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公益財団法人 日本食品化学研究振興財団
FDA 21CFR(仮和訳)

101  食品の表示
健康効能促進表示の特定要件

§83  健康効能促進表示:植物ステロール/スタノール・エステルと冠状動脈性心疾患(CHD)の危険性

§101.83 健康効能促進表示:植物ステロール/スタノール・エステルと冠状動脈性心疾患(CHD)の危険性

(a)植物ステロール/スタノール・エステルを含む食事とCHDの危険性との関係。
(1)心血管疾患とは心血管系の病気である。冠状動脈性心疾患は心血管疾患の中で最も広く見られ深刻な病気の一つで、心臓の筋肉と補助血管の病気を指す。高血中総コレステロール量および低密度リポタンパク質(LDL)コレステロール量が、冠状動脈性疾患発生の危険度を高めることに関係がある。CHDに罹りやすいのは、高総コレステロール量が1デシリットル当たり240ミリグラム(mg/dL)(6.21(mmol/l))以上で、LDLコレステロール量が160mg/dL(4.13mmol/l)以上の人である。危険な血中コレステロール量のボーダーラインは、総コレステロールに対し、200〜239mg/dL(5.17〜6.18mmol/l)およびLDLコレステロール量が130〜159mg/dL(3.36〜4.11mmol/l)の範囲である。
(2)CHD発生率の低い集団は比較的血中総コレステロール量およびLDLコレステロール量が低い傾向にある。また食事は全脂肪、とりわけ飽和脂肪およびコレステロールが少ないだけでなく、食物繊維などの成分を含む植物製品が比較的多い。
(3)植物ステロール/スタノール・エステルを含む食事がCHDの危険性を低下させうるのは科学的に証明されている。
(b)植物ステロール/スタノール・エステルを含む食事とCHDの危険性との関係の重要性。
(1)CHDは米国における国民健康上の主要問題の一つで、死因の中で最も高い。CHDの危険性低下に役立つことのできる危険因子の初期管理が国民健康の大きな目標である。高血中総コレステロールおよびLDLコレステロールがCHD発生における主な修正可能危険因子である。
(2)食事の中に植物ステロール/スタノール・エステルを含めることにより、総血中コレステロール量およびLDLコレステロール量の低減に役立つことが科学的に証明されている。
(c)要件。
(1)一般。
§101.14に記載されているすべての要件を満たさなければならない。ただし、サラダドレッシングやスプレッドの50グラム(50g)中の総脂肪の不適格量に関する§101.14(a)(4)およびサラダドレッシングに関する§101.14(e)(6)は除く。
(2)特殊要件。
(i)本健康効能促進表示の内容。
植物ステロール/スタノール・エステルを含む食事と心臓病の危険性低下に関連があるという健康効能促進表示は、本sectionのparagraph(c)(2)(iii)に記述のラベルまたはラベル表示に載せることができる。ただし条件として、
(A)植物ステロール/スタノール・エステルが低飽和脂肪および低コレステロールの食事の一部として摂取されるべきだという文言を表示しなければならない。
(B)表示は、植物ステロール/スタノール・エステルを含む食事は心臓病の危険性を低下する「ことができる(may)」または「場合がある(might)」と明記しなければならない。
(C)病気を明記する場合、表示は「心臓病」または「冠状動脈性心疾患」という用語を使用する。
(D)物質を明記する場合、表示は「植物ステロール・エステル」または「植物スタノール・エステル」という用語を使用する。ただし、当該植物ステロールまたはスタノールがベジタブル・オイルのみに由来する時、表示は「ベジタブル・オイル・ステロール・エステル」あるいは「ベジタブル・オイル・スタノール・エステル」という用語を使用することができる場合があり、この場合を除く。
(E)表示は、どの程度であれ、CHDの危険性低下の度合いを植物ステロール/スタノール・エステルを含む食事に帰さない。
(F)表示は、植物ステロール/スタノール・エステルを含む食事がCHDの危険性を低下できる唯一認められている手段であると示さない。
(G)表示は、冠状動脈性心疾患の危険性を低減するのに必要な植物ステロール/スタノール・エステルの1日食物摂取量を明記し、明記されたその1日食物摂取量に対して当該食品1回分の摂取量がどのくらいの量に当たるか明記する。冠状動脈性心疾患の危険性低下に関連していた植物ステロール/スタノール・エステルの1日食物摂取量は、以下のとおりである。
1)植物ステロール・エステルに関しては1日1.3g以上。
