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公益財団法人 日本食品化学研究振興財団
厚生労働省行政情報

07/04/2007薬事・食品衛生審議会関係資料
既存添加物の安全性の見直しに関する調査研究(平成18年度調査)


既存添加物の安全性の見直しに関する調査研究
(平成19年7月4日  薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会)

 「既存添加物の安全性の見直しに関する調査研究」の報告書が、平成19年7月4日に開催された薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会において公表されました。
 
調査研究報告書
既存添加物の安全性の見直しに関する調査研究

平成19年3月

主任研究者
 井上 達国立医薬品食品衛生研究所
安全性生物試験研究センター長
研究協力者
 江馬 眞国立医薬品食品衛生研所総合評価研究室長
 菅野 純国立医薬品食品衛生研所毒性部長
 川西 徹国立医薬品食品衛生研究所生物薬品部長
 棚元 憲一国立医薬品食品衛生研究所食品添加物部長
 長尾 美奈子共立薬科大学客員教授
 西川 秋佳国立医薬品食品衛生研究所病理部第一室長
 林  真国立医薬品食品衛生研究所変異遺伝部長
 広瀬 雅雄国立医薬品食品衛生研究所病理部長
 米谷 民雄国立医薬品食品衛生研究所食品部長

目次
 A.研究要旨
 B.研究目的
 C.研究方法
 D.研究結果
 E.考察
 F.結論

別添
 ウルシロウ
 酵素分解ハトムギ抽出物
 コメヌカ酵素分解物
 シアナット色素
 ホホバロウ
 ユーカリ葉抽出物
 レイシ抽出物

 
A.研究要旨
 平成8年度厚生科学研究報告書「既存天然添加物の安全性評価に関する調査研究」(主任研究者 林裕造)(以下、「林班報告書」という。)においては、国際的な評価結果、欧米での許認可状況、安全性試験成績結果等から、既存添加物の基本的な安全性について検討した結果、489品目のうち139品目については、今後、安全性試験の実施も含め、その安全性について検討することが必要であると報告されている。
 今回は、林班報告書において、更に検討する必要があるとされた139品目のうち、以下に掲げるものを除く、70品目を対象に、新たに安全性試験成績の収集できた品目について検討を行った。

平成11年度「既存添加物の安全性評価に関する調査研究」(主任研究者 黒川雄二)(以下、「黒川班報告書」という。)において報告された14品目
平成15年度「既存添加物の安全性の見直しに関する調査研究」(主任研究者 井上達)(以下、「平成15年度井上班報告書」という。)において報告された17品目
平成16年度「既存添加物の安全性の見直しに関する調査研究」(主任研究者 井上達)(以下、「平成16年度井上班報告書」という。)において報告された14品目
・これまでに既存添加物名簿から消除された品目(安全性を確認する必要があるとされている添加物は24品目)

 本報告書においては、ウルシロウ、酵素分解ハトムギ抽出物、コメヌカ酵素分解物、シアナット色素、ホホバロウ、ユーカリ葉抽出物、レイシ抽出物の7品目についての検討結果をまとめて収載している。
 検討した7品目については、90日間以上の反復投与試験及び変異原性試験の成績を入手することができた。これらの試験成績よりそれぞれの既存添加物について基本的な安全性を評価することができた。結論としては、現時点で直ちにヒトの健康に対する有害性影響を示唆するような試験結果は認められず、新たな毒性試験を早急に実施する必要はないものと考えられた。
 
