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公益財団法人 日本食品化学研究振興財団
FDA 21CFR(仮和訳)

101  食品の表示
健康効能促進表示の特定要件

§77  健康的主張:繊維、特に可溶性の繊維を含有する果物、野菜、穀物製品と冠状動脈疾患

§101.77 健康的主張:繊維、特に可溶性の繊維を含有する果物、野菜、穀物製品と冠状動脈疾患

(a) 健康的主張:繊維、特に可溶性の繊維を含有する果物、野菜、穀物製品と冠状動脈疾患との関係。
(1) 心血管疾患とは心血管系の病気のである。冠状動脈疾患は心血管疾患としては最もよく知られた深刻な病気で心臓の筋肉と補助血管の病気を指す。高血中総コレステロール量及び低密度リポ蛋白質(LDL)コレステロール量が冠状動脈疾患発生の主な修正可能危険因子である。冠状動脈疾患に罹りやすいのは高血中コレステロール量が1デシリットル当たり240ミリグラム( mg/dL)(6.21(mmol/L))以上でLDLコレステロール量が160 mg/dL(4.13 mmol/L)以上の人である。危険な血中コレステロール量のボーダーラインは200から239 mg/dL(3.36から6.18 mmol/L)でLDLコレステロール量が130から159 mg/dL(3.36から6.18 mmol/L)の範囲である。食物脂質(脂肪)には脂肪酸及びコレステロールを含む。全脂肪は、通常脂肪を指すが、これは飽和脂肪(二重結合を含まない脂肪酸)と単不飽和及び多不飽和の脂肪(1以上の二重結合を含む脂肪酸)からなる。
(2) 飽和脂肪及びコレステロールの高い食事は血中の総コレステロール量及びLDLコレステロール量の増加及びそれによる冠状動脈疾患と関連することは科学的に立証されている。飽和脂肪及びコレステロールの少ない食事は血中の総コレステロール量及びLDLコレステロール量の減少と冠状動脈疾患発生の危険を低下させることに関連がある。
(3) 比較的血中コレステロール量の低い人の食事は全脂肪、とりわけ飽和脂肪及びコレステロールが少ないだけでなく、果物、野菜、穀物製品が比較的多い。こうした植物性食物の固有の役割はまだ十分に解明されていないが、多くの研究により植物性食物の多い食事が冠状動脈疾患の危険低下に関連することが示されている。こうした研究は果物、野菜、穀物製品の多い食事及びその食事から摂取される栄養素(幾種かの繊維など)と冠状動脈疾患の危険低下とを相関させている。こうした食事をしている人は食物繊維特に可溶性繊維の摂取量が多い。現在、科学的見解の一致が見られないのはある種の可溶性繊維が有益かどうかについである。これはつまり確認されている果物、野菜、穀物製品の心臓病防止効果が食事の他の成分によるのか、様々な成分(幾種かの可溶性繊維、他の繊維成分、複合炭水化物の他の特性、他の栄養素など。但しこの限りではない)の結合によるものか、または、食事から飽和脂肪とコレステロールを取り除いたためか分かっていない。
(b) 飽和脂肪及びコレステロールが低く食物繊維を含む穀物製品、果物、野菜の多い食事と冠状動脈疾患の危険との関係の重要性。 (1) 冠状動脈疾患は米国における国民健康上の主要問題の一つであるが、これは主にこの病気が死因の第一位であるによる。冠状動脈疾患の危険低下を助けるができる危険因子の初期管理が国民健康の大きな目標である。この病気による死亡の危険が血中LDLコレステロール量の増加に伴って絶えることなく高まっていく。血中LDLコレステロール量が高い人は最も危険が大きい。また、多数の人は緩やかにコレステロール量が増やし冠状動脈疾患の発生の危険を高めており、そうした人々は米国の成人人口のかなりの部分を占めている。科学的に証明されているとおり飽和脂肪とコレステロールの摂取を減らせば血中コレステロールが正常な範囲の人を含め大半の人の血中LDLコレステロールと心臓病の危険を減らせる。さらに、果物、野菜、穀物製品、可溶性繊維を含む食品の多い食事をとることで低飽和脂肪で低コレステロールの食事に有益な助けとなる。
(2) 冠状動脈疾患の他の危険因子としては心臓病の家族の病歴、高血圧、糖尿病、喫煙、過重体重(理想体重の30%重い体重)、運動不足がある。
(3) 米国人の多数で飽和脂肪摂取量が勧告量を超えている。コレステロール摂取量は平均して勧告量以上。繊維を含む果物、野菜、穀物製品の摂取量は勧告量の約半分である。冠状動脈疾患の危険に関連する国民健康上の主な勧告としては、飽和脂肪からのカロリー消費を10%未満にし全脂肪からのカロリー消費を平均30%以下に抑える。一日のコレステロール摂取量は300 mg以下にする。食物繊維総摂取量を25 gとしその内25%(約6 g)を可溶性繊維とすることが勧められている。
