性ならびに有用性

神戸学院大学薬学部 山﨑 裕康

 食品汚染化学物質の細胞レベルでの影響に対する併用食品添加物の作用について、食品汚染物としてはBPAを、食品添加物としては酸化防止剤であるBHAを用い、血小板機能を指標としてin vitroおよびex vivoで検討し下記の成果を得た。
 In vitroにおいては、BPAA-23187およびトロンビン刺激によるTXB2産生に対する有意な促進あるいは抑制が観察され、一方、食品添加物BHAでは両刺激剤によるTXB2産生に対する影響は見られなかった。 BPAと同濃度のBHAを併用添加した場合には、BPAによるTXB2産生への影響が消失あるいは減弱した。
TDIレベルのBPAあるいはADIレベルのBHAを連続摂取したウサギより調製した血小板においては(ex vivo)、A-23187およびトロンビン刺激に対するBPA単独時の作用がBHAの併用により打ち消されるのみならずBHA自身の反応抑制作用が強められた。
摂取実験と同時に行った血液生化学検査値には有意な変動は認められなかった。
 以上の結果より、食品添加物BHAには併用により食品汚染物の生体影響を打ち消す作用を有するなど、 食品添加物本来の目的とは違った面での有用性が認められた。


10-03

食品への植物ステロール添加によるコレステロール代謝改善効果の分子レベルでの解析

東京大学大学院農学生命科学研究科 佐藤 隆一郎

 小腸におけるコレステロール吸収は、一旦上皮細胞に取り込まれたコレステロールの一部が粘膜側に排出され、その残りが体内へと移行した量として評価される。そこで小腸上皮細胞Caco-2を用いて、コレステロール排出活性評価系を構築した。細胞を核内受容体LXRの合成リガンドで処理すると各種ABCトランスポーターの発現が亢進し、これに伴い粘膜側、基底膜側へのコレステロール排出は亢進した。培地にアポA-1を添加し、 ABCA1を介したコレステロール排出活性を評価したところ、基底膜側でのみこの活性が確認され、ABCA1は基底膜側においてHDL産生によりコレステロール排出を担うことが明らかになった。一方、粘膜側においてはABCG5/G8を介したコレステロール排出が想定され、この排出には胆汁酸が共同因子として働きうることを認めた。


10-04

天然食品添加物原料植物のDNAプロファイリングによる鑑別・同定法の開発

名古屋市立大学大学院薬学研究科 水上


Molecular authentication of Ephedra Herb based on the nucleotide
sequences of a chloroplast ChlB gene

Hajime Mizukami
Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Nagoya City University

Abstract

DNA profiling (DNA-based polymorphic assay) has several merits over morphological and chemical methods for authenticating medicinal plants and crude drugs: (1) genotype, as opposed to phenotype, is directly analyzed and, therefore, the assay is not affected by environmental factors; (2) one or more sequences appropriate for solving the particular problem can be selected; (3) the required amount of sample is very small.
The chloroplast ChlB gene which encodes subunit B of light-independent protochlorophyllide reductase was amplified by PCR from various Ephedra plants, herbarium specimens and crude drugs, and sequenced.
Based on the alignment of the sequences, we could authenticate and distinguish Ephedra Herb originating from E. sinica, E. intermedia and E. equisetina. A rapid and convenient protocol for DNA authentication of Ephedra Herb was established.


10-05

抗酸化性フラボノイド配糖体食品添加物の生体内代謝物の構造と安全性評価

大阪大学薬学研究科 村上 啓寿

 イソクエルシトリン (querucetin 3-O-b-D-glucopyranoside) にグルコースがa-1,4結合で付加されたオリゴ配糖体の混合物[以下イソクエルシトリン (IQC)オリゴ配糖体混合物と称する]は、飲料を主とする食品類の抗酸化剤として添加される食品添加物であるが、これまで経口摂取後の化学過程は明らかにされていなかった。本研究では、IQCオリゴ配糖体混合物の経口摂取後の経路で、最も作用の受けやすい唾液および膵臓アミラーゼによる化学過程の解析を検討した。
 イソクエルシトリン(IQC)オリゴ配糖体混合物は、IQCとそのモノからヘプタグルコサイドの混合物であることから、それぞれ単一の分子種に分離精製後、アミラーゼによる代謝過程を解析した。その結果、いずれのアミラーゼにおいてもほぼ同様の代謝分解挙動が観測され、IQCモノおよびジグルコサイドが主代謝成績体であることが判明した。


