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公益財団法人 日本食品化学研究振興財団
FDA 21CFR(仮和訳)

109  食品および食品包装材における不可避の汚染物質
一般規定

§15  食品包装材を製造する施設でのポリ塩化ビフェニール (PCB)の使用

§109.15 食品包装材を製造する施設でのポリ塩化ビフェニール (PCB)の使用
 
(a) ポリ塩化ビフェニールは、 Aroclor (米国) 、 Phenoclor (フランス) 、 Colphen (ドイツ) 、Kanaclor (日本) 等の種々の商標で製造販売されている有毒産業科学物質の一種である。PCBは非常に安定していて、耐熱性に優れた不燃性化学物質である。産業的には、現在、あるいは今までに、変圧器、コンデンサー液、熱交換液、油圧液、可塑剤、又は潤滑油や塗装、インク等の配合剤として使用されてきている。PCBは独特の物理、化学的特性を持つが、これが産業的に広くかつ際限なく使用されるようになった結果、恒久的かつ世界的な環境汚染を招き、特定の食品の汚染も引き起こしてきた。これに加えて、工業事故(プラント施設からPCB液が漏洩又は流出した)の結果、動物用飼料が直接汚染されるという事件も起きた。これらの事故によって、結局は人間が摂取する食品(肉、牛乳、卵)が汚染されることになった。食品医薬品局の調査では、相当な割合の食品包装紙にはPCBが含まれていて、従って、そのPCBが食品に移る事も考えられるということであった。PCBがこのような包装紙に含まれるようになった起源は完全に明らかになっていない。紙製品に含まれているPCBの主要な源は、カーボンレスコピー用紙(PCBは3〜5%)を含む回収古紙である。全く新しい紙製品でもPCBが含有されている事があるが、これは、食品包装材を製造する施設で使用しているPCBが存在している装置、機械の使用上の事故が原因となって直接紙製品を汚染する場合が多い。PCBは有毒化学物質であるから、産業事故による食品包装材のPCB汚染は、食品そのものの汚染も招く恐れがあり、公衆衛生上危険である。そのため、食品包装材を製造する施設において、PCBの産業使用規制を設ける必要がある。
(b) 食品包装材のPCB汚染事故を防止するためには、下記の特別条項が必要である。
(1) 食品包装材の製造に用いる新規の装置、機械にはPCBが存在してはならず、また、使用してはならない。
(2) 1973年9月4日以前において、食品包装材を製造する施設の運営は以下の事項を守らなければならない。
(ⅰ) 既存の食品包装材製造装置に用いられている熱交換液から試料を採取し、これがPCBを含有していないか決定し、又、その他の適切な方法によって、熱交換液中にPCBが存在しない事を証明するため検査しなければならない。1973年9月4日以前に、熱交換液中にPCBが認められる場合には、できる限り現行のGMPに合わせて、PCBを含有しないものに替えなければならない。
(ⅱ) できる限り現行のGMPに合わせて、PCBを含有する装置、機械、材料は、それらが正常な使用中であっても、あるいは事故、破壊、その他の過失であっても、理由の如何を問わず、これが原因となって食品包装材がPCBで汚染される可能性のある施設から排除しなければならない。
(ⅲ) PCBの代替物として選定された液体の毒性、その他の特性については十分に検討し、潜在的危険性が最も小さいものを用いるようにしなければならない。特定の液体について上記の検討を行う場合には、(a) その毒性、(b) 色、臭いなどにより液体の流出に気づくまでに、一定量の食品中に混入しうる液体の最大量、(c) 液体の流出等を知らせる警告装置があるかどうか、(d) 環境における安定度、および液体が食物連鎖を通じて生存し、濃縮する傾向があるかどうかを考慮しなければならない。交換する液体が十分に危険性のないものであるかの判断は、それぞれの設置、操作基準に基づいて行われなければならない。
(c) 本 sectionの条項は、PCBを密閉容器に入れて使用する変圧器、コンデンサーには適用されない。