(4) 現行の食生活指針勧告では脂肪分とりわけ飽和脂肪及びコレステロールの摂取を減らし繊維が豊富な食品をとって血中LDLコレステロール量を減らすよう促している。多くの研究結果により繊維を含む果物、野菜、穀物が血中LDLコレステロール量の削減に役立つがこと分かっている。
(c) 要件。
(1) §101.14に記載されているすべての要件を満たさなければならない。
(2) 特殊要件。
(ⅰ) 本健康的主張の内容。飽和脂肪及びコレステロールが低く、食物繊維特に可溶性繊維を含む果物、野菜、穀物製品の多い食事と冠状動脈疾患の危険低下に関連があるという健康的主張は、本sectionのparagraph(c)(2)(ii)に記述のラベルまたはラベル表示に載せることができる。但し条件として、
(A) 主張は飽和脂肪及びコレステロールが低く、食物繊維特に可溶性繊維を含む果物、野菜、穀物製品の多い食事は冠状動脈疾患の危険を低下する「ができる」または「がある」と明記する。
(B) 病気を明記する場合、主張は「心臓病」または「冠状動脈疾患」という用語を使用する。
(C) 主張は繊維を含む果物、野菜、穀物製品に限る。
(D) 主張はラベル表示の食品の食物繊維要素を明記する場合、「繊維」、「食物繊維」、「幾種かの食物繊維」、「幾つかの食物繊維」という用語を使用する。さらに加えて「可溶性繊維」という用語を使用してもよい。
(E) 脂肪成分を明記する場合、主張は「飽和脂肪」及び「コレステロール」という用語を使用する。
(F) 主張は心臓病の発生には様々な要因のあることを示す。
(G) 主張はどの程度であれ冠状動脈疾患の危険低下を飽和脂肪及びコレステロールの低く、繊維を含む果物、野菜、穀物製品の多い食事に帰さない。
(ⅱ) 食品の特性。
(A) 食品は果物、野菜、穀物製品またはそのいずれかを含んでいるものとする。
(B) 食品は「低飽和脂肪」、「低コレステロール」、「低脂肪」食品に関する§101.62の栄養含有量要件を満たさなければならない。
(C) 食品は通常消費される基準量当たりの可溶性繊維の0.6 g以上を栄養強化なしで満たさなければならない。
(D) 可溶性繊維の内容は§101.9(c)(6)(i)(A)に合致して栄養情報パネルに記す。
(d) 任意に表示される情報。
(1) 主張は一般に科学的見解が一致している以下の心臓病の危険因子を少なくとも1つ断定できる。すなわち、冠状動脈疾患に関する家族の病歴、血中コレステロール、総コレステロール、LDLコレステロールの増加、過度の体重、高血圧、喫煙、糖尿病、運動不足である。
(2) 主張は飽和脂肪及びコレステロールが低く、食物繊維を含む果物、野菜、穀物製品の多い食事と心臓病との関係が「血中コレステロール」または「血中総コレステロール及びLDLコレステロール」の介在によることを示してもよい。
(3) 主張は飽和脂肪及びコレステロールが低く、食物繊維を含む果物、野菜、穀物製品の多い食事と冠状動脈疾患との関係及びその重要性をまとめている本sectionのparagarapha及びbの情報を含めてもよい。
(4) 栄養素を明記する場合、主張は「飽和脂肪」及び「コレステロール」という用語に加え「全脂肪」という用語を含めてもよい。
(5) 主張は「栄養と健康:米国人の食生活指針」(米国農務省、保健社会福祉省、政府印刷局)に合致していると示してもよい。
(6) 主張は血中総コレステロール及びLDLコレステロールの高い人は医師に医療アドバイスを求めたり治療を受けるべきだと示してもよい。主張が血中総コレステロール及びLDLコレステロールの正常な値と高い値を定義している場合、主張は血中総コレステロール及びLDLコレステロールの高い人は医師に医療アドバイスを求めたり治療を受けるべきだと明記する。
(7) 主張は米国の心臓病患者数に関する情報を含めてもよい。但し、情報の出所は必ず確認し、情報は国立衛生研究所全米保健統計センターまたは「栄養と健康:米国人の食生活指針」(同上)の最新のものでなければならない。
(e) 健康的主張の模範例。下記の健康的主張の模範例は飽和脂肪及びコレステロールが低く、食物繊維特に可溶性繊維を含む果物、野菜、穀物製品の多い食事は心臓病の危険を低下する危険との関係を示す食品ラベル表示に使用できる。
(1) 飽和脂肪及びコレステロールが低く、幾種かの食物繊維特に可溶性繊維を含む果物、野菜、穀物製品の豊かな食事は様々な要因が関係する病気である心臓病の危険を低下できる。
(2) 心臓病の発生には様々な要因がある。飽和脂肪及びコレステロールが低く、繊維を含む果物、野菜、穀物製品の多い食事をするで血中コレステロール量を下げ心臓病の危険を低下できる。
  
[58 FR 2578, Jan. 6, 1993]