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公益財団法人 日本食品化学研究振興財団
厚生労働省行政情報

報道関係資料 − 既存添加物の安全性評価に関する調査研究(平成8年度調査)
既存添加物の安全性評価に関する調査研究(平成8年度調査) 別添2 参考

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(別添2 参考)

カードラン
1.食品添加物名
 カードラン (Curdlan)

2.基原・製法・本質
 グラム陰性細菌(Agrobacterium, Alcaligenes facecalis CAST)の培養液より、分離して得られたものである。主成分は、β-1, 3-グルカンである。

3.主な用途
 増粘安定剤

4.安全性試験成績の概要
(1)単回投与試験
 急性経口LD50はラット、マウスで10,000mg/kg/g超である 1),2)

(2)反復投与/発がん性試験
 ビーグル犬を用いた混餌 (1515%及び10%ゲルを飼料中に40%混入したもの)投与による1年間の反復投与試験において、15%及び10%ゲル40%投与群で軟便が認められている。粘液便又は血便が投与開始2ヶ月目まで1%投与群でまれに、5%投与群で時々、16%投与群及び10%ゲル40%投与群で頻繁に観察されるが、2ヶ月目以降は15%投与群及び10%ゲル40%投与群では発生が低減する。15%及び15%投与群の雄で体重増加のわずかな抑制が認められている。115%及び10%ゲル40%投与群で小腸に点状出血及びびらんを伴った急性の緩和な炎症が認められているが、この所見は試験物質の粒子が粘膜を刺激することによる一過性のものであると考えられる。また、15%投与群で盲腸重量 (内容物入り)及び空盲腸重量の増加が認められているが、これは難消化性の物質を大量に投与した場合に認められる所見と考えられる3)
 CDラットを用いた混餌 (1515%及び10%ゲルを飼料中に40%混入したもの)投与による24ヶ月間の反復投与試験において、15%投与群で摂餌量の低下、体重増加抑制、盲腸及び空盲腸の重量増加が認められている。発がん性は認められていない。無毒性量は2.5g/kg/dayと考えられる4)
 CDマウスを用いた混餌 (1515%及び10%ゲルを飼料中に40%混入したもの)投与による18ヶ月間の発がん性試験において、検体投与に起因する毒性学的影響及び発がん性は認められていない。無毒性量は7.5g/kg/dayと考えられる5)

(3)繁殖毒性試験
 CD ラットを用いた混餌 (1515%及び10%ゲルを飼料中に 40%混入したもの)投与による3世代投与試験において、15%投与群の雄で体重増加率のわずかな抑制、15%投与群で摂餌量の減少、15%投与群の出生児で体重は全般的に低めであることが認められている。無毒性量は2.5g/kg/dayと考えられる。繁殖毒性は認められていない。なお、空盲腸重量の変化に関しては増加する世代と低下する世代が認められている1),3)

(4)催奇形性試験
 ウサギを用いた強制経口 (125g/kg 及び20g (10%ゲル)/kg)投与による催奇形性試験において、125g/kg及び20g (10%ゲル)/kg投与群の親動物で、それぞれ31316例の死亡が観察されたが、20g (10%ゲル)kg投与群の高い死亡率は、大量のゲル摂取による窒息が原因であり、毒性とは考えがたい。催奇形性は認められていない。無毒性量は5g/kg/dayと考えられる14)

(5)変異原性試験
 細菌を用いた復帰変異試験6),7)、細菌を用いたDNA修復試験8)、哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験9),l0)、マウスリンフォーマ細胞を用いたTK遺伝子座の突然変異試験11)、マウスを用いた小核試験12)の結果は、いずれも陰性と判断される。