10-06

食品中等における食品添加物及び分解物の光化学反応による遺伝毒性研究

岡山大学薬学部 有元 佐賀惠

 食品添加物、特に着色料はその性格上、可視光並びに紫外光を吸収する。食品等に添加後、日常の光線(室内光並びに太陽光)にある程度さらされざるをえないことを考えると、光遺伝毒性についても詳しい研究をする必要があると考えられる。そこで、食品添加物存在下、光照射し、バクテリアに対する変異原性作用、培養細胞に対する細胞致死作用を調べた。またそれに基づき、光遺伝毒性を評価すること、ならびに、光による着色料の化学変化により生じる生成物についても、光遺伝毒性評価をすることを目的に研究を行った。9種類の食品着色用天然色素(ラック色素、コチニール色素、ベニバナ黄色素、タマリンド色素、ベニコウジ赤色素、ブドウ果皮色素、クチナシ黄色素、クチナシ青色素、ビート色素)と、アカネ色素より単離された色素Purpurinについて研究した。まず、色素溶液中のサルモネラ菌にUVA照射して復帰変異を見る、光変異原性試験を行ったところ、これら色素はすべて陰性であった。次に、これら色素溶液をUVA4時間照射し、得られた溶液についてエイムス試験を行った。その結果、ラック色素、コチニール色素、ベニバナ黄色素、タマリンド色素溶液に、サルモネラ菌TA98に対し、代謝活性化なしで突然変異を誘起する物質が生成していることが分かった。さらに、ヒトリンパ芽球由来細胞WTK-1に、色素溶液存在下で、UVA照射すると、ブドウ果皮色素とpurpurinでは細胞生存率の減少がみられることが分かった。また、コチニール色素、ベニバナ色素、ブドウ果皮色素、クチナシ黄色素、クチナシ青色素、ビート色素とPurpurin存在下で、細胞にUVA照射し、新しい培地で24時間培養した時の、細胞生存率の低下が観察された。このWTK-1細胞を用いた光殺細胞性試験は、ヒト由来細胞に対する光毒性の簡易なスクリーニング法として、有用ではないかと考えられる。


10-07

遺伝子工学・細胞工学的手法を活用したポリフェノールの機能性・安全性評価

岐阜大学 農学部 長岡

 大豆イソフラボンは化学構造がエストロゲンと類似しており、エストロゲン作用をもつことから、種々のガン、骨粗鬆症などに対する好影響が注目されている。抗動脈硬化因子であるアポリポタンパク質 A-I(ApoA-I)レベルはエストロゲンなどのホルモンによって変動することが知られており、大豆イソフラボンにも同様な活性が期待される。以前我々は、ヒト肝癌由来細胞であるHepG2細胞において、大豆イソフラボンの一つであるゲニステインがエストロゲン受容体(ER)αを介してApoA-I mRNAレベルを上昇させることにより、ApoA-Iレベルを上昇させることを初めて明らかにした1)。しかし、その作用機構に対する検討はほとんどされていない。そこで本研究では大豆イソフラボンであるゲニステインが、ApoA-I遺伝子転写活性化に与える影響、及びその作用メカニズムについて検討した。HepG2細胞へApoA-I-CAT(chloramphenicol acetyl transferase)変異体を導入した実験より、ApoA-Iプロモーターの-256~-190領域が遺伝子転写活性の増加に関与する事が示され、50μMゲニステインの添加により、この領域にあるSiteAと結合する転写因子であるHNF-4αのmRNAは増加、ARP-1のmRNAは減少した。SiteAに結合しているのはERαであることが示唆された。これらの結果から、ゲニステインによるApoA-Iの増加には、ERαの他に、HNF-4α、ARP-1の関与が考えられ、これらが結合するとされるSiteAの重要性が示唆された。


10-08

没食子酸エステルおよび関連化合物の酸化分解機構の解明

北海道大学大学院農学研究科応用生命科学専攻食品機能化学分野 川端 潤


Elucidation of oxidation mechanism of gallic esters and the related compounds

Jun Kawabata
Laboratory of Food Biochemistry, Graduate school of Agriculture, Hokkaido University