2)植物スタノール・エステルに関しては1日3.4g以上。
(H)表示は、植物ステロール/スタノール・エステルの1日食物摂取量は同日の異なった時間にとる2回の食事で他の食物と共に摂取されるべきだということを明記する。
(ii)物質の特性
(A)植物ステロール・エステル。
1)食品用脂肪酸を含む食用油から植物ステロール混合物をエステル化することにより製造された植物ステロール・エステル。本植物ステロール混合物は、(合わせた重量で)80%以上のベータ・シトステロール、カンペステロールおよびスチグマステロールを含有するものとする。
2)FDAは、2000年2月1日付けでUnilever United States, Inc.によって開発された「キャピラリー・ガス・クロマトグラフィによるマーガリン、ハルバリン、ドレッシング、油脂混合物、ステロール脂肪酸エステル濃縮物中のステロール含有量測定」という方法で植物ステロール・エステルを測定する。本方法は、ここで言及することにより、5 U.S.C. 552(a)および1 CFR part 51に従い、本規則の一部となり、栄養科学・政策部栄養関連製品・表示・栄養補助食品室食品安全応用栄養センター(200 C St. SW., rm. 2831, Washington, DC 20204)で知ることができ、食品安全応用栄養センターの図書館(200 C St. SW., rm. 3321, Washington, DC)または国立公文書記録管理局(NARA)にて閲覧できる。NARAに本資料の利用について問い合わせるには、202-741-6030に電話するか、 http://www.archives.gov/federal-register/code-of-federal-regulations/ibr-locations.htmlへアクセスされたい。
(B)植物スタノール・エステル。
1)食品用脂肪酸を含む食用油あるいはクラフト紙パルプ製造過程の副産物に由来する植物スタノール混合物をエステル化することにより製造された植物スタノール・エステル。本植物スタノール・エステルは、(合わせた重量で)80%以上のシトステロール、カンペステロールを含有するものとする。
2)FDAは、2000年2月15日付けでMcNeil Consumer Healthcareによって開発された下記の方法で植物スタノール・エステルを測定する。
「Benecol Tubスプレッド中のスタノールとステロールの測定」、「Benecolドレッシング中のスタノールとステロールの測定」、「Benecolスナックバー中のスタノールとステロールの測定」、「Benecolソフトジェル中のスタノールとステロールの測定」
これらの方法は、ここで言及することにより、5 U.S.C. 552(a)および1 CFR part 51に従い、本規則の一部となる。写しについては、栄養科学・政策部栄養関連製品・表示・栄養補助食品室食品安全応用栄養センター(200 C St. SW., rm. 2831, Washington, DC 20204)で入手でき、食品安全応用栄養センターの図書館(200 C St. SW., rm. 3321, Washington, DC)または国立公文書記録管理局(NARA)にて閲覧できる。NARAに本資料の利用について問い合わせるには、202-741-6030に電話するか、 http://www.archives.gov/federal-register/code-of-federal-regulations/ibr-locations.htmlへアクセスされたい。
(iii)本表示にふさわしい食品の特性
(A)食品は以下のものを含んでいるものとする。
1)特にスプレッド、サラダ用ドレッシングなど、通常当該健康効能表示にふさわしい食品を消費する基準量当たり、本sectionのparagraph(c)(2)(ii)(A)(1)に準じた植物ステロール・エステル0.65g以上。または、
2)特にスプレッド、サラダ用ドレッシング、スナックバー、ソフトジェル型の栄養補助食品など、通常当該健康効能表示にふさわしい食品を消費する基準量当たり、本sectionのparagraph(c)(2)(ii)(B)(1)に準じた植物スタノール・エステル1.7g以上。
(B)食品は「低飽和脂肪」および「低コレステロール」食品に関する§101.62の栄養含有量要件を満たさなければならない。
(C)食品は、§101.14(a)(4)に規定される総脂肪の限度を満たさなければならない。ただし、食品のラベル表示が§101.13(h)に従った開示文言を掲載しており、スプレッドおよびサラダ用ドレッシングが50g当たりの総脂肪の限度を満たすことが必要でない場合を除く。
