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公益財団法人 日本食品化学研究振興財団
厚生労働省行政情報

通知 − 清涼飲料水中のベンゼンについて
清涼飲料水中のベンゼンに関するQ&A

清涼飲料水中のベンゼンに関するQ&A


問1 ベンゼンが検出された清涼飲料水を飲んでも大丈夫ですか。


 厚生労働省が行った分析調査の結果、1製品から水道水質基準及びWHOの飲料水ガイドライン(第3版)のガイドライン値(10ppb)を超えるベンゼンを検出したことから、念のため、当該製品の販売者に対し、事実の公表、製品の回収や今後の製品の改良などを行うよう要請したところです。
 このWHO飲料水ガイドライン値10ppbを清涼飲料水の指導に当たっての判断基準に用いたのは、飲料水として摂取される水分の一部が清涼飲料水に置き換わることを考慮した場合、飲料水の基準を清涼飲料水に準用することは妥当であると考えているからです。
 また、比較的高い濃度のベンゼンが検出された清涼飲料水を一時的に摂取することについては、このガイドライン値が飲料水を生涯摂取したときのリスクを考慮しており、ガイドライン値を超える清涼飲料水をある一定量摂取していたとしても、特段の健康影響を生ずるということを意味するものではないこと。更に海外における清涼飲料水中のベンゼンへの対応に関する情報にあるように、ヒトのベンゼンの摂取源の大半が環境由来(大気)である*ということより、環境由来のリスクに比して食品由来のリスクは低いものと考えられており、食品からの摂取に多少の増大があったとしても、リスクの増大への寄与は少ないものと考えられております。

 FSANZ(オーストラリア・ニュージーランド食品基準局)の情報
http://www.foodstandards.gov.au/mediareleasespublications/factsheets/factsheets2006/benzeneinflavouredbe3244.cfm
 
問2 ベンゼンとはどのような物質ですか。


 ベンゼンは、染料、合成ゴム、合成洗剤等の製造時に使用される化学物質で、常温では無色の液体です。また、環境中に広く存在しており、自動車の排気、石炭や石油の燃焼で空気中に排泄されており、呼吸によって摂取されています。また、喫煙による摂取についても指摘されています。ベンゼンの健康影響に関しては、本物質は、IARC(国際がん研究所)が、「ヒトに対して発がん性がある(グループ1)として分類しています。」なお、ベンゼンに関する詳細については、環境省が作成している「化学物質ファクトシート」に記載されておりますので、ご参照ください。

 化学物質ファクトシート(環境省作成)
http://www.env.go.jp/chemi/communication/factsheet.html
 
問3 今回、清涼飲料水中のベンゼンに関する調査が行われたきっかけは何ですか。また、なぜ、清涼飲料水中にベンゼンが含まれるのですか。


 米国、イギリス等において、本年3月頃から、製品中に保存料である安息香酸(塩)※1と酸味料及び酸化防止剤であるアスコルビン酸※2の両方を添加された清涼飲料水において、ベンゼンを検出する可能性があることが指摘されており、これらの国において実態調査が開始されました。
 これらの調査結果において、実際に製品中からベンゼンが検出され、それぞれの国で自主的な回収などの対応が公表された事例が3月末から6月にかけて明らかになり、日本においても、調査研究の必要性が検討されました。
 これまでの諸外国等における調査・研究においては、その生成機序の詳細は、判明しておりませんが、清涼飲料水中に安息香酸(塩)及びアスコルビン酸が含まれた場合に、微量のベンゼンを生成する可能性があるとしています。

 ※1 安息香酸(塩)とは・・・1608年に発見され、静菌作用があることから、古くから保存料として用いられているものです。我が国では1948年に食品添加物として「安息香酸」及び「安息香酸ナトリウム」が指定されています。それぞれに使用できる食品と使用できる量(使用限度)が定められており、清涼飲料水に対する使用限度は、いずれも安息香酸として、0.60g/kgまでとされています。
 ※2 アスコルビン酸(ビタミンC)とは・・・アスコルビン酸(ビタミンC)は果実などに含まれる必須栄養素の一つで、栄養強化や酸化防止を目的とした食品添加物としても使用されています。我が国では1957年に「L-アスコルビン酸」として指定されています。
 
問4 我が国に清涼飲料水中のベンゼンに関する基準はありますか。


 我が国においては、清涼飲料水にベンゼンに関する基準はありませんが、水道水に10ppbの基準値があります。また、国際的には「WHO飲料水ガイド、ライン(第3版)」において飲料水に10ppbのガイドライン値が定められています。

 (参考)「水道水質基準の見直しにおける検討概要(平成15年4月)」(ベンゼン)http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/suido/kijun/dl/k20.pdf
 ppb 10億分の1の分率を表す単位。
 
問5 我が国の清涼飲料水におけるベンゼンの分析結果はどのようなものでしたか。


 清涼飲料水中のベンゼン汚染に関する実態調査については、関係各企業において適宜実施されていますが、念のため、厚生労働省において、本年5月から、国内流通する安息香酸(塩)とアスコルビン酸の両者が添加されている清涼飲料水のベンゼンの分析調査を実施してきました。
 その結果、31製品のうち、1製品から我が国の水道水の基準値及びWHOの飲料水ガイドライン(第3版)のガイドライン値(10ppb)を超えるベンゼンが検出されました(表1。)
 なお、今回用いたベンゼンの試験法の詳細は、別紙1のとおりです。

表1 清涼飲料水中のベンゼンの分析調査(7月21日現在)
 
製品数(件)
内訳(件)
検出値(ppb)
直接飲用
20
19
 1
<1〜7.8
73.6
希釈用
11
11
<1〜2.4
        31
<1〜73.6
 
問6 諸外国で清涼飲料水中のベンゼンに関する基準はありますか。また、ベンゼンが検出された清涼飲料水はどのように取り扱われていますか。


 これまでに諸外国において500検体以上の検査が行われていますが、米国及びEC等においても清涼飲料水に対して適用されるベンゼンの基準はありません。
 各国が対応を行うにあたっては、自国の飲料水のベンゼンの基準値か、WHOの飲料水ガイドライン(第3版)におけるベンゼンに関するガイドライン値である10ppbを参考とし、それらを超える製品について、成分の見直しや自主回収を行うよう、製造者に対して指導等が行われています。
 
問7 今後、我が国ではどのような措置が講じられるのですか。


 今回の調査でベンゼンの濃度が10ppbを超えていることが判明した製品については、販売者に対し、事実の公表、製品の回収や今後の製品の改良などを行うよう要請したところです。
 現在、業界団体が国際清涼飲料協議会(ICBA)が作成したベンゼン生成を低減するためのガイドラインに基づき、製造方法の改善及び成分の変更を行うよう会員企業に対して指示を行っており、会員各企業においては、これらを参考に対策を講じているところです。
 今後とも、厚生労働省としては、自主的な衛生対策の推進が清涼飲料水製造業者によって図られるよう、業界団体・地方自治体などを通じ、指導することとしています。

 ICBAのガイドライン
http://www.australianbeverages.org/lib/pdf/ICBABenzeneGuidanceDocumentFinal.pdf