B.研究目的:
 平成7年5月の食品衛生法改正により、食品添加物の指定制の範囲が従来の化学的合成品から天然香料等を除くすべての添加物に拡大された。本改正に伴い従来から販売・製造・使用等がなされてきた「化学的合成品以外の添加物(天然香料等を除く。以下「天然添加物」という。)」については、経過措置として、その範囲を既存添加物名簿として確定した上で、引き続き、販売・製造・輸入等を認めることとされた。
 しかしながら、これら既存添加物名簿に掲げられた天然添加物については、従来から指定されている添加物と異なり、各品目毎に安全性のチェックがなされているものではなく、国会等において、その安全性の確認が求められているところである。
 これを受けて平成8年度には林班報告書により、既存添加物489品目について、国際的な評価結果や欧米での許認可状況及び安全性試験成績結果等から、既存添加物の基本的な安全性について検討がなされ、林班報告書として公表された。この報告書では、「489品目のうち、159品目については既に国際的な評価がなされており、基本的な安全性は確認されている。さらに41品目については入手した試験成績の評価により、また150品目についてはその基原、製法、本質からみて、いずれも現段階において安全性の検討を早急に行う必要はないものと考えられた。」と報告されており、残る139品目についてさらに検討が必要であるとされている。平成11年度には黒川班報告書により、「林班報告書により安全性の確認が必要とされた139品目のうち、 14品目の既存添加物について、現時点で直ちにヒトへの健康影響を示唆するような試験結果は認められず、新たな安全性試験を早急に実施する必要はないものと考えられた。」と報告されている。更に、平成15年度井上班報告書により、「安全性の見直しを行った17品目については、現時点において、これら17品目において直ちにヒトへの健康影響を示唆するような試験結果は認められなかった。」また、平成16年度井上班報告書により、「安全性の見直しを行った14品目については、現時点において、これら14品目において直ちにヒトへの健康影響を示唆するような試験結果は認められなかった。」と報告されている。
 本調査は、平成8年度林班報告書で安全性について検討することが必要とされている139品目から、これまでに安全性の見直しが終了した品目及び既に既存添加物名簿から消除された品目を除く、70品目を対象として、国内外の試験成績を収集し、その試験成績の評価を行うことにより、天然添加物の基本的な安全性を検討することを目的とした。
 
C.研究方法
林班報告書において安全性の確認が必要とされた既存添加物139品目のうち、これまでに安全性の見直しが終了した品目及び既に既存添加物名簿から消除された品目を除く70品目を対象として、90日間以上の反復投与試験成績及び変異原性試験成績の双方の資料を入手し得た7品目について、品目毎に安全性試験成績の評価を行った。

D.研究結果
 本調査では、安全性の見直しを行った7品目については、現時点において、これら7品目に、直ちにヒトへの健康影響を示唆するような試験結果は認められなかった。その概要は別添のとおりである。

E.考察
 林班報告書において安全性の確認を必要とされた既存添加物のうち、見直しの済んでいない70品目を対象に、安全性評価のための試験成績の収集を行い、少なくとも90日間以上の反復投与試験成績及び変異原性試験成績の双方が入手できた7品目について、試験成績を評価したところ、いずれの品目についても、現時点において、直ちにヒトへの健康影響を示唆するような試験結果は認められなかった。従って、評価を行った7品目については、新たな安全性評価のための試験を早急に実施する必要はないものと考えられた。
 これに先だって厚生労働省は、平成16年7月、アカネ色素の発がん性に関する食品安全委員会及び薬事・食品衛生審議会の評価を踏まえ、同色素を既存添加物名簿から消除し、その使用を禁止した。また、平成16年12月、使用実態のない既存添加物として38品目を消除したところである。
このように、現時点において、既存添加物の見直し作業は着実に進行していると考えられるが、今後とも既存添加物の使用実態の調査を行い、情報の必要な品目から効率的に見直しを進めていく必要があると考える。

F.結論
 本調査研究により、基本的な安全性が確認されていると考えられた新たな品目は、試験成績の収集による7品目であった。これらについてはいずれも現段階においてさらなる安全性の検討を早急に行う必要はないものと考えられた。


ウルシロウ

1.食品添加物名
 ウルシロウ(ウルシの果実から得られた、グリセリンパルミタートを主成分とするものをいう。)

2.基原、製法、本質
 ウルシ科ウルシ(Rhus verniciflua LINNE)の果実より、融解、さらして得られたものである。主成分はグリセリンパルミタートである。

3.主な用途
   ガムベース、光沢剤

4.安全性試験成績の概要
(1)反復投与試験
 F344/DuCrj系SPFラットに、強制経口(100、300、1000mg/kg)投与による13週間反復投与試験を行った。その結果、いずれの群の動物においても死亡は認められず、一般状態、体重推移、摂餌量及び眼科的検査において被験物質に関連する変化は認められなかった。
 臨床検査では、尿量、尿浸透圧、網状赤血球率、総蛋白質、アルブミン量、A/G比、アルブミン比、β-グロブリン比、ALT、総コレステロール及びリン脂質等に有意な変動が認められたが、いずれも生理的あるいはほぼ生理的変動範囲内の軽度な変化であり、剖検による、器官重量および病理組織学的検査では、被験物質投与に関連した変化は認められなかったことから、被験物質投与による腎機能、造血系あるいは肝機能への影響ではないものと考えられた。
 以上により、無毒性量は雌雄で1000mg/kgであると考えられる。1)

