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公益財団法人 日本食品化学研究振興財団
FDA 21CFR(仮和訳)

173  食品への使用を認められる二次的直接食品添加物
食品処理用重合体物質および重合体補助剤

§25  イオン交換樹脂

section173.25 イオン交換樹脂

イオン交換樹脂は下記に定める条件のもとで食品の処理に安全に使用することができる。
(a) イオン交換樹脂は適切な物理的形態に調整され、下記にあげるもののうち1種類以上から成る。
(1) スチレンとジビニルベンゼンのスルホン化共重合体。
(2) ASTM試験法D 338−38, Class I,Group 2, “Standard Specifications for Classification of Coal by Rank”の要件に適合するスルホン化無煙炭。上記規格はここに言及することにより本連邦規則の一部となる。コピーは University Microfilms International (300 N. Zeeb Rd., Ann Arbor, MI 48106) から入手することができ、国立公文書記録管理局(NARA)にて閲覧できる。NARAに本資料の利用について問い合わせるには、202-741-6030に電話するか、 http://www.archives.gov/federal-register/code-of-federal-regulations/ibr-locations.htmlへアクセスされたい。
(3) 亜硫酸塩変性架橋フェノール−ホルムアルデヒドで変性に伴い側鎖上にスルホン酸基を生じているもの。
(4) メタクリル酸−ジビニルベンゼン共重合体。
(5) 架橋ポリスチレンをまずクロロメチル化し、次いでトリメチルアミン、ジメチルアミン、ジエチレントリアミン、もしくはジメチルエタノールアミンでアミノ化したもの。
(6) エピクロロヒドリンと架橋させたジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、もしくはテトラエチレンペンタミン。
(7) 下記のもののうち一方もしくは両方で活性化させた架橋フェノール−ホルムアルデヒド。…トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン。
(8) ホルムアルデヒド、アセトン、およびテトラエチレンペンタミンの反応樹脂。
(9) アクリル酸メチルとジビニルベンゼンの完全加水分解共重合体。
(10) アクリル酸メチル、ジビニルベンゼンおよびアクリロニトリルの完全加水分解ターポリマー。
(11) スチレン、ジビニルベンゼン、およびアクリロニトリルもしくはアクリル酸メチルのスルホン化ターポリマー。
(12) 重量比で2パーセント以上のジビニルベンゼンを含有するアクリル酸メチル−ジビニルベンゼン共重合体をジメチルアミノプロピルアミンでアミノ分解したもの。
(13) 重量比で 3.5パーセント以上のジビニルベンゼンを含有するアクリル酸メチル−ジビニルベンゼン共重合体をジメチルアミノプロピルアミンでアミノ分解したもの。
(14) アンモニアで架橋させたエピクロロヒドリン。
(15) 重量比で合計2パーセント以下のアクリロニトリルとアクリル酸メチルを含有する単量体混合物に由来するスチレン、ジビニルベンゼン、アクリロニトリル、およびアクリル酸メチルのスルホン化テトラポリマー。
(16) 重量比で 3.5パーセント以上のジビニルベンゼンおよび重量比で 0.6パーセント以下のジエチレングリコールジビニルエーテルを含有する。アクリル酸メチル−ジビニルベンゼン−ジエチレングリコールジビニルエーテルターポリマーをジメチルアミノプロピルアミンでアミノ分解したもの。
(17) スチレン−ジビニルベンゼン架橋共重合体をまずクロロメチル化し、次いでジメチルアミンでアミノ化し、さらに過酸化水素で酸化した結果、重量比で15パーセント以下のvinyl N,N-dimethylbenzylamine -N-oxideおよび重量比で 6.5パーセント以下の窒素を含有する樹脂。
(18) 重量比で7パーセント以上のジビニルベンゼンおよび重量比で 2.3パーセント以下のジエチレングリコールジビニルエーテルを含有するアクリル酸メチル−ジビニルベンゼン−ジエチレングリコールビニルエーテルのターポリマーをジメチルアミノプロピルアミンでアミノ分解しさらに塩化メチルで四次化したもの。
(19) アンモニアで架橋させ、次いで塩化メチルで四次化したエピクロロヒドリンで、重量比で全交換能の18パーセント以下の強塩基能を有するもの〔ケミカルアブストラクト記載名称:アンモニアによるオキシラン (クロロメチル) 重合体、クロロメタンとの反応生成物;CAS Reg. No. 68036-99-7〕。
(20) エピクロロヒドリンと酸化プロピレンで架橋させ、アルキル化し、次いでスルホン化した再生セルロースで、これらの過程で使用されたエピクロロヒドリンと酸化プロピレンの総計は、最初のセルロースに対し重量比250パーセントを越えないもの。