Abstract

Phenolic acids and their esters are widely distributed in plants and regarded as antioxidants. Among them, ester derivatives of gallic acid, a typical phenolic acid, are used as food additives. However, mechanism of oxidation reactions of such phenolic acids and esters is complex and not yet elucidated. In this research, we have prepared a series of phenolic esters, methyl, ethyl, propyl, isopropyl and butyl gallares, and 2,3,4-trihydroxybenzoates and determined their radical scavenging activities using 2,2-diphenyl-1-picrylhydrazyl radical. The radical scavenging rate of gallic esters was fast and there was no significant difference in reactivity of free acid and each ester in both protic and aprotic solvents, methanol and acetonitrile, respectively. On the other hand, radical scavenging equivalence of 2,3,4-trihydroxybenzoic esters was higher than the free acid in both solvents. It was also found that the alkyl chain length of the esters of both acids did not affect their antiradical efficiencies. In addition, a new type of dimeric product was identified in the reaction mixture of methyl 2,3,4-trihydroxybenzoate and o -chioranil. Its lactonic structure was determined by the spectroscopic evidence.


10-09

コチニール色素による即時型アレルギー患者における、
アレルギー検査の分析およびアレルゲン蛋白質の解析

横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター皮膚科 山川 有子

 コチニール色素は食用着色料として広く使用されている天然赤色色素で、カイガラムシ科エンジムシの一種であるコチニールの雌を乾燥化したものから抽出される。現在までコチニールによる職業性喘息やアレルギー性肺胞炎、カンパリ飲酒後やイチゴ牛乳、ジュース飲用後、コチニール含有アイスキャンデイーや加工カニ摂取後に蕁麻疹、呼吸困難、アナフィラキシーを起こした報告があるが、比較的稀と考えられている。今回、コチニールによる即時型アレルギー患者について、その原因がコチニールであることを証明するため、皮膚プリックテスト(SPT)を施行した。その結果、患者3名ともコチニールのSPTは陽性であり、一方コチニールから不純蛋白を除去した精製カルミンにてのSPTは陰性化または減弱化した。次に特異的IgEを測定したところ、患者2名にコチニールの特異的IgEが高値であったが精製カルミンでは陰性であった。さらにウエスタンブロッテイング法により患者3名ともコチニールに含まれる約39,44kDaの蛋白に対するIgEを有することがわかった。以上から、コチニールによる即時型アレルギー患者は、コチニールに含まれる不純蛋白質に対する抗体を持ち、しかもそのアレルゲンは約39,44kDaの蛋白であることが証明された。将来、現在多種の目的で使用されているコチニール色素からアレルゲン蛋白を除去し精製した色素を作成することができれば、今後これらの即時型アレルギー患者が減少することが期待される。
 


10-10

食品添加物と腸内細菌との関わりから見た安全性評価

大阪大学大学院薬学研究科 伊藤 徳夫

 腸内細菌群集と宿主の相互作用は、栄養および化学物質の吸収、代謝、あるいは化学物質の毒性発現、および解毒に関わる。多くの腸内細菌は偏性嫌気性あるいは通性嫌気性あり、同一培養条件での網羅的培養は不可能である。培養を行わずに培養困難な細菌群集の変動を解析する手法(16S rDNAに注目したRFLP法、FISH法、およびDGGE法等)が環境微生物学分野で応用、確立されている。そこで、PCR-DGGE法を腸内細菌群集変動の網羅的解析に応用することを試み、昨年度は系を確立した。化学物質による腸内細菌群集変動の解析、判定に際して統計学的な検定法の導入が必要と判断し、メトロポリス法を用いたモンテカルロ法による相関比検定を新規に開発導入し、腸内細菌群集変化が明らかなモデル実験で検定手法の妥当性を検証した。食品添加物として保存料等に注目し、腸内細菌群集変動を解析した。検討した保存料のうちでデヒドロ酢酸は、300 mg/kg/day (p.o.)3日間の投与で腸内細菌群集に有意な変動を与えた。しかし使用基準と摂取量等から判断し、ヒトの腸内細菌群集に影響を与える可能性はないと考えられる。


