通知

 

環食化第5070号

昭和51年10月14日

都道府県知事

政令市長

特別区長

殿

環境衛生局

 

 

食品、添加物筆の規格基準一部改正について

 
 食品、添加物等の規格基準(昭和34年12月厚生省告示第370号)の一部が昭和41年10月4日厚生省告示第434号をもって別添のとおり6カ月の経過期間を置いて施行されることとなった。
 これは最近の合成樹脂工業の実態並びに食品に係る各種合成樹脂製器具及び容器包装の製造過程、それらの成分並びにそれらの製品の検査の結果等を勘案し、従来の器具及び容器包装に関する規格をもってしては、それらに起因する人体の危害を防止するに十分でないと判断されるに至ったためである。今回の改正は従前の試険法の一部を現状に即したものに改めると同時に、新たに試験方法を加えたものである。この新しい規格の実施に当っては、次の諸点に留意するとともに、関係者に対する周知徹底その他の指導につとめ、その運用に遺憾のないようにされたい。

1 改正の要旨(1) 試験溶液の調製法は、浸出用液として、フェノール、 ホルムアルデヒド及び過マンガン酸力リウム消費量の各試験については蒸留水を、重金属及び蒸発残留物の各試験については4%酢酸を用い、60度で30分間恒温に保つことにしたこと。
 
(2) ホルムフルデヒドの試験にあっては、従来リミニ反応卵白鉄反応による試験を行なっていたが、これに代えて、再現性が比較的すぐれているアセチルアセトン法による検出法を採用することにしたこと。
 
(3) 新たに次の3項目の試験を行なうよう規定されたこと。(I) 重金属の試験
 鉛、亜鉛、錫等の重金属を検出する試験を行ない、その限度は鉛として1PPMとしたこと。
(II) 蒸発残留物の試験
 溶出する不揮発性物質を検出する試験を行ない、限度は30PPMとしたこと。
(III) 過マンガン酸カリウム消費量の試験
 溶出する易酸化物を検出する試験を行ない、限度は10PPMとしたこと。2 運用上の注意(1) 一般的取扱いについて(I) 今回改めた規格に違反するような事例が生じた場合、当然食品衛生法第10条第2項違反として告発することができるばかりでなく、具体的に有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着して人の健康を害なう虞れがあると判断できる場合には、むしろ第9条違反として告発することが望ましいこと。
(II) 今回の改正により採用された試験法を実施するに際しては、試液等について個別に添加物の部に記載されている試液等を用いることになっているもののほかは、添加物の部の一般通則の規定に従って行なわれたいこと。
(III) 本試験は、食品に直接接する部分が合成樹脂でつくられているサラ、ワン、コップ、サジ等すべての合成樹脂製の器具及び容器包装を対象とするが、例えば漆等合成樹脂以外のもので食品に接する部分を塗布した器具及び容器包装については適用されないこと。
(IV) 本試験に用いる水はすべて蒸留水とすること。従って浸出用液に用いる水をはじめ、試液、標準溶液等に使用する水もすべて蒸留水とすること。
 (2) 試験溶液の調整について(I) 試料を水で洗っただけでは除去できないゴミや油脂が付着している場合には、洗剤を使用する等適当な方法によって傷をつけないように注意してよく洗うこと。
(II) 液体を満たすことができる試料とは、サラ、ワン、コップ、袋等一般にそのままの形で食品をいれる目的で用いられる器具及び容器包装を意味すること。
(III) 液体を満たすことができない試料とは、はし、サジ、フィルム、シート等一般にそのままの形では食品をいれることができない形態の器具及び容器包装を意味すること。この場合表面積lcm2について2mlの割合の浸出用液を用いるが、フィルムについては、両面の面積を表面積とすること。またフィルムの片面が紙等でできており、浸出用液に浸して試験するのが不適当と考えられる場合には、適当な大きさの袋状にして、浸出用液を満たして試験すること。
 (3) ホルムアルデヒドの本試験法による呈色は黄色であるが、対照液と比較する場合、側方からみて、明らかに対照液の呈色よりも濃い場合のみを不適合とすること。
 
(4) ホルムアルデヒドを製造原料とする合成樹脂製のものについては、過マンガン酸カリウム消費量の試験を省略することができること。これに該当するものとしては、現在一般にユリア樹脂製、メラミン樹脂製、フェノール樹脂製のものが市販されている。なお、これらは、次のような方法によって見分けることができるので参考までに付け加える。(I) ユリア樹脂
 燃焼試験を行なうと、燃焼端が白くなり、ホルマリン臭がする。またベンジルアミンを加えてこれを加熱し、N塩酸で中和すると、ベンチジン尿素(融点167度)を生成する。
(II) メラミン樹脂
 燃焼試験を行なうと、明るい黄色の焔を出す。またアンモニア水と加熱し、ピクリン酸を加えると、黄色のメラミンピクラート(融点316~317度)を生成する。
(III) フェノール樹脂
 燃焼試験を行なうと、膨潤して亀裂を生ずる。フタール酸と熔融し、これに熱湯を加えてろ過した後、ろ液をアルカリ性とすると、フェノールフタレインの赤色を呈する。またこの樹脂を乾留し、そのガスを水に吸収させ、ミロン試薬を加えて加熱すると、赤色を呈する。


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