(b) イオン交換樹脂は食品 (飲料水を含む) の精製において、好ましくないイオンを除去するか、より好ましくないイオンを下記に挙げるもののうち1種類以上のものと置換するために用いられる。重炭酸塩、カルシウム、炭酸塩、塩化物、水素、水酸基、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、および硫酸塩各イオン。但し、次の点についてはこの限りではない。本 sectionの paragraph(a)(12)に同定したイオン交換樹脂は本 sectionの paragraph(b)(1)に従ってのみ使用される。本 sectionの paragraph(a)(13)に同定したイオン交換樹脂は本 sectionの paragraph(b)(2)に従ってのみ使用される。本 sectionの paragraph(a)(16)に同定した樹脂は本 sectionの paragraph(b)(1)もしくは(2)に従ってのみ使用される。本 sectionの paragraph(a)(17)に同定したイオン交換樹脂は本 sectionの paragraph(b)(3)に従ってのみ使用される。本 sectionの paragraph(a)(18)に同定したイオン交換樹脂は本 sectionの paragraph(b)(4)に従ってのみ使用され、また、本 sectionの paragraph(a)(20)で同定されるイオン交換樹脂は本 sectionの paragraph(b)(5)および(d)に従ってのみ使用される。
(1) 本 sectionの paragraph(a)(12)および(16)に同定したイオン交換樹脂は下記の条件に従って、蒸留アルコール性飲料の製造に際して水を処理するのに使用される。
(ⅰ) 水は、本 sectionの paragraph(a)(12)もしくは(16)に同定した樹脂のうち1種類のものと本 sectionの paragraph(a)(1), (2), および(11)に同定した水素型強酸性カチオン交換樹脂のうちの1種類のものとから成る混合床を通す処理に付す。もしくは、
(ⅱ) 水は、まず本 sectionの paragraph(a)(12)もしくは(16)に同定した樹脂のうち1種類のものに通し、次いで、活性炭素もしくは本 sectionの paragraph(a)(1), (2), および(11)に同定した水素型強酸性カチオン交換樹脂のうちの1種類のものから成るろ床を通す処理に付す。
(ⅲ) 本 sectionの paragraph(b)(1)(ⅰ) および (ⅱ) に同定した樹脂床を通過する水の温度は30℃以下に保ち、樹脂床を通過する水の流速は毎分1立方フィート当り2ガロン以上である。
(ⅳ) 本 sectionの paragraph(a)(12)もしくは(16)に同定したイオン交換樹脂は本 sectionのparagraph(c)(4)の要件を免除されるが、プロセスに使用される本 sectionの paragraph(b)(1)(ⅰ) および (ⅱ) に言及した強酸性カチオン交換樹脂は、本 sectionの paragraph(d)に述べられている免除例を除き、本 sectionの paragraph(c)(4)に要件に従う。
(2) 本 sectionの paragraph(a)(13)および(16)に同定したイオン交換樹脂は下記の条件に従って、水および本章のsection176.170 cの表1におけるカテゴリーⅠ, Ⅱ, およびⅣ−Bのもとに同定されるタイプの水性食品の処理のためだけに使用される。但し樹脂床を通過する水もしくは食品の温度は50℃以下に保ち、樹脂床を通過する水もしくは食品の流速は毎分1立方フィート当り 0.5ガロン以上であるという条件に従う。
(ⅰ) 本sectionのparagraph(a)(13)で同定したイオン交換樹脂は下記の条件に従って、水および本章のsection176.170(c)の表1におけるカテゴリーI、II、VI-Bのもとに同定されるタイプの水性食品の処理のためだけに使用される。但し、樹脂床を通過する水もしくは食品の温度は50℃以下に保ち、樹脂床を通過する水もしくは食品の流速は毎分1立方フィート当たり0.5ガロン以上であるという条件に従う。
(ⅱ) 本sectionのparagraph(a)(16)で同定したイオン交換樹脂は下記のいずれかの条件に従って、水および本章のsection176.170(c)の表1におけるカテゴリーI、II、VI-Bのもとに同定されるタイプの水性食品の処理のためだけに使用される。
(A) 樹脂床を通過する水もしくは食品の温度は50℃以下に保ち、樹脂床を通過する水もしくは食品の流速は毎分1立方フィート当たり0.5ガロン以上である。または