(2)遺伝毒性試験
 細菌(TA98、TA100、TA1535、TA1537、WP2uvrA/pKM101)を用いた復帰突然変異試験は、5000μg/プレートまで試験されており、代謝活性化の有無にかかわらず陰性であった。2)
 哺乳類培養細胞(CHL/IU)を用いて、最高処理濃度5.0mg/mLの染色体異常試験を行った結果、いずれの処理条件下においても染色体異常の誘発はみとめられなかった。3)
 マウス(ddY系、雄)の骨髄を用いた小核試験は、最大耐量である2000mg/kgラ2まで試験されており、いずれの用量においても小核の誘発は認められなかった。4)

(引用文献)
1.小野宏:平成15年度既存添加物の安全性に関する試験、(財)食品薬品安全センター秦野研究所
2.兒嶋昭徳:平成12年度食品添加物規格基準作成等の試験検査、名古屋市衛生研究所
3.小野宏:平成16年度食品・添加物等規格基準に関する試験検査等について(財)食品薬品安全センター秦野研究所
4.佐藤修二:平成12年度食品添加物安全性再評価等の試験結果、神奈川県衛生研究所


酵素分解ハトムギ抽出物

1.食品添加物名
 酵素分解ハトムギ抽出物(ハトムギの種子を酵素分解して得られたものをいう。)

2.基原、製法、本質
 ハトムギ(Coix lachryma-jobi var. ma-yuen STAPF)の種子より、熱時水で抽出し、酵素(α−アミラーゼ)分解した後、エタノールで処理したものである。

3.主な用途
保存料

4.安全性試験成績の概要
(1)反復投与試験
F344/DuCrj(Fischer)系SPFラットを用いた、強制経口(100、300、1000mg/kg/日)投与による90日間反復投与試験を行った。その結果、死亡は見られず、一般状態、体重、摂餌量、眼科学検査、尿検査、摂水量、血液化学検査、器官重量、剖検及び病理組織学検査のいずれの項目にも被検物質投与に起因する変化は見られなかった。
 血液学検査では、1000mg/kg投与群の雄で媒体投与対照群と比べヘモグロビンの低値がみられたがごく軽度であること、他の赤血球パラメータには変化が見られないこと、エタノール添加対照群とは差がなかったことから毒性学的意義の低い変化と考えられた。
 以上のことから、無毒性量は雌雄ともに1000mg/kg/日を上回ると考えられた。1)

(2)遺伝毒性試験
 細菌(TA98、TA100、TA1535、TA1537、WP2uvrA/pKM101)を用いた復帰突然変異試験は、5000μg/プレートまで試験されており、代謝活性化の有無にかかわらず陰性であった。2)
 哺乳類培養細胞(CHL/IU)を用いて、最高処理濃度5.0mg/mLの染色体異常試験を行った結果、いずれの処理条件下においても染色体異常の誘発は認められなかった。3)
 マウス(BDF1系、雄)の骨髄を用いた小核試験は、最大耐量である2000mg/kgラ2まで試験されており、いずれの用量においても小核の誘発は認められなかった。4)

(引用文献)
1.小野宏:平成15年度既存添加物の安全性に関する試験、(財)食品薬品安全センター秦野研究所
2.松島泰次郎:平成11年度食品添加物規格基準作成等の試験検査、日本バイオアッセイ研究センター
3.望月信彦:平成11年度食品添加物規格基準作成等の試験検査、(財)食品農医薬品安全性評価センター
4.望月信彦:平成11年度食品添加物規格基準作成等の試験検査、(財)食品農医薬品安全性評価センター


コメヌカ酵素分解物

1.食品添加物名
 コメヌカ酵素分解物(脱脂米ぬかから得られた、フィチン酸及びペプチドを主成分とするものをいう。)

2.基原、製法、本質
 イネ科イネ(Oryza sativa LINNE)の種子より得られる脱脂米ぬかを酵素分解したものより、水で抽出して得られたものである。主成分はペプチド及びフィチン酸である。

3.主な用途
酸化防止剤

4.安全性試験成績の概要
(1)反復投与試験
F344/DuCrj(Fischer)系SPFラットを用いた、強制経口(100、300、1000mg/kg/日)投与による90日間反復投与試験を行った。その結果、死亡は見られず、一般状態、眼科学検査、尿検査、摂水量、血液学検査、血液化学検査、器官重量、剖検及び病理組織学検査のいずれの項目にも被検物質投与に起因する変化は見られなかった。
 体重では、1000mg/kg投与群の雄で投与期間の前半に対照群をやや下回ったが、一時的でごく軽度な変化であり、投与期間終了時の平均体重に差はなかったことから、毒性学的意義の低い変化と考えられた。
 摂餌量では、300及び1000mg/kg投与群の雄で対照群をやや下回る測定時点が散見されたが、ごく軽度な変化であり、投与期間終了後の体重への影響もみられなかったことから、毒性学的意義の低い変化と考えられた。
 以上のことから、無毒性量は、雌雄ともに1000mg/kg/日を上回ると考えられた。1)

