薬事・食品衛生審議会資料

 

平成8年01月30日

食品衛生調査会

 

 

残留農薬基準の設定について

 

食品衛生調査会残留農薬・毒性合同部会議事要旨


日時:平成8年1月30日(火)l4:00~l7:00

場所:通産省別館901号会議室

出席者:池上幸江、伊藤康江、江角浩安、岡田齋夫、小瀬洋喜、黒川雄二、鈴木啓介、

高仲正(残留農薬部会長)、戸部満寿夫(毒性部会長、座長)、豊川裕之、林裕造、藤井正美、三森国敏・各委員(敬称略)


厚生省:小林生活衛生局長、山本食品化学課長、他課長補佐以下6名

オブザーバー:農水省、環境庁

(議題)残留農薬基準の設定について

(議事要旨)
1.審議概要
 平成7年10月に厚生大臣から諮問された20農薬のうち、分科会における検討が終了した17農薬の残留基準の設定について、審議が行われた。
 本部会では、分科会における各農薬の安全性評価結果、基準値案について、分科会座長及び事務局から説明があり、その後、審議が行われた。
 その結果、平成6年12月に諮問されたものとあわせ、次回再度審試することとなった。

2.主要な意見等
(委 員) 本日の審議対象農薬ではないが、生活の実態に即した農薬等の取り込み量を推定するため、食品の平均摂取量や基準値に基づく試算ではなく、食品摂取状況における個人差及び実際測定された残留状況に基づき、モンテカルロ法を用いたシュミレーションを用いて現実に近い推定値を試算したところ、農薬の取り込み量がADIを超える事例はなかった。本研究については学会誌に投稿している。
(委 員) 農薬の摂取量が農作物毎の平均摂取量をもとに試算されているが、食生活により野菜等を平均より多く摂取することにより、結果的に農薬の摂取量がADIを超える場合もあるのではないかと思うが。
(委 員) コーデックスでも農作物の平均摂取量をもとに基準が策定されており、この方法は世界的に通用するものと思う。
(委 員) りんごは皮のまま食べると仮定して農薬の摂取量は試算されているのか。茶はどうか。
(事務局) りんごは皮のまま、茶はそのまま食べるという仮定のもと、農薬の理論摂取量を試算している。
(座 長) 一生涯食べ続けるという仮定のもと、りんごは皮を含め、茶はそのまま摂食すると仮定した上で、農作物の摂取量については平均値を用いている。食物の摂取には嗜好があって千差万別であり、平均値で評価せざるを得ないと考える。
(委 員) 農産物を原料にして作られる加工食品にも適用されるのか。
(事務局) 農作物のみに適用される。例えば大豆から豆腐を作る場合、原料の大豆としての流通が規制される。
(委 員) 残留農薬基準値を国際基準値より低くできる可能性はあるのか。
(事務局)科学的正当性が必要である。安全性上の問題があり、食品衛生調査会の科学的な審議のもとに、国際基準より厳しく設定するということになれば、そのように対応することとなる。
(委 員) 平均値で出した値は統計上適切な値であり、特殊な人の摂取量もそこから推定できる。基準値は平均値から出すのが現時点では正しいと思う。マーケットバスケット調査結果による実際の農薬の摂取量は試算したものより大幅に少なく、ADIの0.1~1%程度に過きず、安心していいと思う。
(委 員) 実際に農産物を食べる場合、調理加工の間に農薬は減る。分析時は皮付きのまま分析する等安全を重んじて、試算はされている。摂取量の実態は、アメリカでも我が国でも、ADIに比べはるかに小さく、安全は十分確保されていると思う。
(事務局) 事務局としては、分科会における検討をもとに、部会報告として、各農薬の安全性評価結果概要を取りまとめ、公表することとしたい。
(委 員) 分科会における検討をもとにするとしても、十分検討することが必要と思う。
(委 員) 公表に賛成だが、公表するには一般の人に読み方を教える解説書のようなものが必要になるのでは。
(委 員) 文章にすると、どういう書き方をしても、全ての人が納得できるものにすることは困難である。公表に反対しないが、どのように修文しても、一部におかしいと考える人がいるであろう。
(座 長) 資料が膨大であり、時間的な制約もあろうから、事務局で先生方の意見を踏まえ検討してほしい。
(事務局) 先生方のご意見を踏まえて、さらに検討したい。

3.その他
① 昨年9月の食品衛生学会において、残留農薬の濃度を分析する際に基準設定済みの4農薬が一部の農作物において分解消失する旨発表されたが、このうち、キャプタンとカプタホールについては新しい測定法の開発に目途がついており、ジクロフルアニドとキノメチオネートについても測定法の開発に着手していることが事務局より報告された。
② 平成7年1月に報告されたイマザリルの安全性に関する新しい知見に関して、昨年ll月22日の常任委員会で委員より質問があり、回答したところであるが、平成7年2月に専門家の意見を聴いた上で従来の評価を変える必要はないと考えている旨の報告が事務局よりなされた。


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