(B) section173.25(c)(1)に準じて樹脂を洗浄・前処理後に、模擬食品、蒸留水、10%エタノールのそれぞれにおいて、樹脂の抽出物に含まれているジメチルアミノプロプルアミンは1mg/kgにすぎないことが判明する。樹脂は、実際の温度と流速をシミュレートした条件下で下記の試験を行う。“The Determination of 3-Dimethylaminopropylamine in Food Simulating Extracts of Ion Exchange Resins,”(199824日)と題する方法により測定を行うが、この方法は5 U.S.C. 552a及び1 CFR part 51に準じ、ここに言及することにより、本連邦規則の一部となる。この資料のコピーは、FDAの食品安全性及び応用栄養学センター(Center for Food Safety and Applied Nutrition)の申請管理部(Division of Petition Control)(HFS-215)(5100 Paint Branch Pkwy., College Park, MD 20740)で入手できるし、食品安全性及び応用栄養学センターの図書館(200 C Street SW., Washington, DC)あるいは国立公文書記録管理局(NARA)にて閲覧できる。NARAに本資料の利用について問い合わせるには、202-741-6030に電話するか、 http://www.archives.gov/federal-register/code-of-federal-regulations/ibr-locations.htmlへアクセスされたい。
(3) 本 sectionの paragraph(a)(17)に同定したイオン交換樹脂は大量の水性食品 (飲料水を含む) を処理するための工業的用途、もしくは上水道処理の用途に限り使用される。但し、樹脂床を通過する食品もしくは水の温度は25℃以下に保たれ、かつ樹脂床を通過する食品もしくは水の流速は毎分1立方フィート当り2ガロン以上であるという条件に従う。
(4) 本 sectionの paragraph(a)(18)に同定したイオン交換樹脂は、砂糖の水溶液を処理するために使用される。但し樹脂床を通過する砂糖溶液の温度が82℃(179.6°F) 以下に保たれ、かつ樹脂床を通過する砂糖溶液の流速は毎分樹脂床容積1立方メートル当り46.8リットル (1立方フィート当り0.35ガロン) 以上であるという条件に従う。
(5) 本sectionのparagraph(a)(2)で同定されるイオン交換樹脂は、下記の条件要件下でタンパク質濃縮物及び分離物の分離及び精製するための加工水溶液流中での使用に限定される。
(ⅰ) 本sectionのparagraph(d)(2)(i)の条件に適合する樹脂の場合、そのpH値範囲は3.5以上9以下とし、当樹脂床を通過する水及び食品の温度は25℃を超えてはならない。
(ⅱ) 本sectionのparagraph(d)(2)(ii)の条件に適合する樹脂の場合、そのpH値範囲は2以上10以下とし、当樹脂を通過する水及び食品の温度は50℃を超えてはならない。
(c) イオン交換樹脂の安全使用を保証するために、各イオン交換樹脂は下記の条件を満たすものとする。
(1) 樹脂に付けられているラベルもしくは表示上に定められている製造者による使用指針に従い、製造者および使用者の両方もしくは一方により使用前処理に付して、GMP(製造及び品質管理に関する基準)に従ってイオン交換樹脂の食品等級としての純度を保証すること。
(2) ラベルもしくは表示を付けて、樹脂の意図された機能目的にふさわしい使用指針の説明を表示すること。
(3) 本 sectionの paragraph(c)(2)により求められるラベルもしくは表示に従って使用すること。
(4) 食品と共に使用する場合の調整法に関する製造者による使用指針に従って洗浄もしくはその他の方法により処理を行った時に、指定の溶媒、すなわち蒸留水、15パーセントアルコール、および5パーセント酢酸を用いて得られる有機抽出物が1ppm 以下となることが判明するものとし、当該イオン交換樹脂は下記の試験に付す。各溶媒ごとに別々のイオン交換カラムを用いて、試験されるべき使用可能状態のイオン交換樹脂50ミリリットルを用いてカラムを作る。使用中に予想される最高温度を保ちながら、3種類の試験溶媒、すなわち蒸留水、15パーセント (容量比) のエチルアルコール、および5パーセント (重量比) の酢酸を毎時 350〜450 ミリリットルの速度でこれらの樹脂床を通過させる。各溶媒から出た流出液のうち最初の各1リットル分を捨て、次の2リットルを有機抽出物の定量に用いる。得られた2リットル分のサンプルを 105℃で重量が一定になるまで注意深く蒸発させる。これを全抽出物とする。この残渣を重量が一定になるまで 850℃でマッフル炉中で燃やす。これを灰分とする。全抽出物から灰分を差し引いたものが有機抽出物と等しい。有機抽出物が使用した溶媒の1ppm より大きい場合には、当該溶媒について空試験を行うものとし、かつ樹脂試験で得た全抽出物から空試験で得た全抽出物を差し引くことにより補正を行うものとする。使用される溶媒は下記の様にして調製するものとする。
     