(2)遺伝毒性試験
 細菌(TA98、TA100、TA1535、TA1537、WP2uvrA/pKM101)を用いた復帰突然変異試験は、5000μg/プレートまで試験されており、代謝活性化の有無にかかわらず陰性であった。2)
 哺乳類培養細胞(CHL/IU)を用いて、最高処理濃度5.0mg/mLの染色体異常試験を行った結果、いずれの処理条件下においても染色体異常の誘発はみとめられなかった。3)
 マウス(BDF1系、雄)の骨髄を用いた小核試験は、最大耐量である2000mg/kgラ2まで試験されており、いずれの用量においても小核の誘発は認められなかった。4)

(引用文献)
1.小野宏:平成15年度既存添加物の安全性に関する試験、(財)食品薬品安全センター秦野研究所
2.松元郷六:平成13年度厚生科学研究費補助金(厚生科学特別研究事業)既存天然添加物等の変異原性を中心とした安全性研究、(財)残留農薬研究所
3.中島圓:平成13年度厚生科学研究費補助金(厚生科学特別研究事業)既存天然添加物等の変異原性を中心とした安全性研究、(財)食品農医薬品安全性評価センター
4.中島圓:平成13年度厚生科学研究費補助金(厚生科学特別研究事業)既存天然添加物等の変異原性を中心とした安全性研究、(財)食品農医薬品安全性評価センター


シアナット色素

1.食品添加物名
 シアナット色素(シアノキの果実又は種皮から抽出して得られたものをいう。)

2.基原、製法、本質
 アカテツ科シアノキ(Butyrospermum parkii KOTSCHY.)の果実又は種皮より、室温時弱アルカリ性水溶液で抽出し、中和して得られたものである。褐色を呈する。

3.主な用途
   着色料

4.安全性試験成績の概要
(1)反復投与試験
 Wistar Hannoverラットを用いた、混餌(0.007、0.31、1.25、5%)投与による13週間反復投与試験を行った。その結果、被験動物の死亡は認められず、一般状態、体重及び摂餌量に変化は認められなかった。
 血液学的検査において、各群間に有意差は認められなかった。また白血球分化型別分類においても各群間に有意差は認められたかった。
 血清生化学的検査において、雄0.07%群でCaの減少,雄1.25%群及び5%群でCaの増加及びNaの減少が認められたが、単発性で毒性学的意義は低いものと考えられた。
 臓器重量変化では、相対重量において雄5%群のみで肺重量の減少が認められたが、軽量化で、毒性学的意義は低いものと判断された。
 以上により、被験物質に起因すると思われる毒性変化は認められなかったため、無毒性量は5%(雄:1.00g/ラット/day、雌:0.78g/ラット/day)と考えられた。1)

(2)遺伝毒性試験
 細菌を用いた復帰突然変異試験及び哺乳類培養細胞(CHL/IU)を用いた染色体異常試験が行われており、いずれも陰性であった。2) また、 枯草菌を用いるDNA修復試験(Rec-assay法)が行われており、陰性であった。2)
 マウス(BDF1系、雄)の骨髄を用いた小核試験は、最大耐量である2000mg/kgラ2まで試験されており、いずれの用量においても小核を誘発しないものと判断された。3)

(引用文献)
1.広瀬雅雄:平成11年度食品添加物規格基準設定等試験、国立医薬品食品衛生研究所病理部
2.林真:厚生省等による食品添加物の変異原性評価データシート(昭和54年度〜平成10年度分)
3.望月信彦:平成16年度食品・添加物等規格基準に関する試験検査等について、財団法人食品農医薬品安全性評価センター


ホホバロウ

1.食品添加物名
 ホホバロウ(ホホバの果実から得られた、イコセン酸イコセニルを主成分とするものをいう。)

2.基原、製法、本質
 ツゲ科ホホバ(Simmondsia californica NUTT.)の果実より採油したホホバ脂より、分離して得られた高融点ロウ物質である。主成分はイコセン酸イコセニルである。