10-11

表面プラズモン共鳴法(SPR)を用いた天然食品添加物の生体・食品由来タンパクとの結合能の解析

星薬科大学薬品分析化学教室 井之上 浩一

 生体内の多くの活性物質は、受容体を介して反応するため、化学物質と受容体との相互作用の検出法は重要である。また、近年注目されるタンパク相互間結合の解析は今後の研究等に関する基礎的な知見となるであろう。そこで、本研究は、表面プラズモン共鳴法(SPR)を利用した非標識かつリアルタイムに分子間の相互作用を評価する新規試験法の開発を試みた。基礎的な反応状態を観察するため、エストロゲン受容体試験に関する検討を実施し、センサーチップ上のリガンドとして、17-β-エストラジオール(以後E2とする)を固定化した。次に、エストロゲン受容体 (ER)をアナライトとし、固定化E2ERにおける相互作用を確認した。さらに、従来競合試験において過剰評価される可能性を有する化合物(クルクミン、ウコン色素、ブドウ果皮色素、赤キャベツ色素、クチナシ)を用いERのリガンド固定化E2との結合試験を行い、女性ホルモン活性ER結合能を評価した。従来の受容体試験では、標識体を用いて、吸光度法により、検出するため、色素類では過剰評価の恐れがあったが、本試験ではいずれの食用天然色素も良好に評価できた。以上の結果により、ブドウ果皮色素はERとの結合能を有するのに対し、クルクミン、クチナシ色素、ウコン色素、紫キャベツ色素はその活性が無いことが分かった。


10-12

アントシアニン生合成酵素遺伝子の強化による色素生産

東京大学大学院農学生命科学研究科 山川

 ムラサキイモ(アヤムラサキ)の生産するアントシアニン色素生合成能力を強化するために、アントシアニン生合成経路上の酵素、アントシアニンシンターゼ(ANS)に注目した。Agrobacterium rhizogenesを用いてアヤムラサキの毛状根を誘導し、毛状根にアサガオのANS遺伝子を導入した。アサガオのANS遺伝子が導入された毛状根の選抜株における導入遺伝子の発現とアントシアニン含量について検討を行なったところ、アントアニン色素の生産量は導入株によって大きく異なった。導入遺伝子由来のANSタンパク質の発現はウエスタンハイブリダイゼーションでは確認できなかったが、いずれの株でもRNAの転写レベルでは発現が確認された。


10-13

抗酸化性を有する天然食用色素の酸化的変化とその制御研究

徳島大学総合科学部 増田 俊哉

 現在使用されている食用天然色素には、強力な抗酸化性を有するフェノール性物質が多く存在する。前年度より、それらの色素のなかからミセル系(pH7.4)において強力な抗酸化性を示すラック色素のメイン成分であるラッカイン酸Aについて継続して研究を行った。まず、ラック色素から単離したラッカイン酸Aの抗酸化性に関する性質に更なる検討を加えた結果、ラッカイン酸Aの抗酸化性は系のpHに非常に影響を受けることが確実となった。その現象を踏まえ、前年度、測定系が均一系の場合その活性は消失することを見出していたが、均一系においても。ラッカイン酸Aの特異なジカルボン酸をナトリウム塩とすると強力な活性を示すことをはじめて発見した。また、今回。ラッカイン酸Aの抗酸化反応生成物を単離構造決定するために、各種の誘導反応を行い、ラッカイン酸Aの各種化学的性質を知ることができたが、使用に耐える誘導体を合成することは残念ながらできなかった。しかし、ラッカイン酸Aナトリウム塩自体での抗酸化生成物のNMR測定には成功し、抗酸化過程においてD環部分で何らかの反応が起きていることを知ることができた。前回のLCMS分析の結果と考え合わせると、ペルオキシド生成のような酸素酸化反応がD環付近においておきているものと推測された。さらに、ミセル系におけるpHの抗酸化性への効果は、塩基性にあるほどその活性は上がるが、中性付近においては、pH7.4 よりpH6.3の方が抗酸化性が強いことを見出している。今回その2つのpHにおけるラッカイン酸Aの抗酸化反応についても検討したところ、ラッカイン酸Aの消費速度と抗酸化反応物の経時的な蓄積量に差があったことを考察し、ラッカイン酸Aの色素としての機能をできるだけ保ちながら、抗酸化性を強くできる条件を開発できる糸口となる知見を得ることができた。


