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公益財団法人 日本食品化学研究振興財団
FDA 21CFR(仮和訳)

113  密封容器詰加熱処理ずみ低酸性食品
一般規定

§3  定 義

§113.3 定 義
 
本 part のために、以下の定義を適用する。
(a) 「無菌処理および包装」とは、商業用に殺菌冷却した製品を滅菌済の容器に入れ、無菌環境で滅菌済みのクロージャーを使って無菌密封することをいう。
(b) 「ブリーダー」とは、レトルト、蒸気室から蒸気と共に入ってくる空気を除去したり、このレトルト、蒸気室内の蒸気の循環を促進するために用いる開口部をいう。
(c) 「カムアップタイム (come-up-time) 」とは、蒸気が密封したレトルトへ入ってから、レトルト内が所定の処理温度に達するまでの時間をいう。
(d) 「営利を目的とする加工業者」とは、ペットフードを含めた食品の市販品の加工、注文加工、施設での加工 (教会、学校、刑務所などの組織) に従事する者を言う。市場あるいは消費者テストに用いる食品の生産に従事する者も含む。
(e) 「商業的無菌性 (commercial sterility) 」:
(1) 加熱処理食品の「商業的無菌性」とは、下記によって達成される状態をいう。すなわち、
(ⅰ) 熱を加えて食品中の以下の物質を除去する。
(a) 通常の貯蔵、流通等の際の非冷蔵状態で、食品中で繁殖しうる微生物。
(b) 公衆衛生上有害な生存微生物 (胞子を含む) 。
(ⅱ) 水分活性管理と熱を加えて、貯蔵、流通等の際の通常の非冷蔵状態で、食品中で繁殖しうる微生物を食品から除去する。
(2) 食品の無菌処理、包装に用いる装置、容器の「商業的無菌性」とは、貯蔵、流通等の通常の非冷蔵状態で、食品中で繁殖しうる公衆衛生上有害な生存微生物や、それ以外の公衆衛生上は無害な微生物も存在しない装置、容器にするために熱、化学殺菌剤を加えたりその他の適切な処理を行って達成される状態をいう。
(f) 「限界因子 (critical factor)」とは、これが変化すると計画工程や商業的無菌性に影響が出るような特性、特徴、状態、様子、その他の要素をいう。
(g) 「火炎式殺菌装置」とは、密封した容器を大気圧下で継続的、断続的あるいは往復動作により撹拌し、ガス炎を当てて殺菌温度まで上げる装置をいう。最初の加熱時間の後、加熱部で一時、保持することができる。
(h) 「総ヘッドスペース、 (headspace, gross) とは、直立した剛性容器の中の製品の水平面 (通常液面) と容器の最上端 (缶の二重巻き締め部の上端、あるいはガラスびんの上端) の間の垂直距離をいう。
(ⅰ) 剛性容器の「正味ヘッドスペース (headspace, net) 」とは、直立した容器の中の製品水平面 (通常液面) と蓋の内表面の間の垂直距離をいう。
(j) 「密封容器」とは、微生物の侵入を防止するよう設計され又それを意図したもので、これにより内容物の商業的無菌性を維持することを目的として設計、使用する容器をいう。
(k) 「定温培養」とは、微生物を繁殖するにまかせる又は繁殖を促進する目的で、一定期間、特定温度でサンプルを保持することをいう。
(l) 「初期温度」とは、充填、密封容器を完全に撹拌、振るった後に決定されるもので、加熱処理サイクルが開始する際に処理される、最も温度の低い容器の内容物の平均温度をいう。
(m) 「ロット」とは、特定のコードで示された一定時間内に生産される製品の数量をいう。
(n) 「低酸性食品」とは、最終平衡pHが 4.6より大きく、水分活性(a) が0.85より大きいアルコール飲料を除く食品全てをいう。最終平衡pHが 4.7未満のトマトおよびトマト製品は低酸性食品と分類されない。
(o) 「最低加熱処理」とは、密封容器に密封する前あるいは後に、一定時間、公衆衛生上有害な微生物を確実に滅菌するために科学的に適切であると決定した温度で食品を加熱することをいう。
(p) 「作業工程」とは、計画工程で加工業者が定めた最低必要条件を満たす、あるいは上回る工程をいう。
(q) 「レトルト」とは、食品の加熱処理に用いる密封した容器その他の装置をいう。
(r) 「計画工程」とは、商業的無菌性を達成するために、特定の製品の製造条件下において加工業者が適切に選んだ工程をいう。この工程は、公衆衛生上有害な微生物の滅菌を確実にするために必要とする方法手順を越えるものを含むこともあるが、少なくとも、加熱処理関係当局が商業的無菌性を達成するために制定した工程と同等でなければならない。
(s) “Shall (するものとする)”しなければならない等は、命令要求を記述する時に使用する。
(t) “Should (すべきである)”は、あるいは助言的手順を述べたり、推薦する装置を明らかにする時に使用する。
(u) 「真空パック製品」とは、計画工程で規定された真空状態で密封した製品のことで、真空性の維持は計画工程が適当であるかという面で重要である。
(v) 「ベント (排気口) 」とは、排気期中に空気を除去するために用いるゲート、プラグ・コック、その他の適切なバルブで調節するレトルトの外壁の開口部をさす。
(w) 「水分活性」(a) とは、食品中の遊離水分の量で、同一温度における物質の蒸気圧を純水の蒸気圧で割った商である。