通知

 

食安監発第1002003号

平成20年10月02日

検疫所長

殿

医薬食品局食品安全部監視安全課

 

 

食品中のメラミンの試験法について

 

 今般、中国国内における牛乳へのメラミン混入事例を受け、メラミンを含有する食品の試験法を別添のとおり策定したので、御了知の上、今後は本試験法により検査を実施されたい。


別添 メラミン試験法


1.分析対象化合物
 メラミン

2.性能基準
 以下に示す性能を有する試験法とする。その評価は、分析対象食品に定量限界濃度又はその2倍の濃度のメラミンを添加して回収試験を行い、得られた結果に基づき行う。
 原則として下記の要件に適合すること。

1)定量限界
 0.5 mg/kg

2)選択性
 分析対象化合物を含まない試料(ブランク試料)について操作を行い、定量を妨害するピークがないことを確認すること。妨害ピークを認める場合は、定量限界濃度に相当するピークの面積(又は高さ)の1/3未満であることを確認すること。

3)回収率
 70~120%(内標準を用いる場合は、内標準の回収率が40%以上であること。)

4)併行精度
 RSD<10%(n≧5)

3.試験法例
 別紙の試験法を参考例として示す。




(別 紙)
メラミン試験法例

1.分析対象化合物
 メラミン

2.装置
 液体クロマトグラフ・タンデム型質量分析計(LC-MS/MS)

3.試薬、試液
 次に示すもの以外は、「食品に残留する農薬、飼料添加物又は動物用医薬品の成分である物質の試験法について」(平成17年1月24日付け食安発第0124001号。以下試験法通知という。)別添の第1章総則の3に示すものを用いる。

アセトニトリル 残留農薬分析用
50%アセトニトリル 等量のアセトニトリルと水を混合する
アンモニア水(25%) 5%アンモニア-メタノール溶液 アンモニア水(25%)とメタノールを1:19の比率で混合する
0.1及び1mol/L 塩酸
酢酸アンモニウム

メタノール
エチレンジアミン- N -プロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500 mg)
強酸性陽イオン交換体ミニカラム(500 mg)
0.2 μm PTFEフィルター
メラミン標準品(純度98%以上)
メラミン内標準品* 1 メラミン- 15 N 3 又はメラミン- 13 C 315 N 3
*1
:林純薬又は和光純薬から入手可能

4.試験溶液の調製
1)抽出
 均一化した試料5.0 gを量り採り、メラミン内標準品の50%アセトニトリル溶液(10 ■ochg/mL)0.5 mL及び50%アセトニトリル25 mLを加え、ホモジナイズ後、毎分3,000回転で5分間遠心分離し、上清を抽出液とする。

2)精製
① エチレンジアミン-N-プロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500 mg)*2にメタノール5mL、50%アセトニトリル5mLを順次注入し、流出液は捨てる。このカラムに
1)抽出で得られた抽出液5mLを注入した後、50%アセトニトリル1mLを注入する。全溶出液を合わせ1mol/L塩酸130μLを加える。 *2:VARIAN Bond Elut PSA 500mgのカラムを用いて行った一例である。
② 強酸性陽イオン交換体ミニカラム(500 mg)*3 にメタノール5 mL、水5 mLを順次注入し、流出液は捨てる。このカラムに①で得られた溶出液を注入した後、0.1 mol/L塩酸2mL、メタノール1mLを順次注入し、流出液は捨てる。次いで5%アンモニア-メタノール溶液5mLを注入する。溶出液を減圧乾固した残留物に50%アセトニトリル10 mLを加え、5分間超音波処理する。得られた溶液1mLを採り、50%アセトニトリル1mLを加え、0.2μm PTFEフィルターでろ過する。得られたろ液を試験溶液とする。
*3:VARIAN Bond Elut SCX 500mgのカラムを用いて行った一例である。

5.測定条件

カラム:SeQuant ZIC-HILIC(内径2.1 mm、長さ100 mm、粒子径3.5μm)
カラム温度:40℃
移動相:A: 10 mM酢酸アンモニウム、B: アセトニトリル
A: 15%(0-4分)、60%(4-5分)
流速:0.2 mL毎分
保持時間:2.5分
注入量:5μL
イオン化モード:ESI(+)
質量分析計パラメーター* 4

測定対象化合物 トランジション Cone(V) Collision(V)
メラミン ターゲット1 127 > 68 30 30
ターゲット2 127 > 85
メラミン内標準 ターゲット1 130 > 87 30 30
ターゲット2 130 > 69

*4:質量分析計としてWaters Quattro Premier XE、メラミン内標準としてメラミン- 15 Nを用いて行った一例である。


公益財団法人 日本食品化学研究振興財団 事務局

本部 大阪府豊中市三和町1丁目1番11号

TEL(06)6333-5680 FAX(06)6333-5491

お問い合わせはこちらへ

東京分室 東京都中央区日本橋本町4丁目6番3号 SEGビルアネックス2階

English Top