10-14

ヤマブドウ(Vitis coignetiae Pulliat)果皮に含まれるアントシアニンの
天然着色料並びに健康食品成分としての有用性・機能性

岡山大学農学部 岡本 五郎

 岡山県北部の蒜山で経済栽培されているヤマブドウ(Vitis coignetiae Pulliat)果実の果皮には、豊富なアントシアニン色素が含まれている。バイアルに入れたヤマブドウ果汁を数日間自然光に曝し、赤色強度の変化をカベルネ・ソービニヨン(V. vinifera L.)キャンベル・アーリー(V. labruscana Bailey)、及びピオーネ(V. vinifera ×V. labrusca)の果汁と比較したところ、ヤマブドウ果汁の耐光性が最も高く、カベルネ・ソービニヨン果汁が最も低いことを認めた。ヤマブドウ果皮MeOH抽出物のダイアイオン吸着画分(主としてフェノール化合物)をHPLCで分離し、284nmの吸収を解析した結果、アントシアニン類が溶出される前(Rt=3.7,7.5)に、2つの主要なピーク(A, B物質)が現れた。この2物質はいずれも無色であり、カベルネ・ソービニヨン果汁にはA物質が少量含まれるが、B物質はほとんど存在しなかった。そこで、ヤマブドウ果皮の抽出物をODSカラムを用いてB物質を単離し、カベルネ・ソービニヨンの果汁に加えて耐光性テストを行った結果、B物質の添加で明らかに耐光性が向上することが認められた。このB物質をESI-LC/MSで解析した結果、基本骨格の分子量は194で、これに糖分子が2個結合しており、全体の分子量が519、または518の配糖体であると推定された。このように、蒜山で栽培されるヤマブドウ果実は、高濃度のアントシアニン色素を含むとともに、この色素の耐光性を増強する別の無色のポリフェノール物質を含んでいる。したがって、天然着色料として極めて有用であるばかりでなく、このアントシアニン色素の耐光性物質をちゅうしゅつすることによって、他のアントシアニン含有食品の光安定化に貢献する機能性も有している。


10-15

沙蒿種子表層を覆う高吸水性多糖の構造と応用

東京農工大学農学部 多田 全宏

 沙蒿(Artemisia sphaerocephala Krasch)は中国西北部の寧夏回族自治区や内モンゴルなどの乾燥地に広く自生するキク科植物で,極度の乾燥地でも発芽し、成長することができる。その種子の表層は極めて吸水性の高い樹脂様物質によって覆われており、沙蒿の種子の上に雨が降ると種子表面にある樹脂様物質が水を吸いゲル状となって地表に広がり土壌を固定した後、種子は発芽すると考えられている。このように沙蒿が粒子の細かい黄土の乾燥地域で土壌を固定しながら発芽し繁殖できることからその種子を飛行機から蒔いてこの地域の砂漠緑化に役立てようとしている。写真1は、我々が寧夏回族自治区銀川近くの乾燥地植物園を訪問した際に見た沙蒿の群落である。この辺りでは、このような沙蒿の群落が所々に見られる。沙蒿はキク科ヨモギ属の多年草で、毎年秋に先端に小さな花をつけ細かな種をたくさん実らせる。中国寧夏を中心とする一部地域では古くから、種子を粉末にして小麦粉、そば粉等に混ぜ、麺類の物性改良材として利用している。
今回、1.沙蒿種子表面を覆う高吸水性多糖類の分離精製法と物性改良法に関して、有効な方法を見出した。2.この高吸水性多糖類の構成糖がグルコースとマンノース(約3:1)であることを明らかにした。


10-16

海藻類からの新規殺菌性褐変防止物質の開発

山口大学農学部 梶原 忠彦

 海藻に着目し、これまで褐変原因酵素であるポリフェノールオキシダーゼ(PPO)の効果的、且つ新規な阻害剤をスクリーニングしてきた。その結果、α,β-不飽和カルボニル化合物が顕著な阻害活性を有することが分かったので、海藻精油中のカルボニル化合物を分析するとともに、それらの抗菌活性を測定した。
 一方、α,β-不飽和カルボニル化合物の含量の多い精油を得る目的で、α,β-不飽和アルデヒド生成活性の高い海藻をスクリーニングするとともに、生合成メカニズムを精査した。


10-17

成分育種による高機能保持植物作出に関する研究

東洋大学 生命科学部 下村 講一郎

 赤キャベツおよびムラサキトウモロコシの培養系および再分化系の確立を試みた。赤キャベツにおいては、無菌培養系の葉柄切片を20 mM IBAおよび1 mM BA添加LS固形培地で培養することにより、良好なカルス形成が認められた。形成したカルスの一部を同培地で培養することにより、カルスから不定芽および不定根が形成された。ムラサキトウモロコシでは、無菌幼苗の幼鞘を2,4-D添加MS固形培地において培養することにより、カルスが誘導された。カルスは、1 mg/L 2,4-Dおよび25 mM proline添加N6固形培地において良好に増殖し、数個体ではあるが、シュートへの再分化が確認された。圃場栽培した気根に赤色色素が形成されていたので、ムラサキトウモロコシのシュート培養系に形成した根より不定根培養系を確立した。不定根は、1 mg/L NAA2 mg/L IBA 添加MS液体培地において、暗所、照明下ともに良好な増殖を示した。また、1 mg/L NAA添加MS液体培地においては、照明下で培養した不定根のアントシアニン生産は、暗所のものと比較すると6倍以上の色素生産(約4 mg / 100 mL flask)であり、光によりアントシアニン色素生産が高まることが判明した。さらに、アントシアニジン基本骨格を調べたところ、圃場栽培した種子、根部および照明下で培養した不定根の主アントシアニジンはcyanidinであるのに対し、暗所で培養した不定根はpeonidinであった。2 mg/L IBA添加培地、照明下で培養した不定根の乾燥重量当りのアントシアニン含量は約0.8 %と最も高く、不定根においても種子 (平均含量約0.8 %)に匹敵する色素生産を行うことが可能であった。


10-18

卵白リゾチームの甘味発現機構に関する研究

京都大学大学院農学研究科食品生物科学専攻 桝田 哲哉、北畠 直文

 タンパク質の多くは味を呈さないが、例外的に甘味を呈するタンパク質が知られている。熱帯植物由来のソーマチンは古くから甘味を呈することが知られ、食品素材、風味増強剤として食品業界で利用されている。鶏卵卵白中に存在する溶菌酵素リゾチームもまた甘味を呈するが、その甘味発現機構の詳細については未知である。そこで鶏卵リゾチームを甘味料として広く応用利用することを目論み、その基礎研究の第一歩として、リゾチームのどのアミノ酸残基が甘味発現に重要な役割を担っているのかを化学修飾法を用いて検討した。リゾチームは等電点11の塩基性タンパク質であり、分子内にリジン残基6残基、アルギニン残基11残基もつ。そこでまず、リジン残基にターゲットを絞り、グアニジル化、ホスフォピリドキサール化を行い化学修飾による甘味に対する影響を検討した。リジンをホモアルギニンに変換するグアニジル化ではリゾチームの甘味活性にほとんど影響を与えなかったが、リジンのアミノ基に負電荷を導入するホスフォピリドキサール化を行うと修飾度合いが増加するにつれ甘味閾値が増大した。このことよりリゾチームの甘味発現はリジン残基側鎖の塩基性度と相関があることが示唆された。さらに詳細に各々のアミノ酸残基の甘味に与える影響を検討するうえで、部位特異的変異体を用いた遺伝子工学的なアプローチは有力な手段である。リゾチームの甘味閾値が10 Mであるため甘味特性評価には多くのサンプル量が必要である。そこで高分泌発現で知られているメタノール資化性酵母Pichia pastoris を用いたリゾチームの発現を試みた。ジャーファーメンターを用いてpH, 温度、溶存酸素等の培養条件の至適化を行ったところ、培地1L あたり400 mgの甘味特性評価に十分量の組み換え体リゾチームの発現に成功した。組み換え体リゾチームは、N末端が正しくプロセスされ卵白リゾチームと同等の性質を有していた。また卵白リゾチームと同様の甘味閾値を示したことから、リゾチームの甘味特性を検討する上でPichia pastorisの系を用いた各種変異体の作製が有効であることが確認できた。