(引用文献)
1.滝澤行雄: 平成4年度食品添加物安全性再評価等の試験, 天然添加物の急性毒性に関する研究, 秋田大学
2.Preliminary Acute Toxicity of Polysaccharide 13140 in Mice and Rats, 1968.12, 社内データ (未公表)
3.One Year Feeding Study in Dogs-PS 13140., 1975.1, 社内データ (未公表)
4.Two Year Feeding Study in Rats-PS 13140., 1976.8, 社内データ (未公表)
5.Lifetime Carcinogenic Study in Mice-PS 13140., 1976.8, 社内データ (未公表)
6.宮部正樹: 平成4年度食品添加物安全性評価試験, 変異原性 (1次試験)
7.Curdlan testing for mutagenic activity with Salmonella typhimurium, 1994.6, 社内データ (未公表)
8.石崎睦雄: 平成4年度食品添加物安全性再評価等の試験, 茨城県衛生研究所
9.祖父尼俊雄: 平成4年度報告書, 食品添加物安全性再評価等の試験, 天然添加物の哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験, 国立衛生試験所, 平成5
10.Curdlan Chromosomal aberrations assay with Chinese hamster ovary cell in vitro (OECD PROTOCOL), 1994.6, 社内データ (未公表)
11.Curdlan Mouse lymphoma mutation assay, 1994.5, 社内データ (未公表)
12.Curdlan Micronucleus test in bone marrow of CD-1 mice, 1994.6, 社内データ (未公表)
13.Multigeneration Reproduction Study in Rats - PS 13140., 1976.5, 社内データ (未公表)
14.Teratoloy Study in Rabbits - PS 13140., 1974.9, 社内データ (未公表)
 


酵素分解レシチン

1.食品添加物名
 酵素分解レシチン (Enzymatically decomposed lecithin)

2.基源・製法・本質
 植物レシチン又は卵黄レシチンを、水又はアルカリ性水溶液でpH調整後、室温時〜温時酵素分解して得られたもの、又はこれをエタノール、インプロピルアルコール若しくはアセトンで抽出して得られたものである。なお、卵黄から引き続き製造されることもある。主成分はリゾレシチン及びフォスファチジン酸である。

3.主な用途
 乳化剤

4.安全性試験成績の概要
(1)単回投与試験
 急性経口LD50はマウスで5,000mg/kg超、ラットで4, 000mg/kg超と考えられる1), 2), 3)

(2)反復投与/発がん性試験
 酵素分解レシチン (大豆)を用いたWistarラットの強制経口 (0.512g/kg)投与による3ヶ月間の反復投与試験において、検体投与に起因する毒性学的影響は認められていない。無毒性量は2g/kg/dayと考えられる4)
 酵素分解レシチン (大豆)を用いたSDラットの混餌 (0.21.05.0%)投与による28日間の反復投与試験において、検体投与に起因する毒性学的影響は認められていない。無毒性量は481mg/kg/dayと考えられる5)
 酵素分解レシチン (大豆)を用いた Wistar ラットの混餌 (510203040%)投与による3週間の反復投与試験及び混餌 (12.651020%)投与による13週間の反復投与試験において、比較対照としたレシチン (大豆)との間に毒性学的な差異は認められていない6)
 酵素分解レシチン (卵黄)Wistarラットを用いた混餌 (5101520%)投与による4週間の反復投与試験において、比較対照としたしシチン (卵黄)との間に毒性学的な差異は認められていない6)

(3)変異原性試験
 細菌を用いた復帰変異試験7)、細菌を用いたDNA修復試験8)の結果は、いずれも陰性と判断される。

(引用文献)
1.酵素分解レシチンの安全性に関する研究−ラットにおける急性及び簡易亜急性毒性試験, 1986, 社内データ (未公表)
2.大豆レシチン酵素 (Phospholipase-D)分解物のラット雄における経口急性毒性試験1988, 社内データ (未公表)
3.厚生省平成5年度食品添加物安全性再評価等の試験, 天然添加物の急性毒性に関する研究, 秋田大学医学部
4.酵素分解レシチンの安全性に関する研究−ラットの経口投与による亜急性毒性試験, 1986社内データ (未公表)
5.Phosphollpase D-hydrolysed Soya Lecithine: 4-week Subacute Oral Toxicity Study in Rats, 1991, 社内データ (未公表)
6.Christian E. Dutilh et al., : Improvement of Product Attributes of Mayonnaise by Enzymic Hydrolysis of Egg Yolk with Phospholipase A2, J. Sci. Food Agric., 32, 451-458, 1981
7.Phospholipase D-hydrolysed Soya Lecithine: Testing for Mutagenic Activity with Salmonella typhimurium TA1535, TA1537, TA98, TA100 and Escherichia coli WP2uvrA, 1989, 社内データ (未公表)
8.厚生省平成5年度食品添加物安全性再評価等の試験検査, 変異原性試験, 第一次試験, Rec-assay 報告書, ()残留農薬研究所