          蒸留水
          脱イオン水を蒸留する。
          15%エチルアルコール
          15容の無水エチルアルコール (A, C, S, 試薬級のもの)と85容の蒸留脱イオン水を混合して調製する。
          5%酢酸
          5重量部のA, C, S, 試薬級氷酢酸と95重量部の蒸留脱イオン水を混合して調製する。

本 paragraphに定める有機抽出物制限量に加えて、本 sectionの paragrapha17に同定したイオン交換樹脂は、遊離塩基型の樹脂を各使用の直前に下記の試験に付した時に、指定の溶媒すなわち蒸留水、50パーセントアルコール、および5パーセント酢酸のそれぞれを用いて抽出して、7ppm 以下の窒素抽出物 (窒素として計算) を含有することが判明するものとする。各溶媒ごとに別々の直径1インチのガラス製イオン交換カラムを用いて、試験するべき使用可能状態のイオン交換樹脂 100ミリリットルを用いる各カラムをつくる。
底部の出口を閉じたまま各イオン交換カラムに、溶媒の液面が樹脂床の上端と同じ高さになるまで、上記3種類の溶媒のうちのいずれかを25℃で充填する。各カラムの上部と下部を密閉し、25℃の温度で垂直位に保存する。96時間後、各カラムの上部を開き、溶媒を採取容器に排出し、標準ミクロケルダール法により各排出溶媒および溶媒のみの空実験の場合の窒素を分析する。
(d)(1) 本 sectionのparagraph(a)(1)、(a)(2)、(a)(11)、及び(a)(15)で同定したイオン交換樹脂は、本 sectionの paragraph(c)(4)の酢酸抽出要件を免除される。
(2) 本sectionのparagraph(a)(20)で同定されるイオン交換樹脂は下記要件に準拠するものとする。
(ⅰ) pH3.5の希硫酸を酢酸の代用物として使用することによって、本sectionのparagraph(c)(4)の抽出要件に準拠する。
(ⅱ) pH2の試薬用塩酸を酢酸の代用物として使用することによって、本sectionのparagraph(c)(4)の抽出要件に準拠する。樹脂は、3種類の溶媒、すなわち蒸留水、15%アルコール及びpH2の塩酸それぞれで得られる有機抽出物の25ppm以下にならなければならない。各溶媒に対して空試験を行うものとし、かつ樹脂試験で得た全抽出物から空試験で得た全抽出物を差し引くことにより補正を行うものとする。
(e) 本 sectionに同定したアクリロニトリル共重合体は本章のsection180.22の規定に従うものとする。
 
[42 FR 14526, Mar. 15, 1977, 46 FR 40181, Aug. 7, 1981にて改正; 46 FR 57033, Nov. 20, 1981; 49 FR 28830, July 17, 1984; 56 FR 16268, Apr. 22, 1991; 62 FR 7679, Feb. 20, 1997; 64 FR 14609, Mar. 26, 1999; 64 FR 56173, Oct. 18, 1999]