10-19

茶カテキン-大豆タンパク質複合体の抽出エキス及び化合物の抗菌活性

鳴門教育大学学校教育学部生活・健康系
佐賀大学農学部
西川 和孝
石丸 幹二

 新規食品素材として期待される茶カテキン-大豆タンパク質複合体の抽出エキス及び化合物について、それぞれ2種類のグラム陰性菌(Escherichia coli, Pseudomonas aeruginosa)とグラム陽性菌(Staphylococcus aureus, Listeria monocytogenes)に対する抗菌試験を行った。複合体抽出エキス及び化合物の抗菌活性は、微量液体希釈法によって最小発育阻止濃度(MIC)を測定した(抽出エキス:0.49~16,000mg/mL、化合物:0.03~1,000mg/mL)。その結果、複合体抽出エキス、(-)-epigallocatechin 3-O-gallate (EGCG)及び(-)-epicatechin 3-O-gallate (ECG)が、今回分析した2種類のグラム陽性菌の発育を抑制した。これらの結果から、複合体の抗菌活性には茶カテキンが関与し、活性の強さ(EGCG>ECG)から、ガレート型カテキン類のピロガロール構造の重要性を示唆した。


10-20

新規食品添加物であるビオチンの生物有効性についての基礎的研究
-ビオチン欠乏動物の作成およびその指標について-

兵庫県立大学環境人間学部食環境解析学教室
兵庫県立大学大学院環境人間学研究科
病体生理研究所
渡邊 敏明
大口 憲一
福井

 水溶性ビタミンの1つであるビオチンの消化や吸収を科学的に分析し、ビオチンの生物学的有効性について解明することを目的とする。本年度は、ビオチン欠乏動物を作成し、尿中のビオチンおよびビオチンの代謝関連物質である3-ヒドロキシイソ吉草酸(3-HIA)の排泄量を指標として、体内のビオチン状態を検討した。この結果、ビオチン欠乏飼料を与えると、4週間後からビオチン欠乏マウスの尿中に3-HIAの排泄が認められた。このようなことから、3-HIAは初期段階においてビオチン欠乏を示す指標として有用であることが示唆された。


10-21

天然植物色素に生理機能を付加させ、食品添加物としての
有効性と価値を高めることを目的とした酵素的分子設計(第二報)

岡山理科大学理学部臨床生命科学科
岡山県立大学保健福祉学部
石原 浩二明
中島 伸佳

 リパーゼのエステル交換反応を応用したアシル化法により9種類のアシル化イソクェルシトリンを酵素的に合成した。さらにアシル化イソクェルシトリンについて耐光性,SOD様活性に関する調査を行った。


10-22

イオン応答性インテリジェント多糖の胃内ゲル化機能を付与した食品添加物の開発

北海道医療大学薬学部 宮崎 正三

 著者らは先に、ジェランガムあるいはアルギン酸ナトリウムの水溶液がカルシウムイオンとイオン封鎖剤(クエン酸ナトリウム)の複合体により酸性条件下でゲル化する現象を利用して、胃内滞留型徐放性液剤の調製を試みた。本研究では、このイオン応答性ゲル化の新技術を食品添加物 に応用し、「ゾルとして飲用すると胃内でゲルとなる新タイプの食品添加物」の開発を試みた。In vitroゲル化に及ぼすpHの影響の検討から、1.0w/vジェランガムおよび1.5w/vアルギン酸ナトリウムのゾルは何れもpHが約3以下ではしっかりとしたゲルを形成することが判明した。胃内でのゲル化に及ぼす胃酸度の影響を、強酸調整群(pH 1.01)および弱酸調整群(pH 3.17)の2種の胃内pH調整家兎に投与した時のゲルの胃内滞留性から評価した。その結果、胃内pHが約3以下ではジェランガムおよびアルギン酸ナトリウムのゾルはともに胃内で迅速にゲルを形成し、ゲルの胃内残存量には顕著な差はないことが認められた。胃内でのゲル化により胃内滞留性が増加することから、食品添加物の使用量の適正化(低減化)に貢献できる。また、機能性食品やダイエット用食品としての展開も期待できることが示唆された。