3.主な用途
   ガムベース

4.安全性試験成績の概要
(1)反復投与試験
 F344/DuCrj系ラットを用いた混餌投与(0.625、1.25、2.5、5%)による90日反復投与試験を行った。その結果、いずれの群においても、動物の死亡は認められず、一般状態の変化は認められなかった。
 体重は、雄では、0.625%及び1.25%群で増加傾向、2.5%及び5%群で抑制傾向が認められたが、雌では被検物質投与群と対照群との間に差は認められなかった。摂餌量は、雄の2.5%以上の群及び雌の0.625%以上の群で減少傾向が認められた。
 血液学的検査において、雄の0.625%以上の群でWBCの減少、RBCの増加、Htの増加、MCHの減少、PLTの増加が認められた。雌では、1.25%以上の群でRBC、Hb、Ht、MCV、MCH、MCHCに増加や減少が認められたが、用量相関性もなく、毒性学的な意義は乏しいと考えられた。
 血液生化学的検査において、雄では0.625%群でTP及びTCの減少、A/Gの減少、1.25%群でBUNの減少、2.5%群でTC及びNaの増加、BUNの減少、5%群でALP、TC、Crの増加が認められた。雌では0.625%群でALTの減少、1.25%群でA/GとIPの減少、Crの増加、2.5%群でBUN及びCrの増加、5%群でAST、ALT、ALP、BUNの増加が認められた。
 雌雄とも肝臓の臓器重量に変化は見られなかった。腎臓については一部の投与群で絶対重量の減少が認められたものの、用量相関性は見られなかった。これら肝と腎に病理組織学的な変化は認められなかった。
 その他の臓器重量では、雄では0.625%群で脳の絶対・相対重量の低下、脾臓の絶対重量の増加が、1.25%群で脾の絶対重量の増加、5%群で脳、肺、脾、腎、精巣の相対重量の増加が認められ、雌では5%群で脳の相対重量の増加がみられた。しかしながらこれらはいずれも軽微な変化であった。またこれらについては、病理組織学的にも何ら随伴する異常が認められなかった。
 以上より、無影響量(NOEL)は、雄0.625%(294mg/kg/day)、雌0.625%(361mg/kg/day)、無毒性量(NOAEL)は、雄5%(2351mg/kg/day)、雌2.5%(1401mg/kg/day)と考えられた。1)

(2)遺伝毒性試験
 細菌(TA98、TA100、TA1535、TA1537、WP2uvrA)を用いた復帰突然変異試験は、5000μg/プレートまで試験されており、代謝活性化の有無にかかわらず陰性であった。2)
 哺乳類培養細胞(CHL/IU)を用いて、最高処理濃度5.0mg/mLの染色体異常試験を行った結果、いずれの処理条件下においても染色体異常の誘発は認められなかった。3)
 マウス(ICR系、雄)の骨髄を用いた小核試験は、限界用量の2000mg/kgラ2まで試験されており、いずれの用量においても小核の誘発は認められなかった4)

(引用文献)
1.田中卓二:平成14年度厚生労働科学研究費補助金、金沢医科大学病理学第一講座
2.安心院祥三:平成13年度厚生科学研究費補助金(厚生科学特別研究事業)既存天然添加物等の変異原性を中心とした安全性研究、(財)化学物質評価研究機構
3.小野宏:平成16年度食品・添加物等規格基準に関する試験検査等について、(財)食品薬品安全センター秦野研究所
4.宮川誠:平成13年度厚生科学研究費補助金(厚生科学特別研究事業)既存天然添加物等の変異原性を中心とした安全性研究、且O菱化学安全科学研究所


ユーカリ葉抽出物

1.食品添加物名
   ユーカリ葉抽出物(ユーカリの葉から得られた、β−ジケトンを主成分  とするものをいう。)

2.基原、製法、本質
   フトモモ科ユーカリ(Eucalyptus globulus LABILL.)の葉より、水蒸気蒸留して得られたもの、又はエタノールで抽出して得られたものである。有効成分はβ−ジケトン類である。

