通知

 

環乳第60号

昭和46年06月15日

都道府県知事

政令市市長

殿

環境衛生局

 

 

牛乳中の有機塩素系農薬残留の暫定許容基準について

 

 牛乳中の農薬残留問題に関しては、種々御配慮を煩わしているところであるが、今般国立衛生試験所における毒性研究の結果等を勘案して、牛乳について暫定的に許容基準を定めたので、左記事項御留意のうえこれが指導取締に遺憾なきを期せられたい。 

 
1 牛乳中の有機塩素系農薬の暫定許容基準
牛乳中の有機塩素系農薬の暫定許容基準(以下「暫定基準」という。)を次のとおりとすること。
 β―BHC     全乳中   0.2pm
 DDT       全乳中   0.05ppm
 ディルドリン   全乳中   0.005ppm

2 暫定基準設定の考え方
(1) β―BHC、DDT及びディルドリンは、差し当つては行政的に指導基準として定めたもので、それらの減少対策を強力に進めつつ、概ね六か月後には、食品衛生法に基づく残留許容基準を定める方針であること。
(2) β―BHCについては、国立衛生試験所におけるサル及びマウスの毒性研究の結果、暫定的な一日摂取許容基準を0.05mg/kgと算定し、他の食品よりのβ―BHCの摂取量をも考慮のうえ定めたものであること。
BHCについては、γ―BHC等他の異性体は、現在までの調査結果によれば、β―BHCの基準を定めれば自ら他の異性体は制限されると判断したものであること。
(3) DDTについては、WHOの提案している実際残留限度(Practical Residue Limit)の数値をそのまま暫定基準として定めたものであり、DDT、DDD及びDDEの総和として算出するものであること。
(4) デイルドリンについても、WHOの提案している実際残留限度(Practical Residue Limit)の数値をそのまま暫定基準として定めたものであり、デイルドリンとアルドリンの総和として算出するものであること。

3 検査について
(1) 検査対象品は、直接消費者が飲用に供する牛乳とすること。
(2) 検査方法は、FDAのPesticide Analytical manual Vol(1968)で定める方法を準用するものとすること。
(3) 検査の結果、暫定基準を超えるものについては、農林部局において汚染系路の追求を行ない、速かに原因を排除せしめ、頻回にその検査を実施すること。

4 指導について
(1) 牛乳には、本来、残留農薬等の異物が混在しないことが理想であるので、たとえ暫定基準内であっても、さらに減少のための強力な対策措置が必要であるので、今後とも残留の減少対策を強化すること。
(2) このため、衛生部局と農林部局の連係をさらに密にし、必要に応じ、乳業メーカー、指定生産者団体等関係者を加えた連絡協議会の如きものを設け、検査結果の検討、具体的な指導方法の樹立、指導事項の分担実施等を協議し、その指導の徹底をはかること。
(3) 今般、牛乳について暫定基準を定めたが、飼料等環境汚染を通じて、肉、卵等の他の乳肉食品の汚染も憂慮されるので汚染防止、減少対策はあわせて乳業関係者以外の畜産関係業者にも徹底のうえその実施をはかること。

5 報告等について
(1) 牛乳の検査結果については、従来どおり当職へその都度報告すること。
(2) この通達4により、特別な指導体制を樹立した場合には、その内容等について報告すること。


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