10-23

既存添加物・不溶性鉱物性物質の安全性評価のための基礎的研究
 
中澤 裕之*、吉村 吉博、井之上 浩一、
伊藤 里恵、川口 研、天笠 高志
星薬科大学
尚男大島 晴美 愛知県衛生研究所
藤巻 照久 神奈川県衛生研究所
堀江 正一 埼玉県衛生研究所
松木 容彦 社団法人日本食品衛生協会食品衛生研究所
高橋 淳子 財団法人食品薬品安全センター秦野研究所
山田 真記子 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
扇間 昌規 武庫川女子大学薬学部
*主任研究者

 溶岩が冷却されると真珠岩、松脂岩、黒曜岩などのガラス質の岩石となる。これらの岩石を基原として製造される既存添加物が、不溶性鉱物性物質(パーライト、活性白土、珪藻土、ゼオライト等)であり、食品の製造に際して製造用剤(ろ過助剤、沈降助剤)として用いられている。基原が岩石であるがゆえに、原鉱によっては人体に有害な重金属等の生理活性物質を多量に含む危険性がある。しかし、既存添加物リストには、基原動植物の学名および処理方法が記載されているのみで、形状、性状、規格等は記載されていない。また、パーライト、タルク、カオリン及び珪藻土は食品添加物公定書に収載されてはいるものの、重金属、鉛及びヒ素以外の有害物質の基準は設けられていない。食品衛生法により、これらの製造用剤は最終食品に残留してはならないと規定されている。しかし、有害な生理活性物質を含んだ不溶性鉱物性物質が食品に残留、あるいは、これらから溶出した有害な物質が食品中に混入した場合には甚大な健康被害を引き起こす危険性ある。
 そこで、これらの不溶性鉱物性物質に含まれる、あるいは溶出される有害な物質を測定し、安全性評価実施のための基礎資料を作成することは、上述のような健康被害を含む食品衛生上の諸問題を一挙に解決し、非常に意義のあることである。
 平成15年度は、不溶性鉱物性物質の材質試験及び溶出試験法の検討を行なった。


10-24

既存添加物の安全性評価のための基礎的調査研究
 
義平 邦利* 東亜大学
水野 瑞夫 自然学総合研究所
正山 征洋 九州大学薬学部
米田 該典 大阪大学大学院薬学研究院
佐竹 元吉 お茶の水女子大学
関田 節子 国立医薬品食品衛生研究所筑波薬用栽培試験場
和仁 皓明 東亜大学大学院
小林 公子 小林病院
加藤 喜昭、森本 隆司 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
* 主任研究者

 天然添加物は、平成7年から、合成添加物と同様に厚生労働大臣により許可されたもの以外は使用することが出来なくなった。平成7年までに、一般的に使用されていた天然添加物は既存添加物名簿に収載され、この収載品目については、引き続き添加物として、使用が認められている。
 厚生労働省は、これら添加物の安全性について既存のデータ等を調査し、その結果を「既存天然添加物の安全性評価に関する調査研究報告書」(平成8年度)(平成11年度)として公表している。
 この報告書では、既存添加物489品についての安全性確認状況を次のように整理、分類している。
① JECFA等により国際的評価がなされており、基本的な安全性が確認されているもの、及び入手した試験成績により基本的な安全性を評価することができるもの   214品目
② 基原、製法、本質から見て現段階において安全性の検討を早急に行う必要はないものと考えられるもの   150品目
③ 安全性に関する資料の収集が未だできておらず、安全性の確認を迅速かつ効率的に行う必要があるもの   125品目
 厚生労働省は、現在③の125品目について安全性試験を行いつつあり、すでにこのうち17品目についての試験結果が公表されている。
 今回の特別研究は、厚生労働省食品保健部基準審査課の指導を得て、②の現時点では「安全性の検討を早急に行う必要はない既存添加物」と分類されているものについても、将来やはり安全性試験等を行うことが重要であると考えられるところから、まえもって安全性評価のための基礎的調査研究を行うことにしたものである。
 既存添加物の安全性を評価するには、原材料の動植物が確かであること、歴史的な食経験があること、原材料の動植物は有害性でないこと、有害成分を含有しないこと等が必要であるので、今度、これらに関する課題について基礎的調査研究を行うことにしたものである。
  


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