3.主な用途
   酸化防止剤

4.安全性試験成績の概要
(1)反復投与試験
   F344系ラットに検体100、300、1000mg/kgの強制経口投与による90日間反復投与試験が行われた。その結果、動物の死亡は認められず、一般状態、体重推移、摂餌量、眼科的検査、尿検査及び血液生化学的検査において被験物質に関連する変化は認められなかった。
   血液学的検査では、300及び1000mg/kg群の雌で血小板数の高値が認められ、各群の雄で好酸球比の高値が認められているが、その範囲は生理的な変動の範囲であり、かつ、他の凝固系パラメーターであるPT及びAPTTに変化のないこと等から、毒性学的意義を持った被験物質の影響ではないものと考えられた。
   剖検では、1000mg/kg群の雌雄で十二指腸粘膜の黒褐色化が認められ、当該部位の病理組織学的検査では、粘膜固有層に灰褐色色素の沈着が認められた。
   器官重量では、300mg/kg群以上の雌雄で肝臓の相対重量の高値が認められた。
   以上から、無影響量は雌雄で100mg/kgであると考えられる。1)

(2)遺伝毒性試験
   細菌(TA98、TA100、TA1535、TA1537、WP2uvrA/pKM101)を用いた復帰突然変異試験は、1250μg/plateまで試験されており、代謝活性化の有無にかかわらず陰性であった。2)
      哺乳類培養細胞(CHL)を用いて、最高用量625μg/mLの染色体異常試験を行った結果、いずれの処理条件下においても染色体異常の誘発は認められなかった。3)
   マウス(ICR系、雄)の骨髄を用いた小核試験は、限界用量である1000mg/kgラ2まで試験されており、いずれの用量においても小核の誘発は認められなかった。4)
      
(引用文献)
1.小野宏:平成15年度既存添加物の安全性に関する試験、(財)食品薬品安全センター
2.松島泰次郎:平成11年度食品添加物規格基準作成等の試験検査、日本バイオアッセイ研究センター
3.及び4.岩本毅:平成11年度食品添加物規格基準作成等の試験検査、(財)残留農薬研究所


レイシ抽出物

1.食品添加物名
  レイシ抽出物(マンネンタケの菌糸体若しくは子実体又はその培養液か  ら抽出して得られたものをいう。)

2.基原、製法、本質
  サルノコシカケ目マンネンタケ(Ganoderma lucidum KARST.)の菌糸体若しくは子実体、又はその培養液より、水、エタノール又は二酸化炭素で抽出して得られたものである。  

3.主な用途
   苦味料等

4.安全性試験成績の概要
(1)反復投与試験
 F344系ラットに検体100、300、1000mg/kgの強制経口投与による90日間反復投与試験を行った。その結果、動物の死亡は認められず、一般状態、体重、摂餌量、眼科的検査、尿検査、血液学的検査、剖検及び病理組織学的検査において被験物質に関連する変化は認められなかった。
 血液生化学的検査では、1000mg/kg群の雄でアルブミン(量)の高値、300及び1000mg/kg群の雄でβ−グロブリン比の低値、1000mg/kg群の雌でγ−GTPの高値が認められている。
 器官重量では、300mg/kg群の雄で肝臓の相対重量の高値、1000mg/kg群の雌雄で肝臓の絶対及び相対重量の高値が認められた。また、300mg/kg群の雄で腎臓の相対重量の高値、1000mg/kg群の雄で腎臓の絶対及び相対重量の高値が認められた。更に、1000mg/kg群の雄で脾臓の絶対及び相対重量の高値、1000mg/kg群の雌で副腎の絶対及び相対重量の高値が認められた。
 以上から、無影響量は雄で100mg/kg、雌で300mg/kgであると考えられる。1)

(2)遺伝毒性試験
 細菌を用いた復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験及びげっ歯類を用いた小核試験が実施されている。細菌を用いる復帰突然変異試験とげっ歯類を用いる小核試験では陰性の結果が得られているが、哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験で代謝活性化系の有無に係わらず陽性の結果が報告されている。in vitroでの染色体異常誘発性に関しては用量も高く、異常細胞の出現頻度も低い、更に、細胞毒性により観察不能となる直前の用量のみでの陽性反応であり染色体異常誘発性は強いものではない。また、十分高用量まで試験したin vivo小核試験が陰性であることなどを総合的に評価すると、本剤が生体内で問題となるような遺伝毒性はないものと考える。2),3),4)
      
(引用文献)
1.小野宏:平成15年度既存添加物の安全性に関する試験、(財)食品薬品安全センター
2.松島泰次郎:平成11年度食品添加物規格基準作成等の試験検査、日本バイオアッセイ研究センター
3.望月信彦:平成11年度食品添加物規格基準作成等の試験検査、(財)食品農医薬品安全性評価センター
4.岩本毅:平成11年度食品添加物規格基準作成等の試験検査、(財)残留農薬研究所


既存添加物の安全性見直しの状況(平成19年7月現在):安全性見直し状況.pdf