(D)食品は、§101.14(e)(6)に規定される最低栄養含有要件を満たさなければならない。ただし、サラダ用ドレッシングはこのかぎりではない。
(d)任意に表示される情報。
(1)表示は心臓病が起こるには様々な要因があると明記して、一般に科学的見解が一致している、以下の心臓病の危険因子を少なくともひとつ断定できる。すなわち、CHDの家族の病歴、血中総コレステロールおよびLDLコレステロールの上昇、過度の体重、高血圧、喫煙、糖尿病、運動不足である。また表示は追加情報として運動と体重管理が心臓病の危険性を低減するのに役立つことを述べてもよい。
(2)表示は、植物ステロール/スタノール・エステルを含む食事の摂取と心臓病の危険性低下との関係が「血中コレステロール」または「血中総コレステロールおよびLDLコレステロール」の介在によることを示してもよい。
(3)表示は、植物ステロール/スタノール・エステルを含む食事とCHDの危険性との関係およびその関係の重要性をまとめている本sectionのparagraph(a)および(b)の情報を含めてもよい。
(4)表示は、食事中の飽和脂肪・コレステロールとCHDの危険性との関係について述べた以下のparagraphからの情報を含めてもよい。
飽和脂肪酸およびコレステロールが高い食事は血中総コレステロールおよびLDLコレステロールの増加に関連があり、したがって、CHDの危険性の増加に関連がある。米国では、多くの人々の食事について飽和脂肪の摂取量が推奨量より多い。CHDの危険性に関連する主たる国民の健康に関する推奨事項のひとつは、カロリーの10%以下を飽和脂肪から摂取し、総カロリーの平均30%以下を総脂肪から摂取することである。1日当たりのコレステロール推奨摂取量は、300mg以下である。飽和脂肪およびコレステロールの低い食事は血中総コレステロールおよびLDLコレステロールの低減に関連があることが科学的に証明されている。
(5)表示は、植物ステロール/スタノール・エステルを含み飽和脂肪・コレステロールの低い食事は「栄養と健康:米国人の食生活指針」(米国農務省(USDA)、保健福祉省(DHHS)、政府印刷局(GPO))に合致していると示してもよい。
(6)「血中総コレステロールおよびLDLコレステロールの高い人は医師に医療アドバイスを求めたり治療を受けるべきだ」と表示してもよい。血中総コレステロールおよびLDLコレステロールの高い値または正常な値を表示において定義している場合、「血中コレステロールの高い人は医師に医療アドバイスを求めたり治療を受けるべきだ」と明記してもよい。
(7)表示は、米国の心臓病患者数に関する情報を含めてもよい。ただし、情報の出所は必ず確認し、情報は国立保健統計センター、国立衛生研究所または「栄養と健康:米国人の食生活指針」(米国農務省(USDA)、保健福祉省(DHHS)、政府印刷局(GPO))の最新のものでなければならない。
(e)健康効能促進表示の模範例。
下記の健康効能促進表示の模範例は植物ステロール/スタノール・エステルを含む食事と心臓病の危険性低下との関係を示す食品ラベル表示に使用してもよい。
(1)植物ステロール・エステル用。
(i)1回の食事に付き0.65g以上の植物ステロール・エステルを含む食品を1日2回、飽和脂肪およびコレステロールの低い食事の一部として1日の総摂取量が1.3g以上になるようにとると、心臓病の危険性を低減する場合がある。1回分の[食品名]で   gのベジタブル・オイル・ステロール・エステルを摂取できる。
(ii)飽和脂肪およびコレステロールが低く、2回の食事で1.3g以上のベジタブル・オイル・ステロール・エステル1日総摂取量をとることのできる食品2回分を含む食事を日々続けると、心臓病の危険性を低減する場合がある。1回分の[食品名」で   gのベジタブル・オイル・ステロール・エステルを摂取できる。
(2)植物スタノール・エステル用。
(i)1回の食事に付き1.7g以上の植物スタノール・エステルを含む食品を1日2回、飽和脂肪およびコレステロールの低い食事の一部として1日の総摂取量が3.4g以上になるようにとると、心臓病の危険性を低減する場合がある。1回分の[食品名]で   gの植物スタノール・エステルを摂取できる。
(ii)飽和脂肪およびコレステロールが低く、2回の食事で3.4g以上のベジタブル・オイル・スタノール・エステル1日総摂取量をとることのできる食品2回分を含む食事を日々続けると、心臓病の危険性を低減する場合がある。1回分の[食品名」で   gのベジタブル・オイル・スタノール・エステルを摂取できる。
[65 FR 54717, Sept. 8, 2000; 65 FR 70466, Nov. 24, 2000; 66 FR 66742, Dec. 